PREV | PAGE-SELECT | NEXT

≫ EDIT

「家を出たい。施設に入れて」


 参照元 読売新聞/大手小町 リンク

 昨年4月、10歳の男の子が東京都内の人権擁護センターに電話をかけてきた。「お母さんが僕と妹をたたいてばかり。家にいたくないから、施設に入れてほしい」と、入所を訴えた。

 保護されたのは小学4年と2年の兄妹。家庭で両親のけんかが絶えず、父親が母親に暴力を振るっていた。母はストレスで虐待を繰り返していた。

 男の子が、学校で配布された電話番号を手に自ら連絡してきたことに、収容先の児童養護施設の関係者は驚いた。これまでは中3くらいになり、酒浸りの親元からは高校進学が無理だからと施設への入所を希望したケースなどはあったが、「こんな小さい子は初めて」だった。

 虐待を受けていても、子どもは親から離れたがらないことが多い。「自分が悪い子だから怒られる」と思う傾向があるためだ。

 ところが最近、「家を出たい」と自ら訴える子どもが増えている。警察の「110番」や学校の先生に通報する。友人宅で「殴られるから家に帰りたくない」と訴え、友人の母親を通して保護されたケースもあるという。

 こうした変化の背景に、「埋もれていた虐待の表面化」があると、子どもの人権を守る活動をしている弁護士の坪井節子さんは見る。児童虐待のテレビニュースなどを見て、「自分もそうだ。逃げる先があるんだ」と子どもが気付くようになったためだ。

 だが、それ以上に坪井さんが感じるのは、子どもたちの孤独感が強まっていることだ。近隣の付き合いがあった時代は、親が子どもの世話をしなければ、「うちに来て食べれば」と声をかけるおばさんがいたり、学校の先生がこっそりおにぎりをくれたりすることが珍しくなかった。

 「誰か一人、『おまえも大変だな、でも応援してるよ』と声をかけてくれれば子どもは生きていける。今はその一人がいない」と坪井さん。

 坪井さんは、これまでに児童施設から逃げ出した子や少年事件を起こした子など、何十人もの“居場所のない子”の話に耳を傾けてきた。気付いたのは「どの子も大人から愛された経験がなく、『死にたい』と言う」こと。さらに「大人に話をちゃんと聞いてもらったのは初めてと口をそろえる」ことだった。

 虐待から逃れてきた子どもを丸ごと受け止める場所が必要だと、坪井さんが弁護士仲間や福祉関係者らと、全国初の子どものシェルター「カリヨン子どもの家」を都内に作ったのは3年前。定員は4人だが、既に75人を受け入れた。それぞれの子どもに担当弁護士が付き、職員2人体制で世話をする。じっくり相談にのることで「1、2か月で殻を破り、歩き始める」という。

 「非行や家出は子どもたちのSOS。でも『一人じゃないよ、私たちが一緒だよ』と寄り添うことで、彼らは生きていく力を取り戻せる」。坪井さんは、そんな子どもを見てきて、そう実感している。

(2007年3月9日 読売新聞)




 施設の存在そのものを否定しているわけではなく、このような状況に置かれた子どもが情報を駆使して施設へ保護を求める事も大事なことだと思う。
 
 わたしが言いたいのは全ての子ども時代を養護施設だけで育てられる事の問題についてなのだから。

|  気になる記事のCLIP2007 | 07時03分 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑














http://escapeorgoodfight.blog85.fc2.com/tb.php/105-3791d89f

PREV | PAGE-SELECT | NEXT