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【虐待はどんな傷を残すのか】(5)慢性トラウマ、脳に影響 性的虐待の8割に解離性障害「今、手を打たねば」 (1/3ページ)

2010.5.26 18:00
このニュースのトピックス児童虐待を考える
虐待を受けた子供が入院する病棟の「コントロールルーム」。ぬいぐるみなどに向かって怒り、泣くことで感情を表に出し、コントロールする練習をする=愛知県大府市のあいち小児保健医療総合センター虐待を受けた子供が入院する病棟の「コントロールルーム」。ぬいぐるみなどに向かって怒り、泣くことで感情を表に出し、コントロールする練習をする=愛知県大府市のあいち小児保健医療総合センター

 「この男の子は虐待と解離性障害。こちらの男の子はADHD(注意欠陥多動性障害)と虐待。この女の子は性的虐待…」。愛知県大府(おおぶ)市にある県立子供病院「あいち小児保健医療総合センター」。心療科部長の杉山登志郎医師(59)=児童青年精神医学=は心療科病棟に並んだ名札を見ながら、ショッキングな言葉を淡々と並べていった。

 センターには、わが国にほとんどない児童虐待専門の「子育て支援外来」がある。平成13年の開院以来、1千人を超える子供が受診した。心療科に入院する子供の7割は虐待を受けた経験を持つ。

 以前入院した小学3年の男児は、実父から激しい身体的虐待を受けた。両親の離婚後、男児は母親に「うるせー、ババァー」と大声を上げ、叱(しか)られると包丁を持ち出した。学校でも注意されると教室を飛び出し、前に座っていた子供の背中を鉛筆で刺した。児童相談所の紹介でセンターへ入院、ADHDや解離性障害など複数の発達、精神障害と診断された。

 杉山さんは「この子のように、深刻な虐待を受けた子供は複数の診断名がつくことが多い。それは虐待による慢性的なトラウマ(心的外傷)が脳とその発達に影響を与えるからです」。

 欧米での研究をまとめた新潟大学の田村立(りゅう)(33)、遠藤太郎(34)両医師らによると、子供のころ虐待を受けた成人の脳は、記憶の中枢である「海馬(かいば)」が健常者に比べ5〜18%小さかった。また、記憶と情動に関連する認知をつかさどるという「扁桃(へんとう)体」が8〜23%小さかったという。

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虐待を受けた子供が入院する病棟の「コントロールルーム」。ぬいぐるみなどに向かって怒り、泣くことで感情を表に出し、コントロールする練習をする=愛知県大府市のあいち小児保健医療総合センター

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