鳩山内閣は17日、宮崎県で発生した家畜の伝染病、口蹄疫(こうていえき)の被害拡大を食い止めるため、政府対策本部(本部長=鳩山由紀夫首相)を同日中に発足させ、実務者らの現地対策チームを宮崎県に常駐させる方針を決めた。予備費から1千億円規模の拠出を行い、防疫体制強化や被害農家への経済支援などを行う。山田正彦農林水産副大臣や小川勝也首相補佐官(農業政策担当)も常駐させる考えだ。
首相の指示に基づき、同日午前、関係省庁の局長らが緊急に協議した。赤松広隆農林水産相は副本部長に就く。記者会見した平野博文官房長官によると、対策チームは農林水産省や防衛省、総務省、財務省など関係省庁の実務者らを防疫強化、経済支援、調整連絡の3グループに編成。車両や生活道などの消毒ポイント設置や、高速道路周辺の消毒対策の強化に加え、家畜を殺処分するなどの被害を受けた畜産農家に対する支援金の支払い手続きの簡素化などを行う。広報体制も強化する。
また、首相はこの日午前、首相官邸で全国肉牛事業協同組合など畜産関係者らと会談。同席した筒井信隆衆院議員によると、首相は今回の事態を受け、家畜伝染病予防法の改正か特別措置法の制定を検討することを表明した。その上で、首相自身が宮崎入りする考えも伝えた。
宮崎県の口蹄疫問題は先月下旬に確認され、16日までに感染疑い・確定例は計111例、殺処分の対象になった牛や豚などは計8万5723頭にのぼっている。平野氏は16日に宮崎県庁で東国原英夫宮崎県知事と会談。要望を首相に伝える、としていた。政府は4月20日に口蹄疫対策本部(本部長=赤松農水相)を設置したが、首相自身をトップに据えて格上げすることにした。