
きょうiPadが発売された。それに合わせてアゴラブックスも営業開始する予定だったのだが、システムトラブルで来週の月曜に延期せざるをえなくなった。申し訳ありません。その代わりといってはなんだが、Ustreamで湯川鶴章さんと田代真人さん(アゴラブックス取締役)とやった鼎談の評判がよかったので、紹介しておこう(画像をクリックすると再生)。
2000年代は、コンテンツ産業の「失われた10年」だった。1999年に登場したNapsterに恐れをなした音楽産業が「著作権」をふりかざし、訴訟や警察によって消費者を脅かして既得権を守ろうとした。その後の大混乱によってもうかったのは弁護士だけで、訴訟によって音楽産業の衰退を止めることはできず、RIAAやJASRACは「利権団体」として批判を浴び、コンテンツ産業は萎縮してしまった。
今回、Google Editionに英米のほとんどの出版社や著者が参加し、200万アイテムが利用可能になったのは、彼らが音楽産業の失敗を見ていたからだと思われる。「権利」を振り回すよりも「報酬」をいかに確保するかが問題で、そのためには著作権保護をゆるやかにして、コンテンツを流通させたほうが得策だという教訓を得たのだろう。グーグルの和解案を拒否した日本は、この点でも大きく引き離されてしまった。
問題は権利を最大化することではなく、クリエイターが食っていけるしくみ作ることだ。ウェブ上の情報が無料に近づく傾向は避けることができないし、「知的財産権」でそれを止めることはできない。必要なのは、法律ではなくビジネスモデルやテクノロジーによって著者の報酬を確保するシステムであり、それが今後の10年ぐらいの大きなイノベーションになるのではないか。そのための制度設計も必要だろう。
今回、Google Editionに英米のほとんどの出版社や著者が参加し、200万アイテムが利用可能になったのは、彼らが音楽産業の失敗を見ていたからだと思われる。「権利」を振り回すよりも「報酬」をいかに確保するかが問題で、そのためには著作権保護をゆるやかにして、コンテンツを流通させたほうが得策だという教訓を得たのだろう。グーグルの和解案を拒否した日本は、この点でも大きく引き離されてしまった。
問題は権利を最大化することではなく、クリエイターが食っていけるしくみ作ることだ。ウェブ上の情報が無料に近づく傾向は避けることができないし、「知的財産権」でそれを止めることはできない。必要なのは、法律ではなくビジネスモデルやテクノロジーによって著者の報酬を確保するシステムであり、それが今後の10年ぐらいの大きなイノベーションになるのではないか。そのための制度設計も必要だろう。
コメント一覧
強く同意します。要は新しいツールを使ってどうやって「多売」するかであって、既存の流通モデルを守ることは手段と目的を取り違えていると思います。
TVが現れた頃に日本の映画産業がバカな規制をして衰退したのと同じことですよね。
消費者にとっても多様なコンテンツがより便利に入手できるのですから、便利な仕組みがあれば消費は伸びると思います。
それにしてもソニー、朝日新聞、KDDI、凸版の新会社ってのは何をやりたいんでしょうね?いまいち何をしたいか見えない、というかappleやamazonに対して「俺らを通さねぇでコンテンツは出せねぇ」とか言うのだけは止めてほしいんですが。。
コンペティション方式というのはどうでしょうか。コンペに参加するクリエイターは自らエントリー料をコンペ運営組織に支払って1ヶ所に集め,運営費(テラ銭)を引いた残りの総額を賞金にして,一定期間(例えば1ヶ月間)読者や視聴者による人気投票を行い,その上位者から順に格差をつけた賞金を獲得するようにするのです。優れた人気の高いコンテンツを作ったクリエイターが多額の賞金を手にできるようにするのです。
参考までに,私の作成した以下のサイトは,そのような人気投票に応用できます。
http://timeowner.aa0.netvolante.jp/
個人的には、「政府の失敗」という表現は行政の失敗を思わせるので、法律家たちに自省を促すため、「法の失敗」と表現したほうがいいのではないかと思っています。