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種牛発熱、国へ報告せず 宮崎県「2〜3日前から症状」

2010年5月29日3時1分

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 宮崎県家畜改良事業団(同県高鍋町)が管理し、延命を求めていた種牛49頭の中の2頭が発熱し、うち1頭に口蹄疫(こうていえき)の典型的な症状の鼻腔(びくう)内の水疱(すいほう)の破裂や流涎(りゅうぜん=よだれ)などが出た問題で、県は28日、発熱は22日と26日に1頭ずつ出ていたことを明らかにした。26日分は発熱時に東国原英夫知事に報告していたが、農林水産省への報告はなかった。県は29日にも49頭を殺処分する方針。

 県畜産課の担当者によると、22日に発熱した1頭は隔離後、抗生物質を与えたところ回復した。ところが26日に別の1頭が発熱。東国原知事に報告し、経過観察していたが、28日朝に口蹄疫の典型的な症状が出たという。報告を受けた東国原知事は同日の県議会全員協議会で報告した。

 赤松広隆農水相は同日昼ごろ、報道陣から事態を知らされた。「えっ、知らない。いま聞いた」と驚き、「疑似患畜と決めた以上は殺すと法律に書いてある。それをやらなきゃ(感染拡大が)治まらない」と語った。

 同省消費・安全局の担当者が慌てて電話で確認すると、県の担当者は「今朝症状が出ました」。再度の電話確認で「2〜3日前から発熱していました」と答えたという。

 49頭は、県事業団で感染の疑われる肥育牛が確認された16日に殺処分対象になった。だが、49頭を失えば、県事業団の種牛は約20キロ離れた同県西都市の山中に避難させたエース級の5頭だけになる。県内には、宮崎牛ブランド存続のため、特例で経過観察とするよう求める声があった。県も対象頭数が膨大な豚の殺処分を優先させ、症状のなかった49頭を後回しにしていた。

 しかし、処分が遅れれば感染が拡大する恐れがある。こうした状況に、政府の現地対策本部長の山田正彦農水副大臣は「家畜伝染病予防法で直ちに処分となっている。殺処分は免れない」と早急な殺処分を県に求めていた。

 連日、県と連絡を取ってきた農水省の担当者は「せめて今朝、水疱(すいほう)の跡を見つけた時点で、こちらにも一報がほしかった」と嘆いた。

 県幹部は「49頭は農水省から『処分しなさい』と言われている。熱が出たからといって報告するものなのか」と話した。

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