愛知県在住の在日韓国人が収集した韓半島の古美術など古代の遺物を含む200点余りが韓国の名刹、仏国寺(慶州)に寄贈されることになり、贈呈式が10日、在日韓国民団瀬戸支部で行われた。寄贈者は瀬戸市の南碩煥さん。仏国寺からは性陀大師らが来日して贈呈目録を受け取った(写真。左端は夫人の弘子さん)。仏師福井照明さんが制作した四天王像4体もいっしょに寄贈された。3月完成した同寺の博物館、聖宝館が秋には開館する。
南さんは1933年、慶尚北道青松郡に生まれ、1歳の時に渡日。瀬戸に定住した。名古屋大学理学部を卒業し、瀬戸で「南塾」を経営し、有数の学習塾に育て上げた。80年4月設立の瀬戸・尾張旭日韓親善協会の活動に尽力し、民団瀬戸支部役員として貢献している。その傍ら、仏像に深い関心をもち、各種文献を研究し、世界中に仏像を捜し求め、数々の古代遺物にめぐり合った。
仏国寺が作成した『聖宝調査書(在日南碩煥先生所蔵)』に収載されている遺物は「太子帰城」(2~3世紀、インド)など原籍がイン  | 南さんが収集した仏像など仏教古美術 | ドであるものが18点。次いで、「葡萄瑞獣紋銅鏡」(唐、青銅)など原籍中国の品々。日本のものは「樹下遊瑞鳥紋銅鏡」(12~14世紀、青銅)など。韓半島関係では「蓮華紋」(高句麗・6世紀、土)など。
贈呈にあたり盧龍浩民団瀬戸支部団長は「民団役員として功績の大きい南碩煥先生が収集してきた古美術を仏国寺に寄贈されたことはうれしい」と述べた。
性陀大師は「95年に仏国寺は世界遺産に登録され、韓国を代表するお寺だ。仏国寺に博物館がなく恥ずかしい思いをしていたが、聖宝館がこの3月に完成し秋には開館する。南碩煥先生が寄贈された遺物は南コレクションとして展示する」と感謝した。
寄贈のきっかけをつくった鄭永鎬檀国大教授(聖宝館諮問委員長)は南さんの収集にまつわるエピソードを披露し、「南氏は大変な親孝行で、父親の遺体を3つに分け、一つは瀬戸に、一つは故郷の慶北・青松郡に、残る一つはお釈迦さんが眠るインドに埋葬した」とその人となりを紹介した。
南さんは「一生懸命働き、儲けた金で購入してきたものは私の子どものようなもの。その子どもたちが仏国寺という一番安住できる場所を見つけられ、本当にうれしい。個人の楽しみよりたくさんの人々の助けになればいい。大切にしていただいてバラバラにならないように願う」と述べた。
(韓登) |