【エルサレム=井上道夫、カイロ=貫洞欣寛】イスラエル軍は31日、地中海上で、パレスチナ支持の人権活動家らが乗った船団を拿捕(だほ)する作戦を実施、同軍によると船団の10人以上が死亡した。
船団側は、パレスチナ自治区ガザへ支援物資を届けるため人道目的で航行していたと主張している。だが、イスラエル側は、船団側が武装していたため、正当防衛で反撃したと説明している。
衝突の中で、兵士7人を含め、数十人の負傷者も出た模様だ。イスラム組織ハマスが実効支配するガザについて、イスラエルは境界封鎖を続けており、国連などが人道上の理由で封鎖解除を求めてきた。人道支援を掲げてガザ入りを目指した船団に死傷者が出たことで、国際社会からの批判が高まるとみられる。
船団は、トルコや欧州などの人権活動家、政治家ら600人以上が6隻の船に分乗。セメントや医療機器など約1万トンを積んでいた。
イスラエル軍は、ヘリコプターから降下するなどの手段で乗船した部隊が船を拿捕する過程で、活動家側が発砲、衝突したと主張している。軍報道官は作戦実施場所を「公海上だった」と説明した。
船団を送った国際人権団体の一つの広報担当は朝日新聞の取材に「イスラエル兵らは突然、私たちの船を襲ってきた。我々が武装していたなんてばかげている」と答えた。
イスラエル政府はハマスが2007年6月にガザを武力制圧して以来、「ハマスによる武器搬入を防ぐため」との説明で境界封鎖を強化。国連機関などは「人道上の問題」として封鎖解除を求めている。