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児童養護施設はそれぞれの家庭の虐待が集結し連鎖が起こる場所

 養護施設の児童を措置期間に応じて乱暴に分けると、児童養護施設出身者と養護施設体験者に分けられる。乳児院から全ての子ども時代を養護施設のみで育った施設出身者と、子ども時代の一時期、数年だけ養護施設で生活し、家に戻る施設体験者、彼らの中には小学高学年くらいから施設へ来る子ども、さらに少し大きくなって入所してくる子ども、彼らは今思うと虞犯少年・少女が多かった。

 親のない子にとって施設というのは逃れられない場所だ、でも一方、機能不全家庭から救われた子ども達にとっては一時期身を寄せ、やがて去ってゆく場所だ。彼らは施設に長く措置されるわけではない事を知ってもいる。だから限りある措置期間暴れ怒り狂う。親が育てられない児童はどちらかというと地味で大人しい、でも、家庭から来た少年達の怒号と叫びとなどを見せ付けられていた。

 わたしはどこか慣れてしまっている、人がどこかで血を流そうが叫ぼうが嘆こうがあまり気持ちが驚かない。人の痛みもよく判らないし自分がもし痛いとしても判らないだろうなと思う。刺激空間に慣れっこになっていて、この社会が生ぬるくて仕方なく感じる事がある。

 しかし、刺激だらけの施設の状況だから、集団養育を賛美する人々が夢見る「子ども同士の育ちあいは、実際はつぶし合い」となっている。なにしろ「養護施設というのは、割れたままの補修しない窓である」から、心のすさみが建物とその場の雰囲気全てを覆いつくしている。養護施設の建物を見た事があるだろうか、地域の中で廃屋のように鉄筋コンクリートの建物がぬっと立っている。(全てがそうではない、念の為)

 そのたたずまいを見ると、地域でも威圧感を感じている人がいるだろう事は想像がつく。建物を見て、それを大きな家族と思うよりは、どうみても畑のど真ん中の更正施設、あるいは山の高みにある天然の牢獄といった印象だ。

 そんな施設へ保護されてもケアをきちんと受けていないから、今度は親からやられた虐待を年下の子を使ってやろうとする。機能不全家庭から来た子どもは虐待の連鎖を施設内で起こしている事を何故職員達は誰も言わないのか。

 わたしが出た施設の職員は「スーパー職員じゃなから目が届かない」と言っている。そんな死角だらけの施設に子ども達は集団で生活している。
 
 養護施設は虐待の連鎖が起こりやすい条件を備えている。それは虐待を散々親から受けてきた子ども達だから当然だ、でも保護の名の下にかき集められてもケアを受けられない子たちでもある。そして彼らはいつもプレイをしたがっている。吐き出し相手を必要としている、表現したがっている。そういう子が施設に集結し(措置により)結果として集団暴力・性的暴力が起こる。

 当たり前の現実なのに、養護施設は保護された子どもたちがいる場所としか言わない。保護された先の生活を想像させない表現ばかりを世間へ向けて吐いている。

 でも施設に長い間いる子たちは身を持って知っている。記憶の有無によらず知っている、育てあいも、思いやりも、自主性もありはしない、ボスがいて配下の者がいるだけ。やがて怒り持つ少年達は、幼い子ども達をいじめ、集団で暴行し、脱走してわめき散らし、すっきりして施設を去ってゆく。「○○先生は俺に向き合ってくれた」と言いながら・・・。でも実際は年少者に暴力三昧をしてすっきりしただけの話じゃないかと感じてる。時間のない職員がそこまで児童1人に付き合えない。

 そして彼らは数年後、すっかりよきパパになって戻ってくる。
 昔はヤンチャしたけど、今はいいパパだと。

 わたしは個人的に、養護施設は虐待の表現(連鎖)場所だと思っている。ヤンチャしたという上級生の男子をみるとずるいと何故か思ってしまう。彼らは騒がしく暴れて、施設に元からいた親のない子を表現の為に用い、勝手にスッキリしただけだ。

 手の付けられない怒りを持った少年達を本当に精神的な面からケアした事にはならない。だから身を守る為に木刀や竹刀を持ち歩く職員達がいる、そんな世界なのだ。そんな職員が荒ぶる少年達に真正面から向かい合ったとは到底思えない。

 乳幼児を早く家庭へいかせたい理由の一つに、このような子ども達の暴力から身を守ってほしいという隠れた望みがある。里親家庭へ行けないという事はあえて暴力的な空間に幼いながらに身を置くという事なのだし 怒号と破壊の渦の中にいるという事だ。慢性的にDVを見せ続けられている事だ、そしてもちろん被害者になる確率はもっとも高い。

 なにが育てあいだと、個人的に吐き捨てたい気持ちがする。

 ・・・又、行方知れずになった子がいると、そう思わずにいられない。何を間違って育ち、行方知れずになってゆくのだろうと。わたしも消えた子を探す気は起こらないのでお互い様なのだけど。

|  養護施設を出てからの問題 | 07時01分 | comments:1 | trackbacks:0 | TOP↑

書いてくれてありがとう

レイさん、書いてくれてありがとう。
そうだろうな・・・と思っていても、体験していない私は想像でしかなかったことで、この記事をずっと待っていたようにも、思います。
ありがとう・・・・。

|  kasumi | 2007/02/05 13:09 | URL | ≫ EDIT














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