コラム

　「ちがう！児童養護施設は更正施設じゃない」と世間の偏見に対して叫んでいる施設職員の記事を読んだ。興味のある方は#右のサイドバーの児童福祉はてなブクマから読みに行けます。

　「子ども達は悪くない、悪いのは大人だ」と熱血教師風に怒る施設職員。でもそこは大人になってからグレている施設育ちのわたしは納得しきれない。

　じゃああなたの施設には絶対に虞犯少年や触法少年を受け入れてないのか？と言いたい。きちんと自立支援施設と児童養護施設の境界をはっきりさせ、児童養護施設には要養護児童と被虐待児童に特化しているのか？と言いたい。本当は被虐待児も施設ではケアが足りないのに虞犯少年までいるのが施設じゃないのか？虞犯少年には保護だけじゃ足りないものがある。
　
　彼らが児童養護施設へ送致されてくる状態というのは「悪いまま」来るのだ。何の更正も経ないでそのまま児童養護施設へ来る。親がいない為施設にいる子にとっては「とばっちり」を受けているに等しい。

　やはりきちんとした矯正・更正プログラムが必要なのだ、そうしなくちゃ、小さな子ども達をサンドバックにして解消してしまう。そこに目をつぶって「みんな仲良く」だなんて冗談じゃない。

　世間は冷たいだけじゃない、世間はやはり見たとおり、感じたとおりに表現する、残念だけど。「更正させるのが大変なお仕事ですね」と言われてキレたようだけど、そういう側面があるという現実に目をつぶっている限り、問題のところ、よく見えないと思った。

　少年法の年齢の下限の話も赤ちゃんポストと並ぶほど世間をに賑わせている。厳密には養護施設に送致される子どもは家庭裁判所で出される保護処分の結果なので、行き先が自立支援か養護施設という事になるのだが。　施設へ保護される子供が虞犯少年である事には変わりない。

　「少年院送致年齢の14歳という下限の撤廃」に反対する人々がいるのは、保護観察中に何度も同じ事を繰り返す小学生がいたら、この小学生も少年院送致の可能性があり、低年齢化に歯止めが利かなくなるとの憂慮と、年齢の高い少年達と同じ環境に収容するのは低年齢の子どもにとって環境的に良くないとの事などから反対しているらしい。

　そこまでは何とかわかった。

　でも今までは保護処分の為、自立支援施設と児童養護施設に送致されてきた少年と一緒に住まわされていた乳児院からきた３才児や、親から養育放棄されて施設へ措置されてきた５才児の事は誰も憂慮しては来なかった。誰も取り上げようとしなかった。

　現況の保護処分と児童養護施設送致について

参照元：子どもの権利通信・あいち 　引用部分 　また、少年事件で家庭裁判所が出す保護処分の一つとして養護施設へ送るというものもあります。ケースによって、子どもの受け入れは一時的な短期のものから、１０年以上に及ぶ長期のものもあります。施設には公立もあれば、私立の施設もあります。

　また、自分も度々この事は書いてきた。

　参照元：Firedragon戦記/気になる記事のCLIP2007　という記事でも

　少年事件を起こしても保護処分の流れで、３歳児がいる児童養護施設へ送致されてきていた事実を知らない人が多いと思う。わたし達オール児童養護施設育ちは、これらの子たちが目の前で殴り合いをし悪さをしている環境下で生きてきた。染まらないように生きてきたつもりでも、その匂いは身に付いてしまった。喧嘩の仕方も覚えてしまった。

　だからわたしは普段、大人しそうに記事を書いている。怒らないように気を付けている。少年達の怒りを自分の中にも焼き付けてしまっている。虞犯少年達の吐き出し場所になっていて、少しも矯正効果がないのが児童養護施設という主観を持っている。。

　１２歳の少年が保護処分ではなく少年院送致される事を厳しすぎると懸念を持つなら、児童養護施設では今までいかに要養護の子ども達が１２才の虞犯少年におびえ続けていたかも同時に知ってほしい。これはその独特の世界に身を置いた者としての意見表明だ。

　冒頭のような職員の叫び？だけでは何の発信にもならない。「児童養護施設は更正施設じゃない」と言うなら、養護施設には本来要養護児童だけが措置されてほしいし、自立支援施設（旧・教護院）への送致と分離してほしい。あいまいな境界線を持っているから世間の偏見がなくなる筈もない。

　きちんと偏見に対して説明できる施設ではないから意味不明な叫びだけで終わってしまうのじゃないか。本来なら自立支援施設へ行く子が養護施設にいるだけで近隣の住民が怖がっている事実もあるのだから、配慮してほしい。