2009年は政権交代実現の一年だった。8月30日の衆議院選挙によって民主党は308の議席を得て新政権を発足させた。私自身も15万7070票という横浜市最大得票で4年の浪人生活にピリオドを打ち、国会に復帰した。
民主党は政権交代のために結成された政治集団と言っても過言でない。その結党から実に13年の月日が経過し、その間にも自民党政権は堕落と無能の失政を繰り返し、日本社会は坂道を転がり落ちていった。そうした状況を救う唯一の手段が政権交代であり、私自身も研究や思索の世界を離れ、この数年間、ただひたすら政権交代実現のための政治活動に全精力を捧げてきた。
しかし、政権交代は「打ち出の小槌」でも「アラジンの不思議のランプ」でもない。振ったり、擦ったりしても、何の成果も生み出せない。政権交代は、むしろリレーのバトンタッチのようなものだ。渡されたのが最下位のバトンであっても、それに不満を言ってもはじまらない。ランナーが圧倒的に不利な状況の中でも、順位を一つでもあげるのに歯を食いしばって頑張るのと同様に、新生民主党政権も膨大な財政赤字、経済低迷、税収欠陥という状況の中で、マニフェストに掲げた人間中心の政治テーマと公約の一つ一つに、現実政治を近づけていかなければならない。
2010年はまた外交の年でもある。アジアでは急激な経済成長の一方で、軍拡や核の脅威の増大が進み、日本の外交はさらに一層厳しい対応をせまられるようになる。普天間基地移転問題やアフガニスタン支援だけでなく日米安保条約50周年を迎えて、グローバル化した国際社会の中で、日米共同の安全保障システムはどうあるべきかを真剣に考えて行かなければならない。
その意味で、2010年は民主党政権にとって、いや日本社会にとってまさに正念場となる。新たな覚悟をもってこの一年に臨みたい。