2010.5.29 05:00
ベトナムは、南北高速鉄道のほかに、北方の中国、西方のカンボジアと鉄道網を接続する計画がある。ホーチミンとカンボジアの首都プノンペンを結ぶ鉄道にはアジア開発銀行(ADB)が、一部融資している。中国南部、雲南省の省都・昆明や、広西チワン族自治区の首府、南寧とベトナム北部を結ぶ鉄道計画も進められている。国内だが、ホーチミンとメコンデルタ地帯のカントーを結ぶ鉄道建設は韓国が支援している。
東南アジア諸国連合(ASEAN)は、中国からシンガポールに至る鉄道網の建設を長い間、話し合ってきた。タイは90年代、野心的な高速鉄道を計画したが97年のアジア通貨危機で中止した。中国は、ミャンマー、ラオス、ベトナムを通る高速鉄道開発を推進するなど、ASEANの長年の夢が少しずつ現実になろうとしている。
ベトナムの南北高速鉄道やその他の交通インフラ計画は民間資本や援助を活用する同国の能力を測る試金石だ。これらが実現すれば、国家の発展における制約も緩和されるだろう。南北高速鉄道計画は、東南アジアと中国を結ぶ、より大きな地域ネットワークの鍵を握っている。(オックスフォード・アナリティカ)