五味康祐氏のオーディオによる名盤レコードコンサート(2009年1月24日)
更新日:2010年2月1日
とき 1月24日(土曜日)、25日(日曜日)
ところ 練馬区役所本庁舎4階 会議室(豊玉北6-12-1)
レコードコンサート会場の様子
パネル展示会場
芥川賞作家・時代小説家として有名な、故五味康祐(ごみ やすすけ)氏(1921〜1980年)の遺品である貴重なオーディオによる名盤レコードコンサートが、練馬区役所で開催されました。
遺品受入のきっかけ
2007年2月、区内石神井および大泉に長く住んだ作家・故五味康祐氏(1921〜1980年)の遺品が区に一括して無償譲渡されました。これは、故五味氏の遺族亡き後、貴重な資料の散逸をおそれた親族からの要望を受け入れたもので、遺品は文学資料(原稿、書簡、その他)、美術作品、オーディオ機器、LPレコード、書籍、楽器、日用品まで多岐にわたり、これを一括して「五味康祐コレクション」として区が所有し、(財)練馬区文化振興協会が分類整理してきました。
故五味氏は1953(昭和28)年に「喪神」で芥川賞を受賞後、「柳生武芸帳」や「薄桜記」などで、戦後の剣豪小説の分野を切り開いた著名作家であると同時にオーディオマニアとしても有名で、オーディオと音楽の分野では「西方の音」「天の聲」などの著作があり、多くのファンの支持を得ています。
今回のイベント
膨大な資料の整理は現在も進行中ですが、今回は修復の済んだオーディオ機器と愛蔵LPレコードによるレコードコンサートが開催されました。解説は生前の故五味氏と深い親交のあった音楽関係者で、曲目は故五味氏がこよなく愛し、亡くなる前にも聴いたとされる、ベートーヴェン/ピアノ・ソナタ第32番(作品番号111)ハ短調(ピアノ=ウィルヘルム・バックハウス)などです。
1950年代以降の非常に貴重なクラシックオーディオ機器、また、故五味氏の没後長らく手入れされなかった機器であるため、専門家が調整を重ねてやっと往年の音色がよみがえりました。今回使用されたスピーカー(タンノイオートグラフ 1964年製)は、故五味氏が初めて輸入したとされています。
区役所1階アトリウムでは1月22日(木曜日)〜27日(火曜日)まで、故五味氏を紹介するパネル展示「五味康祐―文学と音楽に生きて―」も開催されました。同展では、発見された資料―故五味氏が大切にしてきた音楽関係資料(自作LP百選や、オーディオを介した評論家・小林秀雄氏との交友を偲ばせるもの)―などの複製も展示され、文学と音楽の世界が融合した新たな世界を築いた故五味氏の足跡をたどります。今回のパネル展に合わせて刊行された記念誌は、今後も引き続き(財)練馬区文化振興協会(練馬文化センター内)で購入できます(600円)。
今後の予定
レコードコンサートは、2009年度も継続して開催する予定です(時期は未定)。また、2010年度は氏の没後30年にあたり、(財)練馬区文化振興協会では記念展覧会の開催も検討しています。
問い合わせ
(財)練馬区文化振興協会 電話 03-3993-3311