岡田克也外相は１０月２０日夕、来日したゲーツ米国防長官と外務省で会談した。在日米軍基地再編の焦点である米軍普天間飛行場（沖縄県宜野湾市）移設について、ゲーツ長官は「現行案は両国で長い時間をかけて検討した結果で、唯一実現可能なものだ」として、着実な実施を求めた。岡田外相は「日本の政治状況は変化している。困難な政治状況を理解してほしい」と沖縄の意向に配慮しながら慎重に最終結論を出す日本政府の立場を伝えた。
　普天間移設をめぐり、日米両政府は２００６年５月、代替施設をキャンプ・シュワブ沿岸部（同県名護市）に１４年までに建設することで合意。オバマ政権は、沖縄県など地元自治体が沖合への可能な限りの移動を求めていることを考慮し、ゲーツ長官の訪日に合わせて、微修正に応じる姿勢を打ち出した。ただ、会談では、沖合移動に関するやりとりはなく、ゲーツ長官は「できるだけ早期に結論を出してほしい」と迫った。岡田外相は、合意の経緯を検証していることを説明した。
　一方、岡田外相は、アフガニスタン支援について「日本の得意分野を生かして取りまとめる」として、職業訓練支援などを検討していることを強調。来年１月で期限が切れるインド洋での給油活動に触れ「臨時国会に（延長のための）法案を出す状況にない」と撤収する方針を伝えた。ゲーツ長官は「いかなる支援を行うかは日本が決定することだ」と述べ、日本側の判断を尊重する考えを示した。
　このほか、核兵器保有国が先制核攻撃を受けた場合以外は核兵器を使わない「核先制不使用」の構想について、外相は「日米間で緊密に協議していきたい」と提起。ゲーツ長官は「核抑止について柔軟に考えることは必要だが、今後よく協議したい」と応じた。
　ゲーツ長官の今回の訪日は、普天間移設やアフガン支援などの懸案について日米の立場を確認し、来月中旬のオバマ大統領の初来日への地ならしをするのが目的。ゲーツ長官は２１日午前に鳩山由紀夫首相、北沢俊美防衛相と相次いで会談する。（２００９年１０月２０日配信）