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【主張】検審への説明要求 圧力以外の何物でもない
民主党の辻恵副幹事長が検察審査会事務局に審査手続きの説明を求めていたことが分かった。
民主党の小沢一郎幹事長の資金管理団体「陸山会」の政治資金規正法違反事件で小沢氏の不起訴処分の妥当性について、東京第5検察審査会などの審査が行われている最中である。
改正検察審査会法では2回目の「起訴相当」の議決が出れば小沢氏は強制起訴される。弁護士出身の辻氏がこうした基本的手続きを知らぬはずがない。一般的説明を求めただけで「圧力とは違う」という言い訳は通らない。審査会の独立性、中立性を侵害する行為であり、断じて認められない。
辻氏が審査会事務局に説明を求めたのは5月26日といい、東京地検が小沢氏を再度、不起訴処分としてから5日後だ。
検察審査会は一般から選ばれた審査員が自由に議論できるよう、会議を非公開とするなど制度上も独立性と中立性を高く保つ仕組みがある。政治家からの接触自体が誤解を招く。審査会事務局が要求に応じなかったのは当然だ。
相次ぐ政治とカネの問題をめぐり、民主党は党内調査をほとんど行うことなく、捜査などに圧力を加えるような発言を続けてきた。今年1月には、鳩山由紀夫首相が小沢氏に「(検察と)どうぞ戦ってください」と述べるなど耳を疑う発言もあった。
民主党議員を中心に検察審査会自体への批判も起きている。審査会制度の見直しなどを議論する「司法のあり方を検証・提言する議員連盟」が発足し、辻氏は事務局長を務めている。辻氏は1回目の「起訴相当」の議決後、自身のブログで「(小沢氏を)魔女狩り的手法で葬り去ろうとするもの」などと批判している。しかし審査会は法律で定められ、司法全体の信頼を高めるための歴史ある制度でこうした批判はあたらない。
産経新聞社とFNNの世論調査で小沢氏が政治資金問題について説明責任を果たしていないと思う人は9割近い。だが小沢氏は衆院政治倫理審査会への出席すら曖昧(あいまい)にしている。こうした不誠実と開き直りの小沢氏の行為が民主党からの国民の離反を招いている。
今回の辻氏の行動も、小沢氏の意向を忖度(そんたく)したものではなかろうか。自浄作用をまったく示せない民主党は、国民の審判を受けて初めて問題の重大さを知ることになるだろう。