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虐待受けて育った 傷抱える母


 参照元 読売新聞/大手小町 リンク
 
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白山真知子さんは臨床心理士。母親たちのカウンセリングに箱庭なども活用している

よみがえる過去「子を愛せない…」

 「子どもに触るのがイヤなんです」「どうしても子どもを愛せません」

 大阪のベッドタウン、大阪府摂津市の家庭児童相談室。室長の白山真知子さんは、こう訴える母親たちの相談が10年ほど前から増え始めて戸惑った。

 家の中でストレスをため、いつもカリカリと子どもに怒っている。公園に行っても、子どもには無関心で一緒に遊ばない。何かをせがまれると、追い払ったり怒り出したり――。相談を通して見えてきた「カリカリする母たち」。一般の家庭で児童虐待が急速に広がった時期と重なった。

 「私が会った虐待してしまう親は、調べるとほとんどが虐待や家庭内暴力の中で育った人だった。傷を抱え、子どもを愛せない自分を責めている。そんな若い親が増えています」と白山さん。

 そうした一人だった薫さん(仮名)は「子どもがおかしい」という相談でやって来た。

 3歳の長女が自分とは風呂に入りたがらず、父親としか入らないことに悩んでいた。しかし、話を聞くと、誕生からずっと長女が裸の時に抱くことを避けてきたのは、薫さんの方とわかった。さらにカウンセリングを重ね、彼女が実父から受けた虐待が「肌のぬくもり」への抵抗を作っていたことも明らかになった。

 「記憶の奥にしまってあった傷が子育てでよみがえり、過去の怒りを子どもにぶつけてしまう。子どもに問題があると思った母たちが、実は自分の問題だと気付き、怒りをコントロールすることで、虐待から立ち直り始めます」と白山さんは話す。

 1971年に発足した同市家庭児童相談室は、障害児の早期発見が最初の課題だった。それが20年ほど前から、親子の「異変」に気付き始めた。オシャレに着飾った母親が、「うちの子のオシッコは青くないんです」と真顔で相談。面食らう保健師らに、「紙オムツのCMではオシッコは青いのに」と訴えたりした。

 「おつむてんてん」などのあやし方や伝統の手遊び、子守歌、赤ちゃんが安心する抱き方など、専門書には載らない日常の育児の知恵は、大家族や地域社会のなかで年配者らが伝えてきたものだった。

 だが、核家族化や都市化が進んで伝承が途切れ、育児の困難さが増すなか、児童虐待は増えてきた。社会的な保護が必要となった子どもは1990年に784人に1人だったが、2004年は550人に1人と、増え続ける。

 学校や保育園、行政機関などが休みとなる連休や週末は、親子に外部の目が届かなくなり家庭が密室化する。この期間に「事件」が起きるのを防ごうと、金曜日に子どもを緊急保護するケースが増えている。家庭から“救出”された子どもが一時保護所にあふれ、収容先を探して混乱する事態を、関係者らは「魔の金曜日」と呼んでいる。

 「背景にある親たちの悲鳴を受け止めることがまず必要。そして安心して子育てできる状況を作ることが大切」。白山さんはそう考えている。

(2007年3月7日 読売新聞)




 「肌の温もり」に近づく事ができなかればいわゆるスキンシップは難しい。スキンシップがいやな雰囲気だったり、やるせない気持ちをその都度かもすとしたら、子どもが恐怖の対象になるのかもしれない。

 肌の温もりを投げやりな気持ちで与えてはいけないと思う。でも、虐待を受けた覚えがない場合は虐待をやめられない親として位置づけられてしまうのだろう。

|  気になる記事のCLIP2007 | 06時58分 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑














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