2010-05-30 議員、有識者が激論!青少年健全育成条例改正問題 最前線!レポート
「都条例改正及び規制問題に対して意見を述べる会」レポート
http://blog.livedoor.jp/kurizen/
秋葉原のUDX前……というより、ガンダムカフェの前で開催された都条例反対の街頭演説会。
残念ながら開始までに現地に到着できなかった為、途中からの参加。
足を止めているのは100人くらいかな?
ほとんどの人は足早に通り過ぎるばかり。
中には国会議員と勘違いして国政批判めいたことを口にして通り過ぎる人も。
せめて「都条例と表現規制問題について」とか看板があれば、もう少し反応も違ったと思う。
自分が到着した時には西沢けいた都議が東京都がパブコメを隠蔽した話。
その後吉田康一郎議員に変わるも、風が強くなったせいもあって、だんだん声が聞き取りにくくなってくる。
最後はくりした議員が締め。
聞いた範囲では目新しい話は特にない感じでした。
「議員、有識者が激論! 青少年健全育成条例改正問題 最前線!」レポート
続いて、内幸町で開催されたシンポジウムのレポート。
うわ、看板ショボっ!
と思ったら、こっちは裏口だったみたいです。
携帯がつながらない為、現地からのレポートは断念。
ホールの広さは200席くらい?
最終的に立ち見も出たので、多分220人くらい集まったのではないかと。
以下、シンポジウムの内容を抜粋。
なお、以下の文章は実際の発言そのままではなく、自分が発言内容を抜粋/解釈したものであり、発言者の意図とは異なる場合があります事をご了承下さい。
■国会議員より
左から山花郁夫議員、小川敏夫議員、蓮舫議員、海江田万里議員。
推進派の陳情も激しいが、早計に規制して良いものでは無い。
都議会とも緊密に連絡を取り合っていく。
あまりに杜撰な条例で仕分け以前の問題
知事の態度は作家とは思えない。一体何をするつもりなのか、あれでは警察主導と非難されても仕方がない。
しかし国から都に口出しするのは難しい。
条例が抽象的でハッキリしないのが問題。
条例が出来てしまうと、どうしても現場が萎縮してしまう。
条例の性質上、行政から注意や警告を受けただけでも名誉が著しく損なわれてしまい、相手の社会的評価を自由に落とせるようになる。
「青少年に有害」だけで取り締まられては、最終的には別件逮捕の口実に利用されてしまう危険性すらある。
今期は枝野議員が大臣になったので児童ポルノ問題は自分が担当している。2004年の改正時にも担当。児童ポルノ専門家、ポルノ議員などという渾名で呼ばれる事も(苦笑
3号ポルノには否定的だったが、野党の立場では止められなかった。3号ポルノは削除の方向で議論を進めたい。
児童ポルノは児童虐待に直結する事が問題。購入や製造も虐待幇助として取り締まる事で、児童虐待の範囲で厳しく取り締まる方向で考えている。
親が犯人の場合が多く、そうした子供のケアも法律に含めたい。
安易なエロ本規制 > エロ本の定義の問題。同じ本に掲載されているエロくない部分はどうするのか?
銃刀法や違法薬物も、観賞用や医療用など「使い方」で判断されるのに、児童ポルノの場合はそれが無く、いきなり逮捕されてしまう。
■関係者より
署名活動について。29日現在2347筆。着々と増えつつある。女性の割合が多いが、男性の署名は低調。海外からも署名が送られてきた。請願として提出するか、署名のまま提出するか今後の議会次第。
今の流れなら、条例は否決の可能性が高い。都庁クラブ所属の記者から取材を受けたが、否決に関して何故か残念そうだった(笑
東京都青少年問題協議会のメンバーは公平性に欠け、役人が都合の良いメンバーを恣意的に集めている。慎重派が意見を述べられる空気では無い。もっとオープンな議論の場を。
バーチャル社会のもたらす弊害から子どもを守る研究会で公平性を保つ為に慎重派を入れたら、警察の都合が良い方向へ話を持って行けなかった。その頃から、この手の集まりは面子が露骨に偏り、慎重派や良識派を排除するようになった。
都の質問回答集は問題となっている部分を無視して、都合の良い説明ばかりしている。反対意見を表明した作家や団体に個別に説明をして回っているが、何故か説明を聞いただけで、納得して賛成した事に勝手にしている。
都を監視すべき立場にもかかわらず、このような不誠実な対応を放置するような議員には議員の資格はない。
弁護士も理解できないような条文はおかしい。法律の専門家が理解できないという事は、裁判官も理解できない。
出版業界は自主規制をアピールしてこなかった。権力とのなれ合いもあった。もっと自分達の活動をアピールしていく必要がある。
実在児童のケアを含む部分は評価できる。
第三者として構成に判断すべき東京都青少年健全育成審議会に都の職員が入るのはおかしい。都議会の同意人事として、出版業界などの意見も取り入れるべき。
不健全指定されると裁判しか対応手段がない。不服申し立てのような制度が必要。
今回否決されたとしても、まだ第1ラウンドが終わっただけ。
男女共同参画に創作規制が含まれている。自民党時代の意見がそのまま残ってしまった。担当の福島大臣は創作規制に慎重だったが罷免されてしまった。規制推進派が福島大臣の後釜を狙っていて非常に危険な状態。
世論がどんなに盛り上がっても、規制に反対するのは議員にとってリスクが大きい。
反対してくれる議員を我々が応援して行くしかない。
海外からの外圧について。
150年前の不平等条約撤廃の頃から、性風俗を海外の基準に合わせろという外圧が存在した。
G8で単純規制していないのは日本とロシアだけと言うが、実際の児童ポルノ事例はドイツ、オランダ、アメリカがずっとトップ3。日本はG8どころか12位以下、年々状況が改善されている。単純所持規制している国ほど状況は酷い。
日本の性風俗やマンガ文化、社会規範の違いなどを理解しないまま、海外の基準を当てはめて的はずれな批判が繰り返されている。結果として児童ポルノの定義が混乱している。
諸外国でも児童ポルノと言うと思考停止する人が多く、ネットや創作活動を規制したい人達が児童ポルノを都合の良い口実に使っている状況は日本と一緒。
「子どもと青少年の性的搾取に反対する世界会議」では日本は疑似児童ポルノ大国であり、マンガのほとんどは児童や女性を虐待した内容などというウソがまかり通っている。そして、なぜかこの会議には、青少年問題協議会等でよく見かける名前が日本からの出席者として並んでいる。
女性がこのように広く創作活動を行っている国は他に無い。それは誇るべき。
一方で海外では女性が性表現を含めた創作活動を行う事が少ない為、女性が性表現を行う事そのものが理解されず、歪曲されてしまう。
表現規制は明治の頃から、小説や映画が規制に晒されてきた。軍国主義とは関係なく、それ以前からなんらかの形で規制は行われていた。夏目漱石なども文部省の規制に反対していた。
■応援メッセージ
参加出来ない議員や関係者からの応援メッセージ
- 宮崎タケシ議員 元ラノベ作家という異色の経歴の持ち主。
- 高橋昭一議員 フラッシュアニメを自ら制作するなど、やはり異色の議員。
- 松浦大悟議員 メデイアリテラシー教育を重視する立場から、ネットや創作規制に慎重な事で有名な議員。
- 里中満智子先生 まあ、説明はいらんですよね。
■青少年条例プロジェクトチーム所属議員によるパネルディスカッション
左から伊藤まさき議員、松下玲子議員、西沢けいた議員、あさの克彦議員、くりした善行議員。
- 伊藤議員
最初は青少年保護という事で問題を感じていなかった。他の都議の声や大量のメールを見て初めて「これはおかしい」と気が付いた。
規制はちゃんと行われており、現状であらたな規制が必要とは思えない。
生活ネットと共に撤回要請を出すが東京都は拒否、共産党とも協力して撤回を目指していく。
造反議員が出るのが恐い、一部の賛成派はまだ諦めていない。
追加説明が必要な条例はおかしい。議会に提出する以前の問題。これでは中身を議論する事も出来ない。
築地市場の移転問題が大きすぎて党内でも青少年条例の話が影に隠れてしまったが、メールが殺到した事で流れが変わり始めた。
それでも、一時は推進派に押し切られて「付帯決議をつけて賛成する」ところまで持って行かれてしまったが、松下都議達の反対でギリギリのところで踏みとどまった。
国会でも、蓮舫議員などから「このまま条例を通すつもりなのか」という声があがり、ようやく反対でまとまった。
ここで撤回させても、形を変え、より反対しづらい内容になって再び提出されるだろう。
議会も役所も、市民に見られていないとついつい楽をして手を抜きたがる。市民に議会を見続けて欲しい。議員も民意がなければ動けない。
- 松下議員
まず手続きが問題。
自分も青少年問題協議会のメンバーだったが、参加した時には既に条例案の内容は決まっていた。
参加している委員の面子が偏向している。反対意見を言うと白い目で見られ、とても発言できる雰囲気ではなかった。
作家の意見が全く取り入れられていないのはおかしい。
今回は杜撰な内容だったおかげで、反対も楽だった。
有害情報のネット規制は、適応範囲が広く、違法でなくても簡単に取り締まったり、ブロッキング出来てしまう。
築地問題で手一杯だった民主党上層部は、青少年問題まで手が回らなかった。
一時は反対できまりかたけが、推進派にひっくり返されてしまった。
「このまま条例を通すなら、民主党から離脱する」と啖呵を切ってようやく止めた*1
しかし、政治家がいくら騒いでも、市民の声の後押しが無いと、こういうのは止められない。
日弁連にも協力要請をしたが、会長選挙でそれどころではなかった。各団体の反対表明が間に合ったのは、審議が延長になったおかげ。
親が健全な成長を願うのは当然だが「健全」かどうかをお上が決めるのはおかしい。
本当に青少年は「健全」でなければならないのか? みんな自分達が子供の頃本当に「健全」だった? 多少不健全だって大丈夫。
まずは多数派にならねばならない。だが、青少年条例に反対しても票にならない。それどころか、「エロ議員」のような誹謗中傷も出ている。
まずは都知事を変えるしか無い。
議員は地元の意見をなかなか無視できない。まずは地元の議員に働きかけを。そして議員の活動をチェックして貰いたい。
- 西沢議員
役人が隠れて物事を決める危険性。官僚が隠した情報を暴くのが議員の仕事。
都民の代表である都議に、パブリックコメントのような都民の意見を見せられないという時点でおかしい。
都合の良い情報ばかりを出してくる。
担当者の考えや、時代の趨勢などで簡単に解釈を変えられるのは問題。
条例はもっと判りやすく、Q&Aが必要な条文をまず書くな。
残念だが、業務に支障が出たりすると、市民の声を迷惑に感じてしまう人も出てくる。
反対でまとめられたのは、本当にギリギリだった。
賛成派からは「条例に反対するような連中は選挙に来ない」という声が上がっている。
若い人は投票に来ないので、どうしても意見が無視される。
創作活動やコンテンツ産業を守る議員を多数派にする為にも、投票に行って下さい。
- あさの議員
最初は中立を前提に、賛成反対双方の議論の落とし所を考えていたが、最終的に反対すべきという結論に至った。
長く与党だった自民には、執行部の意見をそのまま通す体質がある。
行政の力で問題を片づけたい、片づけた気になりたい人たちがいる。条例でマンガやネットに責任を全て擦り付ける事で、自分達が責任逃れをしたいのではないか。
責任放棄社会。条例任せにするのは単なる無責任。
青少年は条例や学校、親だけでどうにかなる問題ではない。
創作規制や、性表現を禁止する事を当然のことであると刷り込もうとしている人達がいる。
築地市場の問題を優先し、青少年問題では自公が折れた雰囲気もあった。
メールやツイッターで市民の声を汲み上げ、政治に反映させていく新しい動き。
従来は少数の声の大きい人に引っぱられがちだったが、今回は多数のサイレントマジョリティがひっくり返した。
しかし、サイレントマジョリティは投票してくれないので、間違いなく投票してくれる少数意見に引っぱられてしまう。
まずは当選しないと話にならないので、どうしても選挙を無視できない。
議員の活動を評価し、それをブログやツイッターにどんどん反映させて欲しい。そうなれば、議員もサイレントマジョリティを無視できなくなる。
不健全とは何かを決めるのは本人や家族など。
- くりした議員
議案がスイスイ通過する議会の仕組み自体に疑問を感じている。議会がセレモニーではダメ。
継続審議になったのは30年ぶり、市民が議会を見張らないとダメ。
都条例は誰の為の物なのか。都民の声を無視し、当の都知事も把握していない。
現状は現行条例で十分対応可能。なのにさらに規制を強化する理由は?
規制を強化する言い訳の為に、わざと役人が「規制しない」本があるのではないのか?
本当に問題があると思う本なら、審議の場にどんどん出せばいい。どうして出してこない?
今日は来れなかったが、吉田康一郎議員は最初から都の担当者と激しくやり合っていた。そうやって、少しずつダメージを与えてきたのが、だんだん効いてきている。
今回はネットだけで呼びかけた。どれくらい参加してくれるのか判らず、演説会もガンダムカフェの行列に負けそうで不安だったが、こんなに多くの人が集まってくれた。
残念ながら、この活動は票には繋がらない。
マスコミが大きく扱う国政や、地元に密着した区議会や市議会と違い、中途半端な都議会はどうしても注目が集まらない。
■Q&Aコーナー
参加者との質疑応答
Q:都知事は条文を読んでおらず、猪瀬副知事もトンチンカンな回答を繰り替えしている。道路公団の頃は、役人をあれだけ非難していた副知事がなぜ今は役人の言いなりなのか。東京都が何を考えているか判らない。
猪瀬さんの事は我々も理解できない。
元々国との折衝を担当する副知事だった筈なのに、あれこれ口を出すので自公にも嫌われている。
知事が条例を精読していないのはおかしい。
役人が何を考えているのかも理解出来ない。
自民公明の議員にも働きかけを。最近も党議拘束に造反して、投票を欠席した人ががいる。
Q:不健全指定の範囲を広げる事をどう思うか
条例の範囲を広げる以前に、審議会が非公開である事など、制度運用上の問題改善を。
不健全、健全といった区分は子供を追いつめるだけ。
作家や親や子供といった当事者が全員蚊帳の外に置かれている。実際の当事者の声を聞いて欲しい。
ただ、見たくない人が、見なくても良い努力はする必要がある。
Q:当事者である青少年の声が反映されないのはおかしい。
なんでもかんでもダメではダメ。
隠しすぎるのも良くない。
Q:廃案にした方が良いと思った理由
当事者である親がこの問題を全く知らなかった。地元の集会で聞いても、知ってる人は2割程度。
まずは当事者の声を聞かないとダメ。
当事者である親に関わって貰いたい。規制を広げるには社会の議論が必要なはず。
以上です。
最終的に、当初予定を30分押しての終了でした。
入り口では多数の方が署名に協力していたようです。
都議会はどうやら一息つける状態と見て良いようです。ただし、民主党内の規制推進派議員もまだ諦めていないので、またひっくり返されるリスクはあります。もちろん、東京都は言わずもがな。
国政の児童ポルノ問題も、担当している議員はちゃんと問題意識を持って下さっているようですが、陳情なども激しいようですし、こちらも油断は出来ません。
最近の規制推進派が、児童ポルノ問題を正面から扱わず、ブロッキングや男女共同参画などの絡め手で来ているのも、こちらは攻めづらいと考えているからかも知れません。
どちらにしろ、民意が届かないと議員が動けないという事実は変わりません。
当初は無視されたパブリックコメントも、今では東京都を追い込む武器の一つになっています。
我々が声を上げていくことが何よりも重要だという事を再認識したシンポジウムでした。
ねず美 2010/05/31 15:36 西沢議員
> 賛成派からは「条例に反対するような連中は選挙に来ない」という声が上がっている。
> 若い人は投票に来ないので、どうしても意見が無視される。
> 創作活動やコンテンツ産業を守る議員を多数派にする為にも、投票に行って下さい。
これについては、議員さんも自分達のスタンスをはっきり公表して欲しいと思います。
私も前回の都議選ではこの件の事もあり、一応民主党の都議の方に票をいれましたが、ここに来られた都議と違って多くの都議は実際にどういうスタンスなのかは公表してないので、共産党の方に入れようかどうか迷いました。
民主党だからと言って反対派か賛成派は判断できないのでこれだけこの件で盛り上がったのなら、しっかり公表するようにしてほしい。でなければ我々の方も安心して投票したり献金などの応援もできないのです。
現在アニメ好き 2010/05/31 15:45 レポート、大変お疲れ様でした。
しかし、民主党の規制推進派の人達は心配ですね。
定例会においても、しっかりとした議論がなされて、無事に否決されてほしいです。
sympathyser 2010/05/31 22:07 ■ねず美さん
>議員さんも自分達のスタンスをはっきり公表して欲しいと思います。
それが議員さん達の言う「議会や議員を見て欲しい、評価して欲しい」なのではないでしょうか?
あらゆる事柄に対してスタンスを発表していたら、今度は情報が埋もれてしまいます。
地元の議員がどんな言動を行っているか、我々の側でも注視すべきですし、情報を出そうとしない議員は疑っていくくらいのスタンスで良いと思います。
■現在アニメ好きさん
>しかし、民主党の規制推進派の人達は心配ですね。
まだまだアピールが必要という事ですね。
実在中年 2010/05/31 23:36 レポート拝見させていただきました。ご苦労様です。
自分も行く予定でしたが、当日になってすっかり
忘れていました。orz
まぁ、この問題は仮に都条例の案が否決されたとしても
これで終わるとは思えません。
むしろ厳しくなる一方でしょう。こう言った「規制」の問題は
「反対する側が諦めるまで続ける」というのが規制する側の
行動原理です。
特に表現活動を行う方は、問題意識を常に持たないと
今以上に悪い状態を招く事になると思います。
(表現活動に直接関わっていない人もそうなのですが)