【バンコク西尾英之】タイのアピシット首相は29日、タクシン元首相派「反独裁民主戦線」(UDD)が求めた早期の国会下院解散、総選挙実施について「年内は困難」との見方を示した。
首相は記者会見で、貧困層が多いタクシン派との和解をめざす、不平等是正など5項目の「国民和解策」を推進する考えを強調しつつ、総選挙の時期は来年以降との立場を強く示唆した。
多数の死傷者を出した軍による強制排除について、首相は「政府は常に平和的解決を模索してきた」と強調。タクシン元首相の意向でUDDが話し合い解決を受け入れなかったことが激しい衝突につながったとして、元首相を強く非難した。
一方で首相は、今月19日からバンコクなど24都県に出ていた夜間外出禁止令を29日で解除すると述べた。24都県の「非常事態宣言」は当面継続される。
毎日新聞 2010年5月30日 東京朝刊