●後藤忠政元後藤組組長刑事事件控訴審判決は5月25日か? 実話時報(竹書房)5月号記事によれば、真珠宮ビル公正証書原本不実記載事件の控訴審が本年2月23日に結審し判決日が本年5月25日に決定されたようである。
同誌目次には「後藤忠政・元後藤組組長の控訴審がスタート」とあるが記事内容には判決日が5月25日に指定されたとある。
平成18年5月8日に警視庁は後藤忠政および元菱和ライフクリエイト社長西岡進氏等10名を逮捕。その後後藤忠政、西岡進、O氏らをビル不正登記の電磁的公正証書原本不実記録・同供用罪容疑で起訴。
その後この起訴事件で平成19年2月13日に西岡進氏は無罪判決を受け、同様に平成20年3月7日に後藤忠政元組長にも無罪判決が言い渡された。
検察は西岡進氏に対しては控訴せず、後藤忠政組長(当時)に対しては控訴した。
検察側控訴趣意書が提出されたというマスコミ報道もなければ控訴審が結審したという報道も実話時報以外になかったと言う気がする。
忘れられた事件なのだろうか。
ここで、不十分だがこの事件への現段階での私なりの総括をしてみたい。
●後藤氏逮捕前後の関連事実。(括弧部分は筆者が重要と思う事実)
(平成18年2月23日 三立興産オーナー大津洋三郎氏木利屋ビル物件の取引無効内容証明送付)
平成18年3月5日 元司法書士野崎和興氏が青山通りで刺殺される。
平成18年5月8日 後藤氏ら逮捕
平成19年2月13日 西岡進判決。
平成20年3月7日 後藤氏判決。
(平成20年9月中旬 後藤忠政氏誕生祝いゴルコンペ報道)
(平成20年10月14日 山口組後藤組組長後藤忠政氏除籍)
●西岡進氏の無罪判決の要旨(産経報道引用) 判決で大島裁判長は、西岡被告と後藤組組長、後藤忠正被告(64)=同罪で分離公判中=が「親しい関係にあったとは到底認定できない」と判断し、西岡被告の事件への関与を否定した。 さらに「上場企業の経営者が、権利がないことを知りながら会社に莫大(ばくだい)な損失を被らせる危険性のある取引をするのは考えがたい」と述べ、検察側の構図を退けた。
●後藤忠政氏の無罪判決理由(毎日報道引用) 判決は、後藤被告側がビル購入に13億円を支払っている経緯などから「両被告の弁解には相応の合理性があり、不実の登記をする認識があったと認めるには合理的な疑いが残る」と結論付けた。「後藤被告が取引の詳細な説明を受けていたとは考えられない」とも認定した。 後藤被告らは05年2月、東京都渋谷区のビル所有権を後藤組の関連企業に移転する虚偽登記をしたとして起訴され、検察側は「多額の転売益を得ようとした」と主張していた。東京地裁の別の裁判官は06年9月、取引にかかわった不動産会社役員(58)に有罪(確定)を言い渡し、後藤被告との共謀を認定している
●東京アウトローズ記事http://outlaws.air-nifty.com/news/2007/02/post_1652.html 以下一部を引用する
まず(1)に関して、検察側は、西岡被告は後藤組長と以前から付き合いがあり、同被告はフェニックスが無権利であることを承知の上で後藤組のためにビルを購入、その後、第三者にビルを売却し、転売益を後藤組に還元させようとした、などと主張した。しかし、同判決では「前提となる被告人と後藤がかねてからの知り合いであるという事実も証拠上到底認定できない」と検察側の主張を完全に退けている。
次に(2)の共謀の有無であるが、同判決は、後藤組関係者と菱和は、真珠宮ビルをめぐってむしろ対立関係にあり、不実の登記で共謀がなされたと認定するのは無理がある、とした。それを端的に示すものとして、後藤組フロント企業の従業員Sの日記(05年3月4日記載)を挙げている。そこには、後藤組の真の狙い≠ェ生々しく綴られていた。
「第一段階の菱和フェニックス間の解除による所有権の差し戻し、13億の返還。第2段階のフェニックス赤富士間の売買。菱和はフェニックスからの13億の返還振込みでなければならない。それを赤富士で支払証拠(振込伝票)を残し、菱和が窮地に立ち第一段階から再度振り出しに戻す作業を行うことになれば我々の緊急対応策は成功と言える。これは誰が得をするとか利益を受けるとかいうことではなく、当面の13億の金の動きを元に戻して仕切りなおしから始まるということであり、野嵜、一居、裁判5訴状に対する完全撃破とこの祟られたような代々木物件の完全処理を遂行することの勝利宣言を世の闇紳士に知らしめる事である。それに伴うリスクは計り知れないものがあるが・・・。頭脳がショートして張り裂けそうな複雑で危険な大金の飛び交う大仕事。或いは人の命のやり取りも有るやもしれない程である。長期戦が予想される」
後藤組側は、05年2月28日の売買契約解除の直後から、返金された13億円の振込名義人をフェニックスから赤富士に変更させようと画策(横浜商銀にこれを迫ったが結局、失敗)したり、菱和側で転売を承諾したなどという証明書を書かせようとしていた。後藤組側としては、菱和が解除によって真珠宮ビルと無関係になるのを阻止し、赤富士が資金を拠出したことを梃子にして、菱和をも巻き込んで問題物件の解決をしようとした意図が窺える、と同判決はいう。
つまり、この事件の真相≠ヘ、後藤組フロント従業員Sの日記に、実は凝縮されていたのである。
●後藤忠政氏は多額の転売利益を得ようとしていたのか。 後藤忠政氏の控訴審で検察側がいかなる控訴趣意書を提出されたかは存じていない。
しかし、筆者自身に昨年捜査側から電話で問い合わせがあり昨年筆者に持ちかけられた売買話(自分自身が司法の広場に投稿していたようです)が事実かどうか、買い主は誰か、売買金額はいくらかと聞かれた事実はあるのです。
そのときの伺われた状況では後藤弁護側は真珠宮ビルの物件価値が検察側主張のような高額なものでないと主張しておりその反証求めていると筆者は感じました。
実話時報の記事でもこの部分が詳細に報道されており鑑定人が無資格とか後藤弁護側は真珠宮ビル経済価値にたいする検察立証を崩そうという最大の努力をしているようです。
筆者に質問してくる捜査側の複数の捜査官等の要求する筆者の答えは総合的に筆者が受け止めた印象では、「買い主が一部上場企業のような信用性ある会社で、金額が筆者の投稿の通り40億円以上で、できれば不動産鑑定があるか一流不動産仲介会社の意見付き。」と言うものでした。
たとえて言うなら、
JR東日本関連会社の一部上場企業T社が40億円で真珠宮ビルを買おうとしているという具体的証言を社会的信用ある者から得られないかという事と理解しました。(これはあくまで筆者の理解です。捜査側から問い買わせがあったことは事実ですが、その中身理解に見解の相違はあり得ます。)
「後藤忠政氏が転売利益を得ようとしていたとは思えない」という
東京地裁判事の無罪理由に反撃するには真珠宮ビルの経済価値が13億円を遙かに超えるものだと立証する必要があったのでしょう。
●筆者の意見は何故捜査側から無視されるのか。 捜査側は、裁判の経過上不動産鑑定士とか一部上場企業というブランド付きに意見が必要なのです。
それが裁判所が求める立証なのです。
当然、最近の仲介事例が380万円の千葉の公団住宅という筆者では東京地方裁判所が意見を聞こうとする不動産業者ではありません。
基本的に「二部上場企業の社長」はヤクザと付き合いがあるはずないとか真珠宮ビルの検察側の課価鑑定の証人に不動産鑑定士が関与していないとかいう裁判所の感覚があります。
●筆者は事件の構造と西岡進氏後藤忠政氏の経済行為のやり方と目的動機のとらえ方が捜査当局と全く違っている。(捜査当局の発表が真実とするマスコミ見解と当然に違う。)
筆者のように、
@真珠宮ビルを巡る事件構造を原宿署取り扱い事件と警視庁取り扱い事件と分けてしまっては後藤忠政氏西岡進氏の本件事件に対する関与役割がわからない。
A登記を巡る公正証書原本不実記載事件が成り立つとすれば
{A 登記を受任した司法書士が深く関与した場合と
B 登記を受託した司法書士が、刑法各論の講学上論じられる偽造文書を印刷した印刷工類似の存在なのか。}
この論点を重視したうえで菱和ライフクリエイト側のO司法書士と赤富士側の某司法書士の登記申請代理行為がいかなる法律事実かを検証して、両司法書士が申請した連件登記が単なる登記申請代理行為であり法律行為の代理行為でないと確定された上で
{C それではO司法書士と赤富士側司法書士に登記の中身たる法律行為内容部分を指示した者は誰か}
という疑問に相当する指示者を特定した後に
{D 登記内容指示者はどういう目的で司法書士をして登記所に虚偽の登記をさせたのか。}
という解明がおこなわれた後に
{E 西岡進氏と後藤忠政氏が共謀したとすれば順次共謀があったのではないか}
という疑問を持たないといけない。
{F 真珠宮ビル事件は公共工事期待を含めた持ち出し物件型地面師事件であり、この事件の刑事責任を問うときに一居義信被告と西岡進、後藤忠政氏の対立構造ばかり重視して、その共同作業時代の評価がなされていない。}
という事件構造のゆがみを認識していて、
{G 大津洋三郎氏が野崎和興氏刺殺事件と西岡進氏逮捕に先立つ木利屋物件の取引の無効を主張する内容証明郵便の重要性が無視されている。}
という木利屋ビル、TSKビル、真珠宮ビル地上げ事件は深く関連しているという認識。
これらの論点で筆者意見は、すでに捜査して起訴してしまった検察側が持つ事件の見立て構造と大きく乖離しているのです。
●一部上場企業が真珠宮ビルを買うという噂は確かにある。 そういう話が有名弁護士の口から出ても、一部上場企業の社員の名刺のコピーさえなく、単なるスポンサーがいるという話では捜査当局に説明しても直接的な証言だけを求めている捜査側には無意味です。
そういう売買話が真実にあるのかないのか。
ないのならば何故そういう嘘売買するのかという動機を考え抜いて初めて地面師事件が理解できるのです。
「同じメンバーが朝飯を和やかに食い、昼飯時には殴り合いの喧嘩をして、夜は居酒屋で明日の打ち合わせをするのが地面師の世界」と行方不明になった足の悪い司法書士さんに教わりました。
単純にこの業界の人たちの話を信ずるべきではありません。
しかし、利益を求めて行為する人たちですからそれぞれの仕事師の特徴を観察し続ければ意外に簡単に事件を理解できるのです。
刑事告訴を仕事の道具に使う傾向のある人、満井氏のように刑事警察権力と結びつこうとする人。
民事執行法を駆使する人。
強烈な個性の持ち主ばかりです。
ですから、一部上場企業がこの物件を手に入れたいという動機は充分わかりますが、捜査当局の求める情報はないと言うことです。
供述を重視しすぎる捜査はこういう事件では疑問と言わざるを得ません。理由は考えぬいて嘘をつく人たちの供述はすぐに翻るからです。
大阪の厚生労働省の事件も本省の係長が合理的理由なく嘘の供述を知ったと供述調書を否定する世の中です。
●マスコミが後藤忠政氏控訴審の報道をしない理由を知りたい。 マスコミの取材は警察発表と符合する写真集めということにつきます。
裁判所で40過ぎの社長が裁判官の前で泣きじゃくり、高井戸で大成功した不動産屋さんが石垣島で仕事をしている内にフロントと呼ばれるようになり、天下の京葉瓦斯のオーナー相続事件が作られる不思議を取材するマスコミはいないしその能力もありません。
ヤクザやポン中の生態を知りたいというので元ヤクザや元ポン中を紹介すれば自分はそういう人たちと肌合いが会わないと言い始める一流テレビの報道記者もいます。
●警察が上場企業を「抹殺」したのか、上場企業を装った共生者を取り逃がしたのかというのが筆者の問題意識。 後藤忠政氏裁判の判決は、東京地裁での判決理由つぶしだけであったら検察側は不利だと思いますね。
そういう捜査はやはり問題です。
しかし、一部マスコミの特定捜査官批判と殺人事件被害者の名誉毀損はもっと問題ですね。
西麻布、若松町地面師事件で真珠宮ビル事件関係者も逮捕されました。
一昨年に、80過ぎの二人の女性が警視庁の管内で保護されました。
西麻布事件の被害者の姉妹です。
5年ほど前には10億を遙かに超える不動産を無担保で持っていました。
高名弁護士が代理人でした。
保護されたときは無一文でした。
5年で10億以上の財産が消えたのです。
この事件は一冊の本にする必要があります。
真珠宮ビル事件でもTSKビル事件でも死人は出ているのです。
地面師犯罪の本質は強盗殺人と同じです。
専門の捜査部署と専門の裁判部を作るべきです。
●後藤忠政氏はヤクザ金融家 ヤクザ金融が自らの名前で事件不動産に抵当権登記をすることは考えられません。
当時TSKビル、木利屋ビルに捜査の目が向いていました。
はっきり言って、事件屋の良くある手口を使われたのでしょう。
本隊を無事撤退させるために、防衛ラインを維持する撤退戦の中隊が真珠宮ビル事件です。
指揮官は優秀ですね。
逃げるやり方にこだわりのある人のようです。
●後藤組を壊滅したのは山口組本部 皮肉な話です。