この男が「手の甲なら痴漢にならんもんね」とたかをくくっていたかどうかは別にして、はたして手の甲だと痴漢になりづらいものなのか、神奈川県警捜査関係者に尋ねてみた。「ん?あぁ、そういえばそんな話がまことしやかに流れていたことが昔あったような気がするなぁ」と相づちは打ったものの「だけど手の甲だろうが足だろうが、下半身だろうが、女性が痴漢をされたと思ったら基本的にアウトでしょう。それに2分間も触っていたのだから言い訳はきかないよ」とのことだった。
そう、この男はラッシュアワー時に混雑する電車内で、8時15分ごろから17分ごろまでの計約2分間もの間、いたいけな女子高生の胸を触り続けていたのである。
停止した桜木町駅で、鉄道警察隊に引き渡された男は、警察による通称「弁録」と呼ばれる弁解録取書作成時に「結婚していた自分の女房とは離婚調停中で、しばらく女性と接触していなかったのでムラムラしてしまった」などと全く通るはずもないトホホな理由を話したという。
根も葉もない都市伝説は、ここでも嘘だと証明されたのだった。手の甲も手のひらも、痴漢行為に表も裏も、不利も有利もないのであった。(佐藤修)