仙台の高校教諭殺害、発生から１カ月　交友関係の捜査難航

　仙台市泉区の自宅玄関先で常盤木学園高校教諭、松本秀夫さん（５６）が殺害されているのが見つかった事件は、３０日で発生から１カ月が経過した。松本さんが事件前、株に投資していたほか、民家を貸して家賃収入を得るなど比較的裕福な生活を送っていたことが判明。泉署捜査本部は、金銭トラブルが事件の引き金になった可能性もあるとみて、交友関係を中心に捜査している。

　捜査関係者などによると、松本さんは平成９年ごろ、自宅を購入した。金融機関などから約５千万円を借りたが、ほぼ返済しているようだ。以前住んでいた泉区内の民家は知人らに貸し、家賃収入を得ていたという。

　また、松本さんは数年前に株への投資を始めた。家族は把握していなかったとみられるが、知人には、頻繁に海外旅行に出かけ、高級ホテルに宿泊したことなどを自慢していた。

　松本さんが頭などにけがをして入院した３月２日以降には、男の声で、自宅に株の購入を持ちかける不審な電話が複数回かかってきて、勤務先の高校にも松本さんの所在などを尋ねる電話が繰り返しあった。

　捜査関係者は「何らかのきっかけで松本さんの裕福な暮らしぶりを知った人間が、投資話を持ちかけたのだろう。そこから金銭トラブルに発展した可能性は捨てきれない」とみる。

　松本さんは退院した４月３０日午後１０時１０分ごろ、自宅駐車場奥で、頭などを殴られて殺害されているのが見つかった。近くに落ちていた金属バットが凶器とみられ、帰宅直後に襲われた可能性が高いという。

　退院当日に事件に巻き込まれていることから、捜査本部は、松本さんの行動を把握していた顔見知りの犯行とみているが、松本さんは携帯電話を所有しておらず、交友関係の絞り込みが難航している。

　今年初めごろから、自宅駐車場に松本さん一家のものではない高級外車がたびたび止まっているのを、複数の住民が目撃していたことも判明。捜査本部も同様の情報を把握しており、関連を慎重に調べている。

　一方、松本さんが入院するきっかけになった頭などのけがは事故の可能性が高いことが分かった。

　高校関係者などによると、松本さんは３月１日午後４時ごろ、青葉区内で開かれた高校の謝恩会に出席。６時すぎには同僚と近くの飲食店に入り、１１時ごろに店を出て帰宅した。松本さんが地下鉄に乗った記録が残っていたという。

　翌２日朝、松本さんは頭から血を流し、歯が折れた状態で出勤した。松本さんは「酔っぱらって帰宅途中に階段で転んだ。よく覚えていない」と説明した後、体調が急変。同僚らが救急車を呼び、同市宮城野区内の脳外科病院に搬送され、そのまま入院した。

　病院では記憶障害と診断された。捜査幹部は「病院の診断では事件性をうかがわせるものはなかった。頭を強く打っており、説明があいまいなのも不思議ではない」としている。