FOXHOUNDの暗部に所属するFOXの称号を持つ男。グレイ・フォックス。
リキッドに殺された後、またアームズ・テック社に回収され肉体を無理に蘇生させられた。
彼はまだ死ぬことを許されず、これからも人体実験の研究材料として生かされることになった。
フォックスはまたスネークと戦うために訓練をはじめ、日々強くなっていた。
そんなある日、生身の体自体を強化骨格にするという人体実験をすることになり、
その実験を受けたのだが…、
「……………………失敗だと?」
「あぁ。すまない。」
「ふざけるな!!すまないで済まされると思っているのか!?」
「…。」
「生身の体を強化骨格にするんじゃなかったのか!?」
「俺の体は今どうなっている!?ここから出せ!!」
「悪いが、そこから出すわけにはいかない。君の体は今不完全だ。今そのカプセルから出ると死ぬぞ。」
「くそっ!」
実験が失敗したのだった。
(体が自由に動かない…。全身麻酔でも打たれたか?…くそっ。俺の体は…どうなっているんだ…?)
とにかく今はじっとしていることにした。
さすがにじっとしているのはいくらフォックスでも退屈だ。
たまに研究員たちの会話を聞いていると面白いということが分かった。
よく聞くと、仕事にまったく関係のない話をしていたりした。
たまに、フッ と、笑ってしまうことがあった。
気がつけば、以前より笑うことが多くなっていた。
(いかん。俺は軍人だ。感情など必要ないのだ。ましてや笑うなど…。)
そう自分に言い聞かせるが、どうしても笑ってしまう。
顔の筋肉も改造されたのかと思うぐらいに。
そんなある日、警報が鳴った。
『侵入者を発見!増援部隊、ただちに中央棟研究室に向かえ!!』
(中央棟…研究室って…ここじゃないか!)
力が弱っているせいか、気配が読み取れない。
数人の兵士が入ってきて、フォックスの入っているケースを囲む。
「まだ近くにいるはずだ!狩り出せ!!」
一人がそういった瞬間、
フッ
「!?」
「何だ!?」
「明かりが消えた!?」
明かりが消えて、何も見えなくなる。
(くそっ!夜目も利かなくなっている!)
「気をつけろ!まだ近くにいるはずだ!!」
「んぐぅっ!!」
「どうした!?」
「ぎゃああああああああ!!!」
「くそっ!!どこにいる!!」
暗闇から断末魔が聞こえてくる。
(なんだ…!?何が…、いったい何が起こっているんだ!?)
そう思った瞬間、しん…と、音が消えた。
それと同時に、赤い目が、あらわれた。
暗闇にくっきりと浮かぶ、真っ赤な瞳。
体が動かず、どうすることもできない。
相手も、こちらを見ているだけで、何もしてこない。
しばらくしてその眼は、闇に溶けるように消えていった。
(なんだったんだ…?)
しばらくして、いきなり自分の入っているカプセルが、ガシャンという音と共に割れた。
「…っ!?」
液体と共にずるりと落ちる。
(な…、なぜ?と、そんなことよりも逃げなくては。)
ずる…、ずる…と、体を引きずりながら、床を這って移動する。
「アイコンタクト!」
扉の向こうからまた声が聞こえてきた。
(くそっ…!!)
見つかる…!!そう思い、目をつぶった。
「GO,GO,GO!!」
「…誰もいない…?」