奈良県桜井市の近鉄桜井駅で昨年7月、私立高校3年の浜田知哉さん(当時18歳)を刺殺したとして、殺人罪などで起訴された少年(18)の裁判員裁判で、弁護側が奈良家裁への移送を主張することが28日、分かった。
精神鑑定の結果から「少年の責任能力は限定的」としている。専門家によると、少年事件の裁判員裁判で、弁護側が家裁移送を主張したケースはあまりない。
少年は昨年8月、奈良家裁の少年審判で検察官送致(逆送)され、奈良地検に起訴された。地裁は今年2月の公判前整理手続きで、弁護側が請求した精神鑑定を認め、今月、鑑定書が提出された。弁護側は「責任能力は限定的だったというこれまでの主張が補強された。少年にはケアが必要で、保護処分が相当」とし、家裁移送の主張を決めた。
少年法によると、少年が逆送や起訴をされた後、地裁が少年院送致などの保護処分が相当と判断すれば、家裁に事件を移送する決定をしなければならない。前野育三・関西学院大名誉教授(少年法)は「裁判員が少年院での教育が良いと判断する可能性もある」と話している。【高瀬浩平】
毎日新聞 2010年5月29日 大阪朝刊