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【埼玉】

ドンキ放火請求を棄却『納得いかない』 遺族の訴えすべて届かず

2010年5月29日

判決後の会見で心境を述べる遺族ら=さいたま市で

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 店員三人が死亡した、ドン・キホーテ浦和花月店(さいたま市緑区)の放火事件で、さいたま市消防局の対応が問われた裁判。判決では遺族の訴えがいずれも退けられ、閉廷後に会見した遺族四人は「納得がいかない」と口をそろえた。

 判決では、二〇〇四年十二月、同店から出火した直後に一一九番し、逃げ遅れた小石舞さん=当時(20)=への消防職員の対応について「問題ない」と判断。市消防局が火災後に開いた説明会で「(当時の状況を)説明する義務はない」としたことについても遺族が慰謝料を求めていたが、「消防法に説明の定めはなく、義務はない」とした。

 小石さんの母肇子さん(49)は「少しでも早く火を消してもらおうと電話したのに、生かされなかった。子どもには率先して人の役に立つよう教えていたが、言えなくなった」と涙ぐんだ。

 死亡した関口舞子さん=同(19)=の父広昭さん(54)は「真実が明かされず残念」と唇をかんだ。また亡くなった大島守雄さん=同(39)=の妹礼江さん(41)も「さいたま市に住んでいることにがっかりしている」と厳しい口調で述べた。

 さいたま市の清水勇人市長は二十八日の会見で「引き続き適正な消防行政の執行に努める」と述べた。同市消防局は〇八年四月に一一九番対応マニュアルを改定し、通報者への質問事項をまとめた「火災受信メモ」を新たに用意。簡潔な対応を図っているといい、「事件の際の対応への指摘も参考にした」としている。 (井上仁)

 

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