第37回放送倫理検証委員会は4月9日に開催された。冒頭、香山リカ、是枝裕和、重松清(欠席)の新委員3名が紹介され、新しい委員長代行に吉岡委員が指名された。
ブラックノート詐欺事件を報じたTBSの『報道特集NEXT』について、4月2日に「意見書」を通知・公表したことに関連して、委員から意見や感想が述べられた。
「バラエティー番組」のブックレットに収録する関連資料について合意が得られ、5月上旬に刊行の運びとなった(注:5月14日刊行)。
ダメな夫をテーマにした日本テレビの『行列のできる法律相談所』に前衆議院議員の夫と参議院議員であるその妻が出演した。次回総選挙での投票依頼とも受け取れる不適切な放送があったので、当該局に質問書を出して説明を求めることにした。
日本テレビの報道番組『NEWS ZERO』で、女子フィギュアスケートの浅田選手へのインタビューをめぐって、事実と異なる編集が行われた。既に当該局が非を認め、自主的に訂正・お詫びをしているので審議入りはしないが、問題点を指摘することにした。
本事案については、4月2日に当該局に対して「意見書」を通知・公表した。記者会見の質疑や新聞報道について各委員から意見や感想が述べられた。
【委員の主な意見】
ブックレットには、委員会の「意見書」と、各局のその後の対応やメディアの反応などを簡潔にまとめた資料を収録し、今後、関係者がバラエティーに関して考えるときに役立つように配慮した。刊行は5月上旬を予定している。
3月21日放送の『行列のできる法律相談所』はダメな夫を紹介することがテーマであった。その中で、落選中の前衆議院議員である夫と参議院議員であるその妻が出演した。その際、夫の選挙区とその自治体名や、次回の選挙での投票を依頼したようにも受け取れるメッセージを字幕スーパー入りで放送した。また、比例区についても、夫妻が所属する政党への投票を誘導するような紹介がされた。これらは政治的な公平に反し、選挙の事前運動の疑いがあるのではないかという指摘があった事案。当該局からは経緯説明書が提出されたが、曖昧な説明が多く、より詳しい報告を求める必要があるとの意見が相次いだため、委員会として正式な質問書を出し、その回答書を見た上で対応を決めることとした。
【委員の主な意見】
『NEWS ZERO』(3月29日放送)で、女子フィギュア世界選手権終了後に浅田、安藤、キムの3選手がいっしょにインタビューに応じた模様を放送した。「3人は友達ですか」の質問に浅田選手が「はい」と答える映像が流された。しかし、浅田選手は実際には何も答えず微笑んでいただけであり、「はい」の映像は「安藤選手と友達ですか」という別な質問の答えを編集で差し替えていたという事案。
誤った情報に接した担当チーフディレクターの思い込みによる指示が原因であるとの当該局の説明を元に討議した結果、事実と異なる編集を意図的に行ったことはある意味でねつ造といえるが、当該局が非を認め、4日後に訂正放送を行い、お詫びしている、NOをYESと改ざんしたわけではなく、また、それによって深刻な被害を被った人が出たわけでもないから、自主的な対応を評価して審議対象にはしないこととした。
【委員の主な意見】