NPT再検討会議最終文書の要旨核拡散防止条約(NPT)再検討会議が28日採択した最終文書の要旨は以下の通り。 【行動計画】 ▽核軍縮 一、すべての国は「核兵器なき世界」を達成するという目標と完全に一致する政策を追求することを約束。 一、すべての国は核軍縮の方法が不可逆的、検証可能、透明である原則を採用することを約束。 一、ロシアと米国は新たな核軍縮条約「新START」の早期発効および完全実施追求を約束。一層の核兵器削減を達成するための引き続きの措置について協議を継続することを両国に促す。 一、核保有国は、核軍縮につながる具体的進展の加速を約束。2014年の再検討会議準備委員会に進展状況を報告し、15年の再検討会議で次の措置を検討。 一、すべての加盟国は、ジュネーブ軍縮会議が核軍縮に関する補助機関を直ちに設置することで合意。 一、すべての核保有国は消極的安全保障に関する既存の取り決めを完全に尊重。 一、一層の非核地帯の創設を促進。関係国に対し、非核地帯に関する条約と関連議定書の批准を促す。 一、すべての核保有国は包括的核実験禁止条約(CTBT)の批准に取り組む。 一、CTBT発効までの間、すべての国は核兵器爆発実験やいかなる核爆発も控え、CTBTの目的や趣旨を無効にするような行動も控える。既存の核兵器実験モラトリアム(一時停止)は維持される。 一、すべての国はジュネーブ軍縮会議が核分裂物質生産禁止(カットオフ)条約の交渉を直ちに開始することで合意。 一、核保有国に軍事目的での必要がなくなったことが示されたすべての核分裂物質を国際原子力機関(IAEA)に申告することを促す。 一、加盟国はこの行動計画の実施状況について定期的な報告を行う。 一、すべての国に、核軍縮・不拡散教育についての国連事務総長の報告における勧告を実施することを促す。 ▽核不拡散 一、事実上の抜き打ち査察を可能にするIAEA追加議定書の締結や発効に至っていないすべての加盟国に対し、できるだけ早くこれらを履行するよう促す。 一、核物質や核施設の安全、防護水準を最高度に維持するようすべての加盟国に促す。 一、各国領内における核物質の不法取引を発見、阻止する能力を向上させるようすべての加盟国に要請。また核兵器の拡散を防ぐため、効果的な管理(体制や措置)を確立、施行するよう求める。 一、核テロ防止条約に署名していないすべての加盟国にできるだけ早く締結するよう促す。 ▽平和利用 一、国際協定を危険にさらさないとの前提で、原子力の平和利用の分野における各国の選択、決定を尊重。 一、発展途上国支援のための技術協力計画を強化。 【地域問題】 ▽中東地域 一、イスラエルのNPT加盟と同国の核関連施設すべてを、IAEAの包括的な保障措置(査察)下に置くことの重要性を再確認した00年の決議を想起。中東地域におけるすべての国家に対し、非核国としてNPT参加を求める。 一、95年決議の完全履行に向けて、国連事務総長と95年決議提案国は、核兵器など大量破壊兵器が存在しない中東地域をつくりだすため、地域のすべての国家が参加する会議を12年に開催。 ▽その他の地域 一、北朝鮮に対し、05年9月の6カ国協議共同声明に沿って、すべての核兵器の完全かつ検証可能な形での、廃棄や既存の核計画放棄を含む合意事項の履行を強く要請。(03年に脱退宣言した)NPTへの早期復帰や、IAEA保障措置協定順守も求める。 北朝鮮とすべての加盟国に対し、関連する核不拡散・軍縮義務を完全履行するよう要求。再検討会議は6カ国協議を断固支持し、外交手段により満足のいく形で核問題の包括解決を達成する決意を保持し続ける。 【議長総括】 一、95年会議で採択された中東非核地帯決議、00年会議で採択された核保有国による「核廃絶への明確な約束」など13項目の核軍縮措置の実施を再確認。 一、北朝鮮が06年と09年に実施した核実験を最も強い言葉で非難。 一、奪い得ない権利としての原子力エネルギーの平和利用を再確認。 一、核兵器削減の進展を歓迎する一方、いまだ推定数千発が配備または貯蔵されていることを懸念。人類への危機継続に深い憂慮。 一、核兵器なき世界の実現に向けた(オバマ米政権など)政府や市民社会の新しい提案に留意。 一、核軍縮の最終局面は合意された法的枠組み内で行われ、大半の加盟国は具体的期限が必要だと考えていると確認。 一、米ロ新核軍縮条約の調印を歓迎。 一、インド、パキスタンにNPT加盟を要求。 一、核なき世界の実現を決意、核使用による人類への破滅的結果に深刻な懸念。 (共同) 【共同通信】
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