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社民党は29日、福島瑞穂党首が米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)移設問題で、閣僚を罷免されたことを受け、連立政権を離脱する方向で調整に入った。毎日新聞のまとめでは、「連立を離脱すべきだ」とする地方組織は、全国で34道府県連に上り、党所属国会議員の間でも「党首が罷免され、政権に残ることはあり得ない」との意見が大勢になっている。同党は30日に全国幹事長会議を東京都内のホテルで開き、離脱方針を協議する。【西田進一郎】
社民党の重野安正幹事長と渕上貞雄副党首らは29日、党本部で幹部会合を開き、全国幹事長会議の対応を協議した。出席議員は「県連の意見は分かれるだろうが、このままのうのうと政権に残ることはない」と明言。会合は欠席した福島氏も同日、静岡市で記者会見し、「私を罷免したのは社民党を切り捨てたことだ」と述べ、連立離脱は不可避との認識を強調した。
地方組織からも、離脱容認の声が相次いだ。鹿児島県連は29日、「党首が罷免されたのに連立政権に残るのは国民の理解を得られない」とし、全会一致で離脱を求める方針を決定。沖縄県連も「党首を罷免してまで、米国の意向に沿う決定は許されない」(仲村未央書記長)などとして、離脱を要請した。
ただ、社民党内には参院選を控え、連立政権を離脱した場合、民主党や国民新党との間で進めた選挙協力に影響するとの懸念がある。重野氏は28日夜、民主党の小沢一郎幹事長と電話で話し、選挙協力の継続を要請。小沢氏は「わかっている。選挙協力はする」と応じたという。29日には重野氏は国民新党の自見庄三郎幹事長と電話で協議。離脱しても参院選での選挙協力は継続するほか、引き続き両党間の定期協議を行う方針で一致した。
また、社民党内の連立維持派が政策実現のため与党残留を求めているため、昨秋の連立政権合意に盛り込んだ政策について、離脱後も与党と連携し実現を図る方針で、与党3党の連携は事実上、維持される可能性がある。
閣内からは連立維持を求める声が相次いだ。前原誠司国土交通相は29日、外遊している社民党の辻元清美副国交相に28日に電話し、続投を要請したことを明らかにした。北沢俊美防衛相も29日、長野市内で「共に政権を目指して選挙協力をしてきた仲だ。連立解消に直結しないでほしい」と述べた。
毎日新聞 2010年5月30日 東京朝刊