ここから本文です。現在の位置は トップ > 地域ニュース > 熊本 > 記事です。

熊本

文字サイズ変更
はてなブックマークに登録
Yahoo!ブックマークに登録
Buzzurlブックマークに登録
livedoor Clipに登録
この記事を印刷

ギャンブル依存症:苦悩する人たち/下 専門家の見方 /熊本

 ◇「人格に問題なく病気」

 「依存症は病気で、本人の人格に問題があるわけではない」。桜ケ丘病院(熊本市)院長の赤木健利医師はギャンブル依存症患者に対する治療と社会の理解の必要性を訴える。患者には元々きまじめな人が多いが、価値観が変化し、時にはギャンブルを続けるために窃盗などを犯すこともあるという。

 赤木医師は80年ごろから菊陽病院(菊陽町)でアルコール依存症患者の治療に取り組んできた。その中で同時にギャンブルにも依存している患者が多いことに気付き、96年にギャンブル依存症の専門外来を作った。ギャンブル依存症の特徴を▽非常に強い快感があるため渇望を生じる▽被害があるにもかかわらず繰り返す--などと分析。一方で「自分はだめだ」と自己嫌悪の感情を持ち、負けに快感を覚える人もいるとみている。

 患者が受診するきっかけは、借金を肩代わりしていた家族が行き詰まって相談に来ることが多い。しかし実際は家族が安易に金を渡すことで本人は「借金を作っても家族が返してくれるだろう」という依存を生み、症状を悪化させやすい。家族自身が金銭・精神両面で苦しむことも多い。

 患者本人には、大金を持ち歩かない▽パチンコ屋の前を通らない▽いらいらを解消する方法を見つける▽週1回は自助グループに出席する--よう求めている。中でも匿名で肩書も明らかにしない自助グループの役割を評価している。議論するのではなく参加者が経験を話し静かに聞くだけだが、自分を振り返り支える場所になることが多いという。

 NPO法人「熊本クレ・サラ被害をなくす会」によると、相談者の二十数%がギャンブルが原因で借金を作っている。同会の吉田洋一会長は多重債務などの相談に乗る中で問題の重大性を感じ、弁護士らと08年に依存症問題対策全国会議を設立した。全国のシンポジウムで講演し、昨年から自助グループに部屋の提供も始めた。「依存症の認知は進んでいない。まずは多くの人に知ってもらいたい」と話す。

 患者の自助グループは県内でほぼ毎日のように開かれている。問い合わせは県精神保健福祉センター096・356・3629。【遠山和宏】

毎日新聞 2010年5月29日 地方版

PR情報

熊本 アーカイブ一覧

 
郷土料理百選
地域体験イベント検索

おすすめ情報

注目ブランド