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普通の家庭の子は「これくらい」が普通?

 夫はわたしについて「愛着が持てないんだから愛着障害かもな」と言った。しかし、多動の項目をインターネットで調べて「落ち着きがないのが多動なら、家庭の子はみんなそうだ」と言った。わたしは、施設の子が目立たず大人しく、どちらかというと静か過ぎる事が問題になる。事を知っている、わたしは夫を変といい、夫は、子どもとはこういうものだと反論し・・・・。

 しかし、夫は子どもの頃、大騒ぎをして落ち着きがなく、寝坊も忘れ物も全てやらかしていて、親が苦労していたという。

 ほしい物があると路上に大の字になって寝転がり、大声で泣き、人だかりが出来た事で親が恥ずかしがるので、物を買うしかない。
 
 ほしい物があると「買ってよ!」と騒ぎたて、家の窓ガラスをパンチして割った。

 火災報知器、非常ベルを見ると押してみたくなる性分で、バスの非常ベルを鳴らして親が怒られた。などなど・・・。大人の彼を見ても、忘れ物は必ず取りにいく羽目になるし、落ち着きがあるとは思えず・・・という、子どもの頃の片鱗は少しあるようだ。小学生の頃、彼はこうだったらしいが、子どもというのはこんなもので、これを多動だというなら家庭の子は全員そうだと豪語する。

 反対に自分は、そんな態度はとても取れない。何しろ養護施設の集団生活の中で、目立つ事は良い事も悪い事も含め、自分にとっては凶器になる。もし調子に乗ってそんな事をしていてもやがてすっかり大人しくなっていくのが施設の子。わたしは、学校で表彰状をもらった事があるがあわてて丸めて捨ててしまった事もある、それくらい目立つ事はいけない。

 多動の症状の一部をネットで見ると、


参照元:http://ja.wikipedia.org/wiki/ADHDWikipedia
正式名は注意欠陥・多動性障害 (AD/HD: Attention Deficit / Hyperactivity Disorder)

症状

 通常7歳までに症状が確認される発達障害の一種で、集中困難・過活動・不注意などが一生にわたって持続する。過活動が顕著でない不注意優勢型の場合、周囲が気付かない場合も多い。

 年齢が上がるにつれて見かけ上の「多動」は減少するため、以前は子供だけの病気で成人にはないと信じられていたが、近年は成人の症例も報告されている。そのため、症状は育て方や本人の努力で完治することはないともされている。ただ、子供のADHDでさえ曖昧な点も多く、日常生活に支障をきたす精神的な特性を何でもかんでも障害に含めるべきではないとする意見が根強いため、成人にADHDを認めるべきかどうかは医師によって考え方がまちまちである。成人においては、時間が守れない、物の整理や情報の管理ができない、大切なことを忘れる、見通しをつけるのが苦手で、衝動的に行動してしまう、注意力を持続することができない等、日常生活をきちんとこなす能力に欠陥が現れるとされる。先延ばしも問題になる場合が多い


 これを読む限りは、あまり愛着の対象者が居るとか居ないとかは関係ないように感じる。家庭の子でも施設の子でも起こりうる症状のように思える。ただ施設の厳しい管理体制の下では淘汰される症状のような気がする。

自分なりに上記の引用文の中のいくつかを施設の生活に当てはめてみた。

>時間が守れない

 いやでも時間が守れるようにビシビシ鍛えてくれる。

>物の整理や情報の管理ができない

 掃除はいやという程させられる一方、施設では情報からふざけるな!という程切り離されてる。

>大切な事を忘れる

 何が大切かわからない、定義から始めなくちゃいけないのが施設。まず大切な人がいない。「大切な人と場所で大切な事」が何かがわからない以上、忘れっぽいのは仕方ない。

>見通しをつける事が苦手

 自分がなぜ、この施設にいるのか判らないのに見通しなどつけられる筈もない。

>衝動的に行動してしまう。

 衝動的にぶん殴る職員、衝動的に侮蔑的発言する保母、虞犯少年は衝動の固まり、こういう世界で衝動性をコピーする恐れはあるかも。

>注意力を持続する事ができない

 何に注意すればいいのかわからない。

 確かに施設の子も落ち着きがないように見える。昨晩Mariaと多動について話したのだけれど、施設の子の多動に見える行動は、強迫観念的スケジュール消化を目指すので、次から次へとやる事を決めておかないと不安になる。養護施設の集団生活の場はきっちりスケジュールが組み込まれていた生活。大人になってもタイムテーブルが心身に組み込まれているので、落ち着きがない という風に見えてしまう。

 しかし夫は落ち着きがない児童だったそうだ。ただそれだけだったらしい。そしてそれで許されてしまう家庭だったので今も問題意識が低い。むしろ、冷血で冷静な施設育ちを変だと感じるようだ。
 
 養護施設で身に付けてしまった癖は、大人になって自覚さえすれば直していける。いくらがんばっても直せないわけではないのだ。多動の方はおそらく、自分の意思とは別に行動しているのだろう。

 夫は最後に言った。

 「オレは今でもそれの何処が悪い?」と思うと。火災報知器を鳴らしても、元気でいいじゃないかというレベル。しかし養護施設では、他人を巻き込む大騒ぎを許さない、連帯責任となる。

 なので、夫とわたしの意見調整はなかなか落としどころがない。

 そしていつも彼の母、わたしの立場では姑が口癖のようにわたしに言う。
 
 「はっきりしない嫁」「おとなしいだけ」「何考えてるのか」と。

 夫の落ち着かなさをそのままにしたのが彼の育った家庭なら、わたしの無愛着を作り出したのも養護施設。それぞれに自覚して癖を修正できるか否かで、症状の深度が計られる気がする。 

|  養護施設を出てからの問題 | 09時24分 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑














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