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露の海賊“漂流刑”に批判 ソマリア沖600キロで釈放…死亡?

6月1日7時56分配信 産経新聞

露の海賊“漂流刑”に批判 ソマリア沖600キロで釈放…死亡?
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アフリカ・ソマリア沖付近の地図(写真:産経新聞)
 ロシア海軍が5月はじめ、アフリカ・ソマリア沖で海賊に乗っ取られたタンカーを解放した際、拘束した海賊10人をゴムボートに放置し、死に至らせたとみられることが明らかになった。国防省が「海賊を裁く国際法の不備」を理由に“漂流刑”を正当化したのに対し、専門家からは「法的にも人道的にも問題だった」と反論が出ている。ソマリアの海賊が国際的な脅威となり、各国艦船が取り締まりを強化している中で議論を呼ぶ事例となりそうだ。(モスクワ 遠藤良介)

[フォト]露海軍、海賊を「漂流刑」

 問題となっているのはリベリア船籍の大型タンカー「モスクワ大学」(10万6474トン)の解放作戦。露海軍は5月6日、大型対潜哨戒艇を現地に急派し、ソマリア海賊1人を射殺、10人を拘束してロシア人乗組員23人を救出した。検察当局は当初、拘束した海賊らをモスクワに移送する考えを示した。

 ≪水と食料は付与≫

 海軍はしかし、海賊から武器を没収した上でゴムボートに乗せ、沿岸から約600キロの沖合で“釈放”。国防省はその後、ボートの発する信号が1時間後にレーダーから消え、海賊らは「死亡したとみられる」と発表した。飲料水や食糧は与えたとしているが、ボートの測位システムは取り外してあったという。

 国防省はこの措置について「海賊の責任を問う国際法的な根拠がなく、海賊の国籍を確認することもできないため」と説明。政府機関紙ロシア新聞は(1)殺害が目的なら今回のような方法を取る必要はない(2)イエメンやスーダンなどの沿岸国は海賊引き取りに消極的だ(3)事件は公海上で発生し、ロシア船籍でなかった−と海軍の行動を擁護した。

 ≪法的根拠なし≫

 これに対し、有力誌ブラスチは「国連海洋法条約によれば、海賊を拘束した国は自国の法に従って裁くことができる。国防省の論拠は全く批判に耐えない」と指摘。海軍が何らかの理由で拘束した海賊らを殺害してしまい、“漂流刑”でつじつまを合わせたのではないかといった憶測も紹介した。

 ロイター通信によると、ソマリア「暫定政府」の情報省当局者は「海賊も公正な裁判を受けなければならない。公海に捨てるのは唯一の選択ではなかった」と批判。沿岸都市、ホビョの海賊リーダーは「ロシア人の人質には露海軍がしたのと同じ対応をとる」と報復を宣言しており、海賊側の行動がいっそう凶悪化する懸念も出ている。

 ロシアは4月、国連安全保障理事会に海賊訴追の国際裁判所を設置するよう求める決議案を提出、全会一致で採択されている。

【用語解説】ソマリア沖の海賊被害

 国際海事機関(IMO)によると、ソマリア沖で頻発する海賊被害は2006年には31件だったが、09年は222件まで急増した。海賊によるロケット弾や自動小銃の使用も相次いで報告されており、商用船舶の乗っ取りによる身代金収入は年間8000万ドル(約72億3700万円)にのぼるとの推計もある。

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最終更新:6月1日15時23分

産経新聞

 

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