北朝鮮による韓国哨戒艦撃沈事案をきっかけに、朝鮮半島が一触即発の緊張状態にある。日本では、鳩山由紀夫首相(63)が大迷走した普天間移設問題ばかりが注目されるが、現在、東アジアは戦争一歩手前といえるのだ。半島情勢に詳しい識者2人に聞いた。
「ロシアの情報当局者によると『38度線北側に、北朝鮮はソウルに届く迫撃砲を万単位で並べて、カバーまで取り払っている』という。完全な臨戦態勢だ。いざ戦争となれば日本国内でテロもあり得る」
こう警告するのは、大宅賞ジャーナリストの加藤昭氏。中国の外交当局者などの情報でも「北朝鮮軍部では、連日激しい議論が続いている」といい、こう続ける。
「軍部の議論では『米韓日の抑止力を確かめるべきだ』という意見も出たという。つまり、状況次第では仕掛けるということ。中国は情報収集のため、金正日総書記と親しい共産党高官を北朝鮮に送り込んだ」
金総書記が委員長を務める国防委員会は先月28日、韓国哨戒艦撃沈への関与を「非科学的で客観性がない」と否定したが、同日の朝鮮中央放送では「戦争には戦争で応える」との金総書記の発言を伝えた。
菅沼光弘・元公安調査庁調査第2部長も「今後、偶発的な衝突は否定できない」といい、こう解説する。
「韓国軍は、哨戒艦撃沈への対抗措置として、軍事境界線付近で『宣伝放送』を再開させたが、北朝鮮はこれを『軍事的挑発だ』と反発し、スピーカーを破壊すると恫喝している。実行すれば韓国軍は反撃せざるを得ず、南北が衝突することも考えられる。米国も強硬姿勢で、北朝鮮周辺海域に空母機動部隊を展開している」
これらと関連するのか、北朝鮮の日本海側の海軍基地から小型潜水艦4隻が姿を消したという。また、米国は最新鋭ステルス戦闘機F22を沖縄・嘉手納基地に緊急配備した。
日本では、防衛省や警察庁、外務省などが情報収集を行うとともに、普天間問題で混乱していた同28日、北朝鮮への追加制裁措置を決定した。
加藤氏は「北朝鮮には日本全土を射程に収める中距離弾道ミサイル『ノドン』が200基もある。以前、私が接触した北工作員は、皇居や国会、米軍や自衛隊基地に赤丸を付けた地図を持っていた。テロなどの攻撃対象だろう。こんな時にニュースが普天間一色とは」とあきれる。
一方、菅沼氏は「ピンチはチャンスでもある。北朝鮮と米国は強硬路線だが、韓国は経済的打撃が大きい軍事衝突は望んでおらず、中国も上海万博中の衝突は避けたい。鳩山首相に外交センスがあれば、日本が中立的な立場で介入する好機。拉致問題を動かす一歩にもなり得る」という。
ところが、首相といえば今回の半島緊迫化を、普天間移設先を「名護市辺野古」に戻す理由付けに利用しただけ。
本当に大丈夫なのか。