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【大リーグ】

歓喜から悲劇へ モラレス骨折 サヨナラ満弾後に前代未聞の珍事

2010年5月31日 紙面から

 【アナハイム阿部太郎】ゴジラもあぜんぼうぜん…。エンゼルスのケンドリー・モラレス一塁手(26)が29日(日本時間30日)、マリナーズ戦の延長10回、劇的なサヨナラ満塁弾。歓喜から一転して悲劇が訪れたのはホームインした瞬間だ。ジャンプして本塁に着地した際、体勢を崩して左足の下腿(かたい)部を骨折。手術を受ける予定で近日中に故障者リスト入りすることが球団から発表された。チーム三冠王の長期離脱は必至でエンゼルスが大ピンチに陥った。

 まさにアンビリーバブル…。わずか数十秒で天国から地獄の絵に変わったのは延長10回だ。モラレスが左中間へのサヨナラ満塁弾。三塁ベースを回るとヘルメットを放り投げ本塁にできた歓喜の輪に飛び込む。

 その瞬間だ。ジャンプして本塁に着地しようとした際に体勢が崩れ、左足首をひねって転倒。何も知らないナインは、バシバシと手荒い祝福を浴びせる。だが、苦悶(くもん)の表情を浮かべた主役はまるで動かない、いや動けない。異変を感じたファンも歓声が消えざわめきに…。結局、モラレスは担架に担がれ病院に直行した。

 「非常に不幸なことが起こってしまった。祝福する方法を変えざるをえない。勝った後のクラブハウスの状況ではない」。いつもは冷静なソーシア監督も、試合後は顔面蒼白(そうはく)だった。ナインも一様にぼうぜん自失。まるで負けゲームのような雰囲気が漂った。9回に代走を送られた松井は、クラブハウスのモニターでその瞬間を観戦。「うーん。何とも言えないですね。自分のいた場所ではないですね」。沈痛な面持ちで声を絞り出した。

 この日、左手甲に死球を当て途中退場したハンターも「心配だ。彼はわれわれのベストヒッターの一人。こんな瞬間は見たことない」と言葉を失った。モラレスはエックス線検査の結果、左下腿部の骨折と判明。29日に手術を受ける予定で長期離脱は避けられない。現在、打率2割9分、11本塁打、39打点のチーム三冠王の衝撃的な戦線離脱。チームに与える影響は計り知れず、エ軍が思いもよらない形で窮地に追い込まれた。

◆松井が穴埋める

 今こそ奮起するしかない。モラレス離脱の穴を埋めるべく期待が集まるのが松井だ。この日は3打数1安打1四球。相手のエース、ヘルナンデスから、四球を除く3打席すべてでライナー性の打球を飛ばし「(内容は)良かったと思う」と、うなずいた。チームの主砲の長期離脱でこれまで以上に期待がかかるのは必至。松井は「どういう状況でも、自分のやれることをやるだけ」と闘志を胸の内に秘めて臨む。

 

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