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別の世界を見ているシセツ育ちの嫁

整理中の課題&記事

 「家庭」にも色々あると言う人がいる事をようやく、ほんの少しだけれど理解した。わたしが嫁いだ「家庭」の流儀が、他の家庭の流儀と違うらしいという事も、透かし見る風景のように、少しずつ見えてきた。

 「昔の農家の嫁」の話を姑から聞かされた。

 真夜中、近くの農家の嫁の悲鳴が切り裂くように聞こえてきたそうだ。そして何かを打つ音が際限なく続いたそうだ。悲痛なその声に幼い頃の姑は魂が引き裂かれるとはこの事だと思ったそうだ。姑の地域の農家の嫁=牛一頭位の価値でも十分という程のものだった。働きが悪ければ、牛3頭分くらいにしかならない。

 少ししてから、ある女性が撲殺されて見つかったそうだ。彼女は近所の農家の長男の嫁で、あまりの拷問に耐えかね生家へ戻ろうとしているところを見つかり、棒で殴られ続けてとうとう死んだそうだ。姑は「あの時の・・・」と思ったそうだ、でも誰にも言えなかったそうだ。多くの近所の人がその悲鳴を聞いていただろう。ただ、当時はそういう時代だったので刑事事件になるような事はなかったらしい。

 生まれた家があろうが、その家に帰ること叶わない農家の嫁。その農家の嫁の歴史を語ってくれる姑の話をきいて、わたしは別の世界へ移送されただけじゃないかと、ふとそんな気分に陥った。

 「昔の嫁は、家があろうがなかろうが関係ない、一旦農家の嫁になれば、死んでも働かされる、逃げれば殺される、だから嫁にだけはなるもんかと思ったよ」と。

 これは昔の農家という世界の話であり、普段記事のメインテーマに据えている児童養護施設の話じゃない。

 わたしは、この家で子どもを生む事を求められているという事を改めて自覚した晩、さすがに色々と考え込んでしまった、でも、その不安を夫には語れなかった。

 わたしから見ると、おばあさんの世代の彼女の話はあまりに遠すぎるし、あまりに作り話めいていて、それでもこの家はこの出来事を背負ってたたずんでいる。

 とはいえ、わたし自身がそんな目にあう事は現代社会ではありえない。わたしは自分を守るすべも知っている・・・。
 
 ただわたしは捨てられた人間だから、歴史を背負っていない。その点は気楽な人生を歩いてきているかもしれない。

 でも、義理母からこの類の話をうんざりするほど聞かされている夫が「これくらい当たり前だよ」と言った時に、じわじわと忍び寄るものを感じたとは・・・・。

 なかなか言えなかった・・・。

|  整理中の課題&記事 | 16時54分 | comments:2 | trackbacks:0 | TOP↑

連鎖をしないこと

 ありがとう、2月うさぎさん。

>確かに施設育ちだけが不幸な境遇でないのは確かだと思います。
 
 施設育ちだけが不幸というよりは、施設育ちも家庭育ちも不幸の種類が違うと思う事が多いです。

>実の親が、両親ともそろっていて、経済的・社会的にも特に苦労するような環境でなくても抑圧の装置が働いていることはしばしばある・・・

 そう、そして施設出身者は、両親と呼ぶ相手が全ての子ども時代を通して欠落していたという事です。

 機能不全家庭で育った人も、養護施設で育った人も、負の連鎖、虐待の連鎖を子どもや周囲の大事な人に繋げてはいけないと改めて思いました。

 「これくらい普通だよ」という感覚を、恐ろしいと思いたいです。

| レイ | 2007/05/08 16:48 | URL | ≫ EDIT

お姑さんの話はものすごく強烈ですね。
確かに施設育ちだけが不幸な境遇でないのは確かだと思います。
実の親が、両親ともそろっていて、経済的・社会的にも特に苦労するような環境でなくても
抑圧の装置が働いていることはしばしばある・・・

でも、その事実を認めることと、
「だからお前も我慢しろ。」というのとはちょっと違うと思います。

逆です。
自分が、自分の身近な人々が受けた苦痛を
当たり前として連鎖させるのではなく、
「それは間違いなく苦痛であり抑圧であるのだ」ということを正視することによって
その連鎖を断ち切るポイントを見破らなければ・・・
そして見破った後に、本当にそこから連鎖を断ち切る動きをしなければ・・・

最近私は問題を正視し、自分がその流れに流されないようにする「構え」が出来るようになって気がします。
実際に連鎖を切る「動き」に出るところまではなかなか行かないのが問題なのですが・・・

・・・と、なんだか抽象的な表現になってしまってすいませんでした。

| 2月うさぎ | 2007/05/07 21:47 | URL | ≫ EDIT














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