「こっちは相変わらず残業でヘトヘト。うらやましいよ」
などと営業先から帰ってきたタイミングに帰宅するPさんに遭遇すると嫌味な一言を投げかけました。さらに、営業部門の業績が厳しくなり、会議が増えたときにQさんはある問題発言をしてしまいました。
「営業だけ会議で遅くなるのは不公平。管理部門も全員参加して欲しい。一部の社員だけ早く帰るのは納得できない」
Qさんはあくまで『一部の社員』と言っていましたが、この発言はPさんの心を痛めることになりました。そして、職場に居づらいと感じたPさんは、上司に退職の申し出をしました。
「職場で勤務時間の違う社員がいると不満を感じる社員がいるようなので…」
これが理由でしたから、上司は大慌てでPさん、発端をつくったQさん、およびQさんの上司と話し合いの時間をつくって退職の申し出を慰留させるべく奔走しました。結果、QさんもPさんが退職を申し出たことで、自分の発言の事の重大さに気づき、Pさんに侘びを入れて事件は収拾に向かいました。
ワーキングマザーと独身女性に
バランスのとれた気配りを
こうしたトラブルが起きたのは、元々、職場で同じような働き方をしていた同僚が育児を経て働き方を変えたことに対して理解をできない社員がいたことが原因です。そして、ワーキングマザーに比べて、一般の女性社員に対しての気配りが欠けていたことで、不満が爆発したとも言えます。
このケースのように、ワーキングマザーに対して勤務時間など配慮すべきことはありますが、過度に気配りすると通常勤務をする社員が不満を感じることもあります。バランスを欠いたマネジメントにならないよう、上司や周囲は発言や対応の行き過ぎに注意すべきでしょう。
◎編集部からのお知らせ
本連載の高城幸司氏が共同執筆をした最新刊『新しい管理職のルール』が好評発売中!
時代が変ればマネジメントの手法も変わります。会社組織や会社に関するルールが変わり、若者の組織に対する意識も変わっていますから、マネジメントも変わらなくてはならない。では、どのように?「戦略」「業務管理」「部下育成」「コンプライアンス」をどうマネジメントに取り入れるのか。新しいマネジメントのルールを教える1冊です。