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【虐待はどんな傷を残すのか】(1)親から認められぬ子供 「自分の存在価値が分からない」 (2/3ページ)

2010.5.22 17:30
このニュースのトピックス児童虐待を考える
虐待を受けた経験を持つ南裕子さん(仮名)。こうした若い世代が把握されただけでも数十万人、社会の中で暮らしている=東京都内虐待を受けた経験を持つ南裕子さん(仮名)。こうした若い世代が把握されただけでも数十万人、社会の中で暮らしている=東京都内

「男なら捨てていた」

 東京都内に住むゲームショップ店員、南裕子さん(27)=同=は男物のカーキ色のジャケットとジーンズ姿で現れた。髪は短めで化粧気もない。女性であるが、心がそうではいられないという。

 幼いころ、「教育ママ」だった実母(51)から身体的、心理的虐待を受けた。習い事がうまくできないと「なぜできないの!」と叩(たた)かれ、振る舞いや言葉遣いが意に沿わないと平手打ちされた。「欧米のしつけ」と定規で手の甲を叩かれ、かっとなると包丁が飛んできた。

 「口答えするとさらに叱(しか)られ、黙り込むと叱られ、泣いても叱られ、どうしていいか分からずパニックになった。いつもびくびくして、自分からは何もやらなくなった。暗い子供というより、人形のようだった」

 母は男の子がきらいだった。「あんたが女の子だから育ててるんだから」「男だったら捨てていた」と何度も聞かされた。

 「男だったら捨てられる…。この恐怖は幼心にとても重たいものだった。私は『女の子』になろうと努力した。人形遊びやおままごとをやってみせ、好きではない色の洋服を着た」

 専門学校を出て、22歳で初めて母と離れて暮らし、解放されたと感じた。服装を自由に選ぶようになると男装を始めていたという。

 「親から認められないことほど子供を苦しめることはないと思う。自分の存在価値をどこに置けばいいか分からず、自己の確立が遅れてしまう。傷は大人になっても影響が続くのです」

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虐待を受けた経験を持つ南裕子さん(仮名)。こうした若い世代が把握されただけでも数十万人、社会の中で暮らしている=東京都内

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