１１年余りに及ぶ訴訟に司法の判断が下りました。中国電力の島根原子力発電所の耐震安全性をめぐって、市民グループが原発の運転差し止めを求めていた裁判の判決で３１日、松江地方裁判所は住民の請求を棄却しました。
この裁判は、「周辺に活断層はない」とされてきた島根原発からわずか２．５キロ南側で１９９８年に活断層が見つかったことから市民グループが、その翌年に１号機と２号機の運転差し止めを求めて提訴したものです。
中国電力は、当初、活断層の長さを８キロとしていましたが、その後の調査で２００４年には１０キロ、２００８年には２２キロに修正し、国に報告していました。
１１年にも及ぶ裁判で住民グループは「専門家の調査から、活断層の長さは３０キロ以上の可能性がある」などとし、耐震設計に疑問を投げかけてきました。
一方、中国電力は、「活断層の長さは、新しい耐震指針に基づいたものであり、想定される揺れの強さについても余裕をもって設計している」と主張、国もこうした中電の報告を「妥当」と判断しました。
３１日の判決で松江地裁の片山憲一裁判長は、耐震安全性と活断層の長さについて「最新の科学的知見を反映したものであり、相当である」とし、市民グループの請求を棄却しました。
「これまで１０年以上を経た裁判の中で、当初の主張を行ってまいりました。今回の裁判はこれらを全面的に認めたものであり、極めて妥当な判決と考えています」（中国電力 山下隆社長）
「１１年間の取り組みを思うとなぜ司法が自ら検討判断できないのか、非常に残念でたまらない。（２２キロを）もっと延長する活断層というのは学者にあると指摘されたわけなので、まだ延長していく可能性大いにあると思う」（市民グループ 芦原康江代表）
市民グループは、国の判断を追認する形となった３１日の判決を不服とし、控訴する方針です。（5/31 19:20） |