―――序文。
この文を書き記すにあたり、万が一他人の目に触れる機会がいずれやってきた時のために、
序文という形でいくつかの言い訳を書いておこうと思う。
この書物とも呼べぬ御粗末な代物が何時、どのようにして人の手に渡るのかなど私には予想すらつかないが、
まずこの前書きに目を通してくれることを願うばかりである。
一つ、私は正規の物書きではない。
正規の物書き、という実に曖昧で抽象的な表現がどこからどこまでを示しているのかは置いておき、
私にとっての『正規』とは文章を生業とする人間であり、
つまり私は物書きを生きる糧としないただの素人だということだ。
文の構成や書き方を誰かに習ったわけでもない。
国語、及び現代文の成績が特段優れていたわけでもない。
娯楽で本を読み解き、趣味で拙い文を綴る、どこにでもいる一般人が私なのである。
そんな人間が、やはり道楽で書き上げた文章なのだから、
表現の間違いや誤字、意味の通じぬ慣用句が多くを占める駄文になっている。
文というよりは、文字の羅列といった方が正しいだろう。
技術も才能も本業には決して届かない。読み解いていくと、違和感ばかりが先立つ。
それが私の実力であり、限界であり、程度なのである。
そしてもう一つ。
これより綴られるのは、私の創作でもあれば自伝でもある、よくわからぬものである。
体験したことや感想などを私の視点から記しただけの、とても人には見せられぬ恥の結晶である。
正直に言えば、こんなものを他人の目に触れうる場所へ保管することに、
若干の不安と躊躇いを覚えずにはいられない。
―――それでも。
私にはこの物語に形をつける義務があった。
創造主として。日常を失った、哀れな人間として。
一区切りがついた今、主の目を避けつつ過去を想起して纏め上げ―――友人、パチュリー・ノーレッジに託し
彼の大図書館に眠る一冊として寄贈することとする。
せめて私が生きているうちは、誰にも読まれることがないようにと祈りつつ、
これを序文として書き記す次第である。
著者・鈴木祐一
あとがき
暇つぶしで書いた駄作です。
続くかもしれませんし、続かないかもしれません。
よろ。