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きょうのコラム「時鐘」 2010年5月30日
先ごろ、ニューヨークでピカソの絵が約100億円で落札された。フランスではピカソやマチスの絵画5点総額で110億円相当が盗まれた
ギリシャの経済危機が拡大し続けている。暴動で火炎瓶を投げられて女性が死亡した記事もあった。アテネ市民の窮状は、先の本紙「北風抄」で詳しく論じている通りだ。市民の平均月収は10万円以下だったともいう 矛盾に満ちている。が、世界は広く、価値観は多様である。高額の絵画が悪いのではない。ただ、常識外の多額報酬が問題になったリーマン・ショックから2年で、再び実態不明の巨額な数字が飛び交う世界経済はやはりどこか歪んでいるとはいえまいか ギリシャでは火炎瓶を投げたグループを糾弾する一方で「デモ隊を追いつめたのは政府だ」との声もあった。同じ経済破綻の被害者であるはずの市民の命を奪っておいて責任転嫁するデモ隊に正義はない 倫理観や健全な金銭感覚を取り戻すためにも、経済の立て直しは急務である。人生に必要なのは「勇気と希望と少しのお金」。ピカソと同時代の俳優チャプリンの言葉が思い出される。 |