記者会見で連立離脱を表明する社民党の福島瑞穂党首(右)と重野安正幹事長=30日午後4時28分、東京都千代田区、細川卓撮影
常任幹事会を終え、党本部を出る社民党の福島瑞穂党首=30日午後0時54分、東京・永田町の党本部、細川卓撮影
社民党の連立政権離脱は30日、東京都内で開かれた全国幹事長会議と臨時常任幹事会で決まった。鳩山政権は発足8カ月余りで連立の一角が崩れることになる。民主党は国民新党との連立によって、参院で過半数となる122議席を辛うじて維持する。
去就が焦点だった辻元清美国土交通副大臣は同日、前原誠司国交相に辞意を伝えた。辻元氏は記者団に「副大臣は社民党にいただいたポストであり、きちんと筋を通して返上する」と述べたうえで、「普天間問題は社民党にとってメガトン級の政策であり、これは譲れない一線だった」と強調した。
全国幹事長会議には、47都道府県連合の代表者が参加した。意見表明した地方組織の大半は「党首が罷免されたのだから、政権を離脱するのが筋だ」と主張した。新潟、富山、大分からは離脱への慎重論が出されたが、その後の常任幹事会で「党首の罷免は社民党の意思の否定に等しい」として離脱を決定した。
社民党は今後、民主、国民新両党と昨年9月に結んだ3党合意をどこまで進めるか、両党と協議する。参院選での選挙協力を続けるかどうかは、その後に再検討する。
会議終了後、福島瑞穂党首は記者会見し、「筋を通して良かったと言っていただいた。新しい政治を切り開くべく、社民党は全力でがんばる」と語った。一方、今後の国会運営については「政権から離脱するので与党というわけにはいかない」としつつ、「法律によっては労働者派遣法(改正案)を含め、(与党で)一緒につくってきたので是々非々でやっていく」と語った。
首相官邸内には当初、福島氏の罷免で「首相の決断力が評価される」との楽観論もあった。だが、罷免された福島氏が首相の「言葉の軽さ」を批判。「福島さんが殉教者のような扱いになっている」(首相周辺)と危機感を見せた。
一方、内閣支持率の急落で民主党内には動揺が広がり、一部には首相退陣論が浮上している。参院改選議員の一人は「10%台の支持率は危険水域をはるかに超えた」と指摘。別の参院議員も「首相は国民から信頼されなくなっている。6月から行動する」と語った。
閣内には「支持率が下がったといって首をすげ替えてきたことが日本の民主主義を不安定化させた」(枝野幸男・行政刷新相)として、首相続投を支持する声も根強い。参院選が間近に迫る中、首相の進退をめぐる党内の駆け引きが活発化しそうだ。