日本国内で米兵が罪を犯した際の扱いなどを定めた法務省資料を国立国会図書館が閲覧禁止にしていた問題で、同図書館が2月から禁止措置を解除し、米兵による犯罪被害者の名前などを除いて全面的に公開していることが分かった。資料は、法務省の要請を受けて08年6月に閲覧禁止としていたが、同図書館は「公開しても行政機関に大きな支障はなく、国民の知る権利とのバランスを考慮した」と説明している。
問題となった資料は、72年に法務省が作成した「合衆国軍隊構成員等に対する刑事裁判権関係実務資料」。同図書館が90年に古書店で入手して公開したが、法務省が「外国との信頼関係に影響する恐れがある」などと要請していた。09年2月には、ジャーナリストが閲覧などを求める訴えを東京地裁に起こし、現在も係争中となっている。【曽田拓】
毎日新聞 2010年5月1日 2時32分(最終更新 5月1日 2時32分)