日本が輸入した中国製品の製造過程で排出された二酸化炭素(CO2)は、年間2億トン近くに上ることが、米シンクタンク・カーネギー研究所の分析で分かった。製品とともにCO2も輸入したとみなせば、日本は米国に次ぐ「CO2輸入大国」になる。新興国の排出量増加が問題視されているが、先進国が加担している格好だ。米科学アカデミー紀要に掲載された。
同研究所は、113カ国・地域を対象に、家電製品や衣料品など57分野での生産に伴うCO2排出量(04年)を調べた。製品の最終消費国を貿易統計などから割り出し、製品の移動先にCO2も移動するとみなし、その「貿易収支」を集計した。
その結果、CO2輸入が輸出を上回る量が最も多かったのは米国(6億9900万トン)で、2位の日本は2億8400万トンの「輸入超過」。一方、「世界の工場」といわれる中国は輸出が輸入を11億4700万トン上回った。これは日本の年間国内排出量(約12億トン、輸送やオフィス・家庭からの排出を含む)に匹敵する。
世界自然保護基金(WWF)で温暖化問題を担当する山岸尚之さんは「日本のために新興国での排出が増えていると国際社会から指摘される可能性がある。日本政府はこの点を踏まえて温暖化対策に取り組むべきだ」と話す。【江口一】
毎日新聞 2010年5月30日 2時30分