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「光の道」とNTTの構造分離(まとめ) - 松本徹三
2010年05月31日14時30分 / 提供:アゴラ
この問題については、先週の月曜日と水曜日に二回に分けてアゴラのコラムで長々と論じましたが、それに対し多くのコメントを頂きました。また、現時点で9700人を超える方々にフォローして頂いている私のTwitterでも、この件に対するやり取りが継続的にあります。その中で、「私の考え」や「ソフトバンクの孫社長が今回打ち出した具体的な提言」に対する異論・反論は、おおむね体系的に把握出来たと思います。考えてみれば、これは驚くべきことです。新聞や雑誌にしか頼れなかった時代には、このように自分の考えをどんどん世の中に問うことも出来なかったし、ましていわんや、それに対する異論・反論をほぼリアルタイムで聞かせてもらえる等ということはあり得ませんでした。官庁筋や有力なジャーナリストの方々も、「もはやブログやTwitterを無視している訳には行かない」と言って頂いていますし、「言論のあり方の革命」が今や着々と進行していることが実感出来ます。
そういうわけで、今回は、こうして収集できた異論・反論をベースとして、これまでの議論を総括してみたいと思います。(本当はチャートの形にして示せるともっとよいのですが、まあ、それは今後の課題としておきましょう。)
本論に入る前に、もう一度、現在私が勤務しているソフトバンクの立場を整理しておきます。ソフトバンクが望んでいる将来の姿は下記の通り単純明快です。
(1)出来るだけ早い時期に、あらゆる種類のクラウド型のサービスを可能とする「高速通信網」が日本中にいきわたること。
(2)あらゆるレイヤで完全な「公正競争環境」が保証されていること。
以上の2点に尽きます。
上記の(1)については、当然自らも貢献したいのですが、その為には2)が先決であり、且つ、仮に(2)が保証されていても、新たに自らが直接参入するのは「実質的に不可能」、或いは「極めて不効率」な分野もあることを認識しています。
次に、国の見地から考えるなら、上記の2点に加え、「あらゆるサービスを、全国で格差なく提供できること」が目標になるでしょう。
これが実現出来るなら、どのような技術が使われようと、NTTの組織にメスが入れられようと入れられまいと、そんなことはどうでもよいのです。「光の道」ということがスローガンとして掲げられているのは、「目的達成の為には、どうもそれが近道のようだ」と考えられているからであり、「NTTの構造問題」が併せて議論されているのは、「突き詰めていくと、この問題は避けて通れない」と思われているからに過ぎません。議論の結果、「もっとよい方法がある」という事になれば、それに固執する必要は全くないと思います。
それでは、前置きはここまでとし、以下に「異論・反論」を順不同で羅列し、そのそれぞれに対する回答、反論、或いはコメントを記します。順不同で羅列されている異論・反論には、当然、重いものと軽いものが交じり合っておりますが、ここでは特にそれを意識はしない事にします。
1)インフラは諸外国より進んでおり、大きな問題はない。それよりも重要なのは「利活用」の問題なのだから、先ずはそのことに議論を集中すべきなのに、何故インフラのことばかりを論じたてるのか?
「インフラ」の問題は「必要条件」ではあるが、勿論「十分条件」ではありません。それなのに、何故先ず「インフラ」の問題のみを声高に論じるかと言えば、それが「政治的にしか解決できない問題」だからです。逆に「利活用」の問題は、環境さえ整えば自然に進むものであり、あまり政治的に論じる必要のない問題だからです。
いつも例に挙げることですが、多くの発展途上国では、電力線を国の政策として各戸まで引き込むかどうかは、国家レベルでの大きな議論となります。しかし、それが電灯等の最小限の用途でしか使われない(つまり「利活用が不十分で、無理して電力線を引き込んだ意味が少なかった」と判断される状態にとどまる)か、テレビや、洗濯機、冷蔵庫などを含む数多くの家電製品の為に使われる(つまり「十分に利活用が進む」)かは、各利用者のニーズと経済力によって決まることであり、別に大きな政治的な議論を必要としません。
家電製品の製造会社や流通・輸入業者は、それぞれの思惑で投資をして、売込みをはかりますが、それがうまく回るかどうか、どのように進捗するかは成り行き次第ですし、国が関与すること等はあまりありません。「高速通信網」の「利活用」も同じことで、インフラが広くいきわたっていれば、多くのサービス業者の意欲が刺激され、多くのサービスが格安に提供されるようになり、それによって利活用が進むのが普通です。
現在の携帯電話サービスを支える3Gネットワークのことを考えてみてください。今や、多くの人達にとって「3Gがない」等という状況は考えられず、3Gでも不十分と感じる人達が日増しに多くなっている状況ですが、導入時は、多くの人達の想像力は「テレビ電話」等というものにしか及ばず、これは当然のことながら全くの空振りだったので、先行したドコモは2年間投資の回収に苦労しました。(欧州などでも、「一体何が3Gのキラーアプリになりうるのか」という議論が長い間続いていました。)
学者や評論家の先生方が「高速通信網の利活用」の問題を論じている姿は、失礼ながら私にはやや滑稽な(場違いな)ものに見えてなりません。そういう方々の誰が、YouTubeやFace book、モバゲーやグリーのことを予測できたでしょうか? インフラは巨大企業にしか整備できず、巨大企業ですら政治の後押しがなければどうにもならない事が多いのに対し、「利活用」の市場は、放っておいても、名もない人達が滑ったり転んだりしながら作り上げていくものです。
現時点でも既に相当数の人達が「光でなくちゃあ、トロくさくてやってられないよ」と感じ、実際にFTTHを契約しているのですから、すでに「利活用」は始まっているのであり、後はこれが拡大していくのが自然の流れのように思われます。
そういうわけで、今回は、こうして収集できた異論・反論をベースとして、これまでの議論を総括してみたいと思います。(本当はチャートの形にして示せるともっとよいのですが、まあ、それは今後の課題としておきましょう。)
本論に入る前に、もう一度、現在私が勤務しているソフトバンクの立場を整理しておきます。ソフトバンクが望んでいる将来の姿は下記の通り単純明快です。
(1)出来るだけ早い時期に、あらゆる種類のクラウド型のサービスを可能とする「高速通信網」が日本中にいきわたること。
(2)あらゆるレイヤで完全な「公正競争環境」が保証されていること。
以上の2点に尽きます。
上記の(1)については、当然自らも貢献したいのですが、その為には2)が先決であり、且つ、仮に(2)が保証されていても、新たに自らが直接参入するのは「実質的に不可能」、或いは「極めて不効率」な分野もあることを認識しています。
次に、国の見地から考えるなら、上記の2点に加え、「あらゆるサービスを、全国で格差なく提供できること」が目標になるでしょう。
これが実現出来るなら、どのような技術が使われようと、NTTの組織にメスが入れられようと入れられまいと、そんなことはどうでもよいのです。「光の道」ということがスローガンとして掲げられているのは、「目的達成の為には、どうもそれが近道のようだ」と考えられているからであり、「NTTの構造問題」が併せて議論されているのは、「突き詰めていくと、この問題は避けて通れない」と思われているからに過ぎません。議論の結果、「もっとよい方法がある」という事になれば、それに固執する必要は全くないと思います。
それでは、前置きはここまでとし、以下に「異論・反論」を順不同で羅列し、そのそれぞれに対する回答、反論、或いはコメントを記します。順不同で羅列されている異論・反論には、当然、重いものと軽いものが交じり合っておりますが、ここでは特にそれを意識はしない事にします。
1)インフラは諸外国より進んでおり、大きな問題はない。それよりも重要なのは「利活用」の問題なのだから、先ずはそのことに議論を集中すべきなのに、何故インフラのことばかりを論じたてるのか?
「インフラ」の問題は「必要条件」ではあるが、勿論「十分条件」ではありません。それなのに、何故先ず「インフラ」の問題のみを声高に論じるかと言えば、それが「政治的にしか解決できない問題」だからです。逆に「利活用」の問題は、環境さえ整えば自然に進むものであり、あまり政治的に論じる必要のない問題だからです。
いつも例に挙げることですが、多くの発展途上国では、電力線を国の政策として各戸まで引き込むかどうかは、国家レベルでの大きな議論となります。しかし、それが電灯等の最小限の用途でしか使われない(つまり「利活用が不十分で、無理して電力線を引き込んだ意味が少なかった」と判断される状態にとどまる)か、テレビや、洗濯機、冷蔵庫などを含む数多くの家電製品の為に使われる(つまり「十分に利活用が進む」)かは、各利用者のニーズと経済力によって決まることであり、別に大きな政治的な議論を必要としません。
家電製品の製造会社や流通・輸入業者は、それぞれの思惑で投資をして、売込みをはかりますが、それがうまく回るかどうか、どのように進捗するかは成り行き次第ですし、国が関与すること等はあまりありません。「高速通信網」の「利活用」も同じことで、インフラが広くいきわたっていれば、多くのサービス業者の意欲が刺激され、多くのサービスが格安に提供されるようになり、それによって利活用が進むのが普通です。
現在の携帯電話サービスを支える3Gネットワークのことを考えてみてください。今や、多くの人達にとって「3Gがない」等という状況は考えられず、3Gでも不十分と感じる人達が日増しに多くなっている状況ですが、導入時は、多くの人達の想像力は「テレビ電話」等というものにしか及ばず、これは当然のことながら全くの空振りだったので、先行したドコモは2年間投資の回収に苦労しました。(欧州などでも、「一体何が3Gのキラーアプリになりうるのか」という議論が長い間続いていました。)
学者や評論家の先生方が「高速通信網の利活用」の問題を論じている姿は、失礼ながら私にはやや滑稽な(場違いな)ものに見えてなりません。そういう方々の誰が、YouTubeやFace book、モバゲーやグリーのことを予測できたでしょうか? インフラは巨大企業にしか整備できず、巨大企業ですら政治の後押しがなければどうにもならない事が多いのに対し、「利活用」の市場は、放っておいても、名もない人達が滑ったり転んだりしながら作り上げていくものです。
現時点でも既に相当数の人達が「光でなくちゃあ、トロくさくてやってられないよ」と感じ、実際にFTTHを契約しているのですから、すでに「利活用」は始まっているのであり、後はこれが拡大していくのが自然の流れのように思われます。
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