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優子ものがたり




レビュー

 この本を読み、これほど絆を構築している(かのように見える)職員と優子も、ある一定期間を過ぎると、もうその先は関わりのない者同士なのだ、彼女が就職する時に「本当は追いかけたい、しかしそれはできない」という表現をされている職員の内面に、限界がみえた。

 施設の子には「別れ」が常につきまとうのだ。
 職員は彼女に「二度と戻ってくるなよ」と刑務所の出所時のような声掛けをしている。

 主人公の優子には親の存在が見えるから、別に職員と別れても取替えがきく。でもおそらく彼女にとって不動の存在は「実母」だと言いたいのだろう。だから主人公の職員は彼女が卒業すれば次の子へ向かう。実母との修復の物語という印象も受けた。でも多くの養護施設の児童は早々に縁が切れた方がいい親の方が多い、その事についてはとくに触れていない。

 わたしは、簡単に取替えがきくような、特別ではない環境に生きていたと改めて認識。でも大人になって頭だけで、人は大事、人は特別と言ってみたところでスローガンにもならない。別れて次の子へ向かう職員の仕事の邪魔をしない為、そっと背中を押されて卒業して行く養護施設の子は、誰も特別じゃあない。特別な存在というものが分からない。

 誰もが単なる一つのケースでしかない。かけがえのない家庭を作るためにかけがえのない子ども時代をかけがえのない親の元で過ごしてほしい、わがままかもしれないけれど。

 言葉だけじゃ難しい、体験してない事を勉強すると内容のないプロットだけになってしまう・・・。家庭生活とは違いすぎる・・・。

|  わたしの本棚 つんどくリスト | 14時41分 | comments:1 | trackbacks:0 | TOP↑

「日本の児童養護 児童養護学への招待」ロジャー グ゙ッドマン著 津崎哲雄訳を 前に紹介していただいて ありがとうございました。3000円、415pという 分厚い本を 読むのは何年ぶり。まだ1/4しか 読んでないですが,著者は 学者で 正直な 記述です。この研究を するきっかけに なった 彼への助言は 印象的です:「もし日本社会が最も社会的に弱い 構成員を どのように扱っているか理解したいので あれば、親が養育できぬ、養育する気をもたない、養育することを 許されない 子どもたちが 暮らしている福祉施設を 研究すべきである。」

| jtw | 2007/02/08 16:49 | URL |














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