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【主張】日中韓首脳会談 中国の「曖昧」姿勢は残念
韓国・済州島で行われた日中韓首脳会談では韓国哨戒艦沈没事件への対応が主要議題となった。急速に高まった朝鮮半島の軍事的緊張を緩和するため3カ国が協議を続ける方針が確認されたのは当然である。
しかし、韓国軍と米英豪など軍民の合同調査団が「北朝鮮の魚雷攻撃による」と結論づけた報告について、中国の温家宝首相はなお正否の判断を避けた。
北朝鮮にとって最大の支援国である中国の姿勢が依然不透明である。国連安保理による対北制裁決議に向けた具体的な進展がなかったのはきわめて残念だ。31日には東京で日中首脳会談が行われる。鳩山由紀夫首相が引き続き、温首相に働きかけるよう求めたい。
日中韓サミット後の共同記者会見で韓国の李明博大統領は事件への対応を国連安保理で協議する必要性を改めて表明し、鳩山首相は日中韓3カ国の緊密な連携を強調した。
これに対し、温首相は「緊張緩和」や「武力衝突回避」などの発言にとどまった。
日中韓に先立つソウルでの中韓首脳会談で、温首相は哨戒艦事件について客観的、公正に判断して中国の立場を決めるとし、「誰もかばうことはしない」と北朝鮮を無条件で擁護しない立場をにじませた。だが、日米など多くの国が「説得力がある」とした調査報告についての判断を先送りしていること自体が北朝鮮のさらなる暴挙につながるおそれもある。
韓国大統領府は中国に対し、事件の調査結果を詳細に検討するための専門家チームを韓国に派遣するよう提案した。中国はこれに応じるべきである。事件の対応を曖昧(あいまい)にしたままでは、問題解決は遠のくばかりだ。
済州島での日韓首脳会談で、李大統領は米軍普天間飛行場の移設問題に関する日米合意に言及し、「北東アジア情勢が予断を許さない中、(首相は)非常にいい決断をされた」と高く評価した。
韓国メディアによれば、北朝鮮はすでに朝鮮戦争の休戦協定に違反して非武装地帯(DMZ)内の北朝鮮側監視所に対空砲を設置するなど威嚇行動をとっている。韓国側が偶発的な軍事衝突に備えるのは当然だが、日本にとっても目の前の脅威と認識すべきだ。
「日本の(米軍)基地の果たす役割は非常に重要だ」と李大統領が指摘した意味は重い。