■essay8  「結婚の現実」                                       2002年7月

 
 これまでのエッセイを読んでいただければ明白だが、私は結婚したいとは思わない。結婚を否定しているわけではない。でも結婚して幸せになるのは難しいことだと感じる。最近はそうとも限らないかもしれないが女性にとって結婚とは憧れであって、女性は結婚すれば幸せになれると思っている。
 
  結婚といっても様々な形があるので一概には言えないが、結婚することによって失うものってけっこう大きい。しかもそれは男性以上に女性の方が大きいと思う。結婚に憧れている女性たちは、この失うものの大きさに気が付いているのだろうか。
 私も以前は結婚にすごく憧れていた。子供はほしいとは思わなかったので家庭をもちたいというよりも、ただ好きな人とずっと一緒にいたいからというのが理由であった。もともと人付き合いが苦手であまり人と遊んだりしなかったので、家の中にずっといても苦痛でない。結婚して好きな人と一緒に暮らせば、いっぱいエッチできるし楽しいかもなんて思っていた。だがそれは甘い幻想であると気が付いてしまった。私は、好きな人と2年間同棲したことがあるが決してエッチやり放題にはならなかった。それどころかセックスレスで欲求不満に苦しんだ、ということは既に書いた。相手が悪かったからかもしれない。でもその後、違う男性と結婚したがそのときもセックスレス。私はできちゃった結婚だったので慎重に相手を選んで結婚したわけではなかったが、エッチの相性はいいから大丈夫かなと軽く思っていた(今思えばアホである)。
 私はこのとき結婚の現実をつくづくと思い知らされたのである。
 
  私は、結婚したら女性の方が絶対に損であることが多いことに気付いた。
  まず男性は「釣った魚に餌をやらない」人が多い。結婚によって相手の女性が自分から逃げないようにしてあるから、敢えて相手の気を引こうともしない。結婚前の方がずっと楽しかったということになる。私は別 に男性に何かをしてもらおうと期待していたわけではないが、それでもセックスだけはしてくれないと困る。エッチ目的で結婚したのにエッチがなくなってしまったら何の意味もなくなってしまう。( 私はそれですぐに離婚することを決意した)。
  結婚することによって損することは他にもある。それはまわりの男性から恋愛対象として見られなくなるということ。夫婦が愛し合っていれば他の人はどうでもいいかもしれないが、熱烈な愛情は長くは続かず、お互い他の人に惹かれるようになるのは当然である。それでも男性の場合はけっこう浮気のチャンスがあるからいい。今や、既婚男性の浮気や不倫なんかは当たり前のようになっているので、独身女性も平気で近づいていって誘惑したりする。恋愛も芽生えやすい。よって女性は好きな男性と結婚できても、相手が浮気することの不安からは決して逃れられないのである。
 男性は仕事先で飲み会などに行くことも多いし出会いもたくさんあるだろう。女性は仕事をやめてしまうとまず出会いがまったくなくなる。仕事を続けていても結婚すると出会いが減るような気がする。既婚女性には男性の方からはなかなか近寄ってきてくれない。自分から誘うにしても結婚してるとやりにくくなるだろう。だから女性は結婚すると恋愛のチャンスがグっと減る。男性はそうではないのに。
 私のように結婚後に浮気しようと思っている女性は少ないかもしれない。でも結婚後に自分の気持ちがどう変わるかは分からない。私は結婚するならお互いにフリーセックスを楽しめる関係でいたい。そういう考えが分かってくれる男性もいる。私が結婚したくない理由は、今はセックスをいっぱい楽しみたいからだと思う。そのためには相手を一人だけに絞るのは危険だし、浮気を許してくれる理想の男性を選んでも、結婚することによって出会いのチャンスが減ることは避けられないだろう。
 ついでに言えば女性は名字を変えるのが面倒。私は5年間同じ職場で働いているがその間に2度も名字を変えるはめになってしまった。しかも離婚したときも人には言いたくないのにイヤでもバレる。周囲の人に名前が変わったことを知らせ、ついでにその理由まで説明しなければいけなかったりする。別 れた旦那の方はと言えば、周囲の人にはほとんど気付かれることがなかったのでいちいち言いたくない人に説明する必要がない。離婚するときも女って損だと思った。次に結婚するときは(いつの話やら)絶対に夫婦別姓にしようと決意した。
  そして、女性は結婚によって仕事の幅がせまくなることも多い。男性は結婚しても同じようにバリバリ働くのに。今の時代ワーキングマザーも当たり前だが、結婚(出産)しても仕事を続けて経済的に自立していた方が絶対にいい。結婚によって自分の大事な仕事を失ってしまうのは本当にもったいないことだと思うし、自立できるほどの経済力がないといろんな意味でリスクが大きい。私も結婚で仕事をやめなくて本当によかったと思っている。
 
  結婚に対してとても個人的な意見を書いてしまった。私が結婚に対して偏見を持っていると思われるかもしれない。でも私のまわりには結婚に失敗している人が多いのが現実である。今の時代、結婚したから幸せとは限らないのは皆気が付いてるかもしれない。それが分かっていてもなぜ女性が結婚に憧れるか。その理由のひとつに、結婚すること自体が女性にとって一種の名誉である、という意識があるからだと思う。
 結婚することは誰かに愛されている証拠であって、それを他の人に認めてもらうことで優越感に浸ろうとしていないだろうか。確かに周囲に認めてもらうことも大事かもしれないが、そのためだけに大事なものを失うことのないように、結婚の現実にもっと目を向けてみてほしい。もっともそれが分かっているから今の女性たちはなかなか結婚しないのだろうか。

 mari's essay バックナンバー
essay1
「フリーセックス宣言」
essay6
「セーフセックス」
essay2
「バイセクシュアルへの憧れ」
essay7
「セックスレスの悩み」
essay3
「嫉妬しない主義」
essay8
「結婚の現実」
essay4
「浮気を許せる人になろう
 
essay5
「別 れのタイミング」