ベトナム 南北高速鉄道2012年着工 民間資本や援助活用の試金石 (1/2ページ)

2010.5.29 05:00

交通インフラ整備などを協議した(左から)前原誠司国土交通相、ホアン・チュン・ハイ・ベトナム副首相、仙石由人国家戦略担当相=4日、ハノイ(共同)

交通インフラ整備などを協議した(左から)前原誠司国土交通相、ホアン・チュン・ハイ・ベトナム副首相、仙石由人国家戦略担当相=4日、ハノイ(共同)【拡大】

 ベトナム北部の首都ハノイと南部にある同国最大の商業都市ホーチミンとを結ぶ「南北高速鉄道」(約1600キロ)の建設で、同国は日本の新幹線方式の導入を正式に決定した。

 南北高速鉄道は、最高時速350キロでハノイとホーチミンを6時間足らずで結ぶ。現在、同区間は鉄道で29~38時間かかかる。2012年から着工し、まず北部のハノイ-ビン間(約280キロ)と、南部ニャチャン-ハノイ間(約380キロ)の2区間を20年までに開通し、全区間を35年までに完成させる計画だ。

 総工費は日本の標準的な建設費に基づき、560億ドル(約5兆1000億円)と見積もられている。これはベトナムの国内総生産(GDP)の3分の2に相当するが、同国の国会に提出された報告書によると、今後25年間、平均6.4%で経済成長を続ければ返済可能であるという。確かにこれは高い数値だが、同国が市場経済を導入した1991年以降の平均成長率よりも低い。

 同国は、ベトナム戦争以前も南北に別の王朝が成立するなど、分断の歴史を経験した。北部の紅河デルタと南部のメコンデルタを結ぶ高速鉄道は、国家統合に資するだけでなく、南北の2大都市からの分権化を促し、中部の経済発展に必要な条件を生み出すだろう。

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