養護施設にいる間の問題

　和歌山の養護施設で性的虐待を受けてしまった少年の出来事が頭の中をぐるぐる回っている。そのため、不適切な発言等あるかもしれないです、気になる表現がございましたら指摘して下さい。お願いします。

　養護施設は何も都会にあるだけじゃない、地方にも養護施設はあり、地方の養護施設は未だに人権に抵触するような事が行われ（やすい）と感じている。情報網が発達してくるに従い、今まで平気で行われていた子どもへの人権侵害が外へ発信されてゆくことを強く願っている。

　施設には、親から捨てられた子、虞犯・触法少年、家庭で虐待されていた子、親が勾留中である、その他の理由、などで、色んな措置理由により入ってくる。

　わたしが初めにいた施設は果てしない山奥だった。２度目の施設とは雲泥の差、過疎化が進み、林業の産業が廃れていく中、人々の暮らしも大変だろうと大人の今なら想像つく。その結果、養護施設へ子どもを入れざるを得ない人々もいる。
　
　しかし、田舎の施設には田舎の施設なりの独特な体質がある。養護施設内にも見えない（いや、見えるか）ヒエラルキーがあるのだ。

　被差別部落出身者である、親が犯罪者である、親が精神的な病気を患っている、親が・・・。親の状況を知らずに施設に入所している子のデータもすべて職員が握っている。

　ところがそのデータがなぜか、いつの間にか、みなの知る事実となり、その子どもは、育てられた事もない親の事情を蔑まれながら、集団や、職員から暴力を受ける。

　このデータを流すのは施設職員。わたし自身が、他人の情報を職員から延々とリークされ続けた体験（２度目の施設だけど）が事があるため、こう述べている。職員に守秘義務などあったためしがない。

　わたしがいた一度目の施設は大変な田舎にある施設だった。人権を守ろうという立て看板が林立するほどの差別に敏感な地域だった。まあ、当然ながら該当する自分は差別を受けていた。しかし物心付いたら児童養護施設にいた自分は氏素性や出身について知るよしもなかった。

　施設の子も措置理由を『自分の方がマシだと思いたい』から、施設の中のヒエラルキーの上層にいたいが為に、他の子の情報をどんどん流して、その子を施設内差別をする。

　施設内のことだ、外の世界で受ける偏見差別とは又違う、施設内での独特感がある。都会の施設ではここまではいかないだろうと思われる事が、田舎の施設だからこそ起こりえる。

　施設の子は怒りの捌け口を常に求めているし、職員・保母も怒りを征服する事ができず、いつも、この子が暴力を受ける理由を探し続けている。その施設にはかっこうの、弱者の中の弱者がいるのだ。ヒエラルキーの最下層に誰かがいつ、突き落とされるか分らない、だからそんな施設に犯罪を犯した親の子どもが入所すれば、すぐにリンチの対象になってしまう。

　親が犯罪者だからとその子どもが責めを負う事、その意味するところが施設入所なのか？

　田舎にある養護施設の園長・理事長の地位は元々が地元の名士で篤志家でもある。狭い地域のことだから、この偉い人の機嫌を損ねないように地元の人は四苦八苦。
　
　養護施設の子ども達がどんな目にあっていても、それこそ真夜中に体罰の悲鳴や怒号が聞こえてきたとしても「ああ、施設の子だからね」という理由で、納得が先行する。地域社会のお荷物である子ども達のことに関わりたくない人も多い。
　
　２０年も体罰があったのに誰も気付かなかった？施設もある。そこまでずっと体罰されていたら、卒園生が訴えるだろうと思ったら、事はそう簡単じゃない。田舎の中で差別や偏見の目で見られてる子は外に訴える事をしないのだ。

　これが都会にある施設だったらこうはいかない。(*とはいえ、都会の施設でも塀でぐるりと取り囲まれているや、高台に建つ施設もあるが、今回は田舎の地域性の中にある施設の話へ特化したいので触れません)

　施設恒例の草むしりだって違う。２度目の施設は夕立になると草むしりはおしまいだった。だからカミナリを心待ちにする癖が今もある。今思うと近所の目が常にあったという事だろう、雨の中、カミナリの中、草むしりさせていたら誰かが訴えるだろう。

　しかし一度目の施設は、大雪の降っている中でも意味不明の草むしりをさせていた。人の目が全く注がれない場所だったので、都会ではおかしい作業でも、田舎ではおかしくならない。

　長々と書いたけれど、和歌山の少年の話はこれで終わっていいはずがないと思った。