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[17960] [習作]リリカルなのは 転生 オリ主 最強?いいえ相性です(改定)
Name: ヴォル@ウガ◆13120d11 E-MAIL ID:639b1c44
Date: 2010/04/07 22:23
ヴォル@ウガのヴォルです。

以前投稿した作品が余りにも駄文でした。
なので思い切って最初から書き直しました。

以下注意書き

一つ
転生もの

一つ
原作改変あり

一つ
オリ主はレアスキル搭載

一つ
多少ご都合主義あり

一つ
オリ主は最強ときどき最弱です

以上

誤字脱字があったらビシビシ指摘お願いします。



[17960] 始まり
Name: ヴォル@ウガ◆13120d11 E-MAIL ID:639b1c44
Date: 2010/04/07 22:24
・・・・・・先に挨拶をさせてくれ。
こんにちは。いやこんばんわか?それともおはようかな?
okだな。

でだ。次に俺の話を聞いてくれないか?いやほんとに聞いてくれるだけでいい。
いいか?
よしじゃあ言うぞ。

俺は転生したようだ。

転生って言葉だけでだ~いぶ帰っていった気がするな。まだいるのならありがとう。

『ようだ』っていうのは別にうろ覚えのようなではなくあまり実感がわかないからだ。
大学のレポートを提出日ギリギリでできてから寝たというのは覚えているのだが。

まぁそれはいい。え?よくないだろって?そりゃ残していった家族とかに恩を返せないのは辛いぞ。
でもなぁ、もう赤ん坊になっちまってるし戻り方なんてわからんだろ?

さてここまで俺の話し相手になった仮想の人よありがとう少しさっぱりしたよ。
なに?それだけかって?まぁ転生ほやほやだから今のところ言うことがこれくらいしかないのよ。
まぁまたあったらよろしく頼むね。






あ。

そういえばもう一つだけいうことがあった。

それはだな。

横に寝てる子が高町なのはって言う名前なんだよね。

さらに言おう。

転生したこの体、つまり俺の名前は高町きずなっていうんだ。

似合わん名前だな~と思っている。俺の性格を考慮して。

あ、俺が弟らしいよ看護士いってた。

え?どうして将来魔王になる子の弟なのにそんな落ち着いてるのかって?
HAHAHA・・・・・・悟りを開いた成果だよ。

まぁ最強民族高町家の血引いてるから何とかなるだろう。
・・・・・・多分。

お、なんか悪魔の夫婦が来たようだ。
そういうことだから話は終わらせてもらうぞ仮想の人よ。



うわ、なんか生のバカップルは痛いな。



[17960] 幼少期のこと
Name: ヴォル@ウガ◆13120d11 E-MAIL ID:639b1c44
Date: 2010/04/07 22:25
やぁどうも、この名前がまだ気にいらないきずなだ。

アレから5年たったよ。なに?少しとんだねって?
そりゃお前赤ん坊にできることといったら

 食う
 
 寝る

 泣く
 
 ハイハイ
 
 考える

しかないしこれといった事件もないんだぞ?それなのに話すことなんかないだろ?
まぁ、おしめを取り替える時は世界の終わりのような感覚なったよ・・・・・・。
いかん、いかん!危ない危ないまたダークサイドに落ちるところだった。

ついでに俺の姿は双子というだけあって顔は姉と瓜二つである。
声まで同じ!!(ここ重要だよ~)

正直、後姿だけだと家族にすら間違われることがしょっちゅうあった。
そういえば最近気付いたが、唯一の見分け方が若干俺の方がつり目なぐらいか。

おっと、話したいことはこれじゃないんだ。
話したいのは前の世界だと冥王だとか悪魔だとか旦那とかぶるぁとかで有名な俺の姉、高町なのはについてだ。
以後は姉ちゃんと言うことにするからよろしく。

でだ、うちの姉ちゃんなんだが。

弱点が多すぎる・・・・・・誰だよこいつ悪魔悪魔いってたやつ!俺がぶっとばしてやるよ!
とか言いたくなるくらい弱点が多い。

弱点①かなりこける。しかも何もないところでも。

最初まぁ誰にだってあるなぁ~と思っていたんだが日に10回、多くて20回以上こけるんだ。さすがに俺でもこけすぎだと思ったのよ。なのでサポートすることを決意した。

その決意の数秒後俺まで巻き込んでこけたよ。しかも2人揃って顔面ダイブ、あれは痛かった。

しかもこけるたびにピーピー泣くから毎回なだめる役が俺になるわけだ。
ほんと手間かかる。

弱点②ホラーにやたら弱い。

この前テレビでB級ホラー映画特集が出たときのことだ
見てる限りだとあんまり怖いものがなくむしろギャグとしか言いようのないものばかりだった。
かつて真夜中、ヘッドフォン使用、電気をつけないで零シリーズをクリアした猛者の俺にとってはラピュタを手に入れたムスカのように余裕があった。

だが姉ちゃんは違った。番組が始まるや否や麻薬中毒者みたいに震えだした。それだけならまだいいんだが。
驚いたら掴むのよ。腕?HAHAHAHAHAHA・・・・・・首だよ!!

その夜一人じゃ寝れないとか言い出して一緒の布団に入って手までつないだりしてね。
寝ても手離さない時は俺は寝れないまま朝が来るのを待ったと。

弱点③結構もろい。メンタル的な意味で。

あれは幼稚園の運動会のリレーのときだ。
最初は一位をキープしてたんだが姉ちゃんがバトンをうまく渡せずに落としてしまった。
バトンを拾ってたときにはもう最下位になっていた。そのときの姉ちゃんの顔はマジ泣き一歩手前だった。

まぁ、アンカーが俺だったからごぼう抜きにしてやり一位の旗をもって凱旋したがな。
あれは年甲斐もなく熱かった。フフフ。

その後姉ちゃんがクラス全員に謝っていた。律儀すぐる。

まぁこんなもんだ。まだあるが・・・・・・まぁ5歳児だししょうがない。

で、なんでこんな話してるかというとだな。






親父、士郎さんが重症をおった。






そして今は家庭暗黒時代に突入してるわけだ。
わかりやすく言うと

母→店で忙しい。帰ってきてもぐったり。
兄貴→なんか道場に素振りすることが多くなった。
姉貴→いつもどうりすごしてるが傍目から見ると辛そうだ。
とまぁこんな感じだ。

そしてメンタル面の弱い姉ちゃんがこの状況を耐えられるわけがなく・・・・・・しだいに自分の部屋に引きこもることが多くなった。

食事になっても笑顔?なにそれおいしいの?状態。あの明るい家庭は夢だったとばかりに暗い。

何?そんなか中でおまえはなにやってるんだって?いつもどうりだぞ?
というか、むしろいつもどうりしたほうが楽なんだよ。

まず朝起きたらまず朝稽古・・・・・・5歳でやることじゃないね、うん。

稽古が終わったら姉ちゃんを起こして一緒に食事をとる。
暗いムードで食う朝食がうまいわけもなく味なんてわからない。

食い終わったらおふくろ達の食器も一緒に洗う。
最初は母も断っていたが最終的に折れてくれた。

洗った後に姉ちゃんと一緒に幼稚園に行く。
移動方法がバスなのでここで仮眠を取る。

他の子のお守りをする。
仮眠を取った分をこれに回す。精神年齢的に子供の相手は疲れる故致し方なし。
いつの間にか委員長みたいな位置づけされてやがった・・・・・・チキショー。

帰ってきたら母と一緒に晩飯の手伝い。
まぁ皿並べるだけだけなんだがな。

晩飯の時は親父以外が揃う唯一の時間だ。だからここぞとばかりに幼稚園でおこったことを話しているから多少は賑やかだ。
たまに姉ちゃんが嫌いなものをこそこそと渡してくるがそれを兄貴達に見破られている。
正直言ってかなり微笑ましい。
もっともこの食事が終わるとまた重い空気が襲ってくるんだがね。

その後姉ちゃんと一緒にゲームをしたりテレビをみたりしながらまったりtimeが続く。
以前ゲームやると俺がパーフェクト勝ちしたりするとすぐ泣きそうになる・・・誰こい(ry。
それで兄貴と親父に自重しろと無言の眼差しならぬメンチビームが飛んできた。なんということでしょう。
今はばれないようにぎりぎりで負けたりしてごまかしている。

風呂に入る前に軽く汗を流す(高町家レベルで)だから5歳でやることじゃねぇし!そして俺の体はそのことごとくに順応しやがるし・・・・・・。
だから先に姉ちゃんと母が一緒に入ってる。姉貴が2番目その後適当に男共が入る。
え?女性人の裸が見れないことが残念かって?
・・・・・・フッ。

風呂に入った後は牛乳のんで自室で趣味をやっている。
え?なにやってるかって?まぁ、ちょっとね。

時間がいい頃合になったら寝る。遅く寝たら朝稽古が地獄と化す。
そういえば、たまに姉ちゃんが怖い夢をみて一緒に寝た時もあったな。翌日おねしょしやがったけど・・・・・・ギリィ!
最近は塞ぎこんでそんなこともなくなっちまったがね。

おっといかんいかん。俺まで暗くなっちまいそうだ。

そして今日、ここ最近元気のない姉ちゃんを元気づけようと姦計・・・・・・あ、違う違う。
お話しようと考えている。
最近飲んでいないだろう母特性のキャラメルミルク、甘いものが苦手な自分用に麦茶をもって姉ちゃんの部屋に突撃だ。

部屋に入ろうとしてある違和感に気づいた。

(明かりがついてない?)

この時間なら姉ちゃんはまだ起きているはずだ。
明日は早く起きるような用事もない。
それなのにドアの隙間からは明かりがついていないのはおかしい。
だが部屋の中にはちゃんと気配がある。
とりあえずいつまでも廊下にいるわけにもいかないので中に入ることにした。

「姉ちゃ~ん? ん?」

「あ・・・・・・きずな?」

暗い部屋の隅の方に姉ちゃんはいた。
だがそこにいたのは最近見せていた空元気すら消え、今まで見たことのない意気消沈した姿だった。

「・・・・・・どうしたん? 電気もつけないで、省エネ?」

努めて無表情に尋ねてみる。
いつもならここで姉ちゃん特有のゆるいツッコミがくるはずなんだが。

「あ、うん。そんなところかな・・・・・・」

かえってきた返事は今にも消え入りそうな言葉だけだった。
ふと心の中で考えられる最悪の予感が当たりそうだった。
できることなら外れて欲しい。・・・・・・いや、それは無理かな。

思えば俺の観てきた『高町なのは』は、どんなに辛いことがあっても友人、ましてや家族にも弱さを決して見せない。
善く言えば他人を思いやれる優しい奴。
悪く言えば恐ろしいまでの自己犠牲の塊。
だがそもそもそんな性格になったのは父親が入院したあの日からだったのではないだろうか。
そして今、目の前にいるのは紛れもなく俺の知っている『高町なのは』なのだろう。
行き過ぎた自己犠牲、甘えることを恐れて人に相談することをしない。
あげく無理をしてボロボロになり生死の境をさまよう。
考えただけで胸糞がわるい。
テレビの向こう側で他人ごとのように見ていた頃とは違う。







今の俺は・・・・・・

高町家の子供で、

高町なのはの弟なんだ。

あんな姉には絶対させない。

させてなるものか。







「ねぇ、きずな」

「ん?」

「私にかまわなくて良いよ。迷惑でしょ?」

「なぜに?」

「こんなだめなお姉ちゃんと一緒にいると自分の好きなこともできないし」

「ふむふむ」

「きずなにはきずなのやりたいことがあるでしょ?」

「まぁね」

「お母さんやお兄ちゃん、お姉ちゃんにも伝えて。なのはは大丈夫だからって」

その言葉を皮切りに、姉ちゃんはまたうずくまってしまった。
言いたいことを言ってしまったのだろう。それっきり反応もない。
とりあえず手に持っている飲み物を近くにある机の上に置いておく。

(大丈夫だから、ねぇ)

その言葉が繰り返し頭の中を駆け巡る。そして目の前にいる姉ちゃんを見る。

「・・・・・・」

(わかりやすい嘘をつくのが得意だな)

どう見たって大丈夫に見えない。
それでも次の日になれば何事もなかったかのように笑うのだろう。
周りに心配させまいと、決意で固めた嘘まみれの笑顔で・・・・・・。






ピキッ






気づいた時俺は姉ちゃんの腕をがっちりと掴んでいた。

「え?」

「姉ちゃん、この際だからハッキリ言わせてもらうけど」

「う、うん」

「その妄言が迷惑」

勢いあまってぶった切りすぎた気がする。
あまりの突然のことに姉ちゃんはおろおろしだした。

「え、えっとえっと・・・・・・もうげんって「今それはついでに説明するから空気読め」あ、うん」

そういえば幼稚園児に妄言なんて難しい言葉わかるわけないか。
まぁいい、とりあえず姉ちゃんがいつもの調子に戻ったので話を続けることにする。

「例えばそうだなぁ、『善意でやったことがその人にとっては迷惑』ということがあるんだよ」

「?」

まだわかってないようだ。これでもまだ難しいかね?
人にものを教えるという事は、かくも難解なのだなぁ~。

「え~もし親父達が、今姉ちゃんが言ったことをそのまま聞いてきたらどうする? はい! 3・2・1どうぞ」

「えっ!?え、えっと?」

姉ちゃんが必死に頭を抱えて考え込む。
しばらく放っておくと、顔が完熟トマトみたいになっていた。

「あ、駄目。それ以上よくない」

「う~~~、わかんないよ~」

駄目だこのままじゃ埒が明かない。
しょうがない、これだけは使いたくはなかったが

もうこうなったら強行手段だ!

「姉ちゃんちょっと」

「え、ちょ、ちょっときずな!?」

俺は姉ちゃんの背中を押して部屋から出た。
そして階段を下りてそのまま一直線に居間へと入った。

「? どうしたの、2人とも?」

居間には全員いて、最初に気づいたのが姉貴だった。
その後に兄貴とおふくろが俺達2人を見る。

「どうしたんだなのは、きずな? もう寝る時間だろ?」

「明日も早いんだから早く寝ないと駄目じゃない」

「ちょっと聞いて欲しいことがある。凄く大事なことだから」






俺はさっきまで聞いていた事の一部始終を話した。
最初は何気なく聞いていたようだが、次第に沈痛な面持ちになっていった。
話している間、姉ちゃんは黙って下を見ていて一言も喋らない。

「俺は正直いってかなり迷惑なことを言われたなぁ、て思ったよ。

 その言葉で周りがどんな思いをするかまったく考えてないし。

 おふくろ達はどう思う?」

言い終わった後みんな下を向いて黙ってしまった。
また少しの間沈黙が続くだろう。トイレにでも行こうかな。
そう思っていたらおふくろが立ち上がり無言で姉ちゃんを抱きしめた。
突然抱きしめられた姉ちゃんは何故こんなことになったのかまだわかっていないようだ。

「ごめんね、なのは」

困惑する姉ちゃんをよそにおふくろが語りかけた。

「お母さん?」

「士郎さんが入院してから、少しでもみんなの負担を減らそうと思って忙しく走り回った。

 ううん、忙しさを理由にしてただけだったのかもしれない。

 そのせいでなのはときずなの2人につらい思いをさせてしまって・・・・・・

 駄目なお母さんで本当にごめんなさい」

絞り出すように話すたびにおふくろは姉ちゃんを強く抱きしめた。
次第に大粒の涙を流して震えだす。
姉貴は目に涙をにじませながら、後ろからそっと姉ちゃんの頭をなでた。
兄貴は泣きこそしなかったが、まるで憑き物がとれたように穏やかな表情で姉ちゃんの背中を優しくさすった。
姉ちゃんはそれに釣られてように泣き出した。
今まで泣くことを我慢していた分の涙が一気に溢れ出したのだろう。
それは俺が今まで観てきた、大人びた高町なのはではない。
年相応に父親が心配で、怖くて、悲しくて泣きじゃくる。





”子供”の高町なのはがいた。






ずいぶんと時間がたった。
姉ちゃんは泣きつかれて自分の部屋ですやすやと寝息をたてている。
やっぱ家族は偉大だと思うよ。
俺一人だったら間違いなく姉ちゃんを熱暴走させていたに違いないし。いやマジで。
そういえば姉ちゃんが寝た後、俺にもおふくろのハグが待っていた。
おふくろ曰く、「なのはだけだと不公平だから」だそうだ。
もうギュッ!てされた、ギュッ!て。
羞恥心で頭が大爆発するところだった。
いいにおいだった・・・・・・ふぅ。

とりあえず今まで忘れてた飲み物二つを回収した。
下に降りる前になんとなくだが、普段は余り甘いものを飲まない。
でも今日は試しにこの冷め切ったキャラメルミルクを口にしてみる。

「グボォッ!」

盛大にむせた。
・・・・・・今日はどっと疲れたな。
こういうことになったのは全部入院している親父のせいだな、うん。
この怒りは退院した親父に股間ヘッドバットで晴らすとしよう。






[17960] ピッカピカの1年生
Name: ヴォル@ウガ◆13120d11 E-MAIL ID:639b1c44
Date: 2010/05/12 23:13
田村ゆ○り声でこんにちは、きずなだよぉ~☆・・・・・・鬱だ死のうorz。
あれからしばらくたって小学1年生になった。
正直小学生になっても幼稚園の時と変わらないんだけどな。
なに?時間を飛ばしすぎだって?じゃあ、とりあえずかいつまんで説明しておく。

退院したての親父に家族を心配させた恨みを込めて予告どおり股間ヘッドバット食らわせた。
さすがに退院してすぐの親父ではこれは避けられなかった。
反省も後悔もしていない。Σd

親父が退院したとき、姉貴がお祝いと称して自家製料理という名のバイオ兵器を作ろうとしたので止めた。
なぜか姉貴が半泣きになった。俺が食うはめになるんだから自重してくれ。

そしてあの暖かかった家族へと戻りました。
めでたしめでたし。

以上、高町家過去話終了。次いってみょ~。










学生生活と勉強の方はとくに問題ない、というかあったら困る。
最初はもう一度基礎を覚えるのにちょうどいいと思って教科書を読んでいたが、一ヶ月で全て覚えてしまった。
まぁ本音をぶちまけると同じ教科書を17回ぐらい読んで飽きたんだがな。
今は見つからないように兄貴達の古い教科書の問題を解いたり、パラパラ漫画でネコの絵を描いたりしている。

ネコカワユス。

あとは友達増えたよ。女友達だがな。
この世界なぜか男友達が増えない。いや最初は男友達がいたんだよ?
しかし俺があの3人と遊ぶようになってから徐々に減っていった。
なにを言ってるかわからないと思うが・・・・・・ポルポルパニックの言い回し忘れてしまったガッデム!!
呪いかなにかかこれ?

まぁ原作知ってるのならもうわかってると思うけど、その女友達っていうのは姉ちゃんの友達よ。

一人は月村すずか。大人しそうな顔でとんでもない運動性能を持っている。
それについていける俺の体はもっと恐ろしいがな・・・・・・。
とらハについては知らないが、たしか夜の一族の帝王とかいう設定だったな。あれ?得点王だっけ?

もう一人がアリサ・バニングスだったか。
そう、キングオブハートと対の存在クギミヤオブハートの持ち主のはず。
あとは・・・金持ちツンデレぐらいしかないなアリサは。

・・・・・・あれ、それとも月村すずかじゃなくて夜神月でアリサがアリス?
いかん、こんがらがってきた。

まぁいいか、そのうち思いだすだろう。
今日はそんな仲良し4人組の他愛無い日常の一コマをご紹介しましょう。






いつの時代でも朝の教室は騒がしいもんだ。
たった一日あっていないだけなのに、顔を合わせた瞬間に次から次へと話題が飛び交う。
ここ、私立聖祥大学付属小学校とて例外じゃない。
それにしても長い学校名だ。

「おはようなのはちゃん、きずな君」

「おはようすずかちゃん」

「うぃ~す」

とりあえず仲良し4人組のうち3人が揃ったわけだが。
残念ながら一人でもかけると話がまったく噛み合わないんだよなぁ。8割俺のせいで。

「あるぇ、アリスは?」

「もう、アリサちゃんだよきずな君」

「そうなのかね、なのは君?」

「え、なんでお姉ちゃんに聞くの!?」

「空気読め、そこはボケるところだ」

「む、無茶いわないでよ!?」

「まったくこの高町なのはめ!」

「わぁ~~~ん! 助けてすずかちゃん!!」

まぁ概ねこんな感じ。
悲しいかな、切れのいいツッコミ役がいないだけでこうも歯切れが悪いとは。
アリサーーー!早く来てくれぇーーーーーー!!あ、これクリリンぽいな。

「・・・・・・朝っぱらからいったいなにしてんのあんたは」

とそこへようやく我らがツッコミ役アリサ嬢のご登場である。
いつもおいしい所で登場するが、実は出待ちしてたんじゃないかとたまに思う。
まぁいい、とりあえず始めよう。
え?なにが始まるかって?大惨事大戦だ!

「まあいいわ、今日という今日は覚悟しなさい!」

「その覚悟とは昨日の新品の消しゴムを3分の1使ってネリケシ作った件かね?」

「あ、あれあんただったの!?」

Oh。

「これじゃないとすればアリサの弁当のおかずを全てタクアンにしたことかね?」

「そうそれよ! それと今でた罪状も付け加えてあげるわ!!」

「オオ、コワイコワイ」

「むきーーーーーー!! 人を小馬鹿にしてぇ!」

「おい訂正しろよ、コケにしてると」

「なおさら悪いわ!!」

とまぁこんな感じ。
周りのクラスメイトはいつものことだと遠巻きで見守りながらやれ「アリサちゃん頑張れぇ!」だの「きずな、今日も負かしちまえ!」といった応援だか野次だかわけのわからないものが飛んでくる。
その中で「仲がいいなー」と微笑んでいるすずかと、どうすれば止められるのかとオロオロして知恵熱を出しかけている姉ちゃんがいる。
だがこうやってじゃれあってる?ような仲でも、出会いは子供からしてみれば陰鬱なことだったと思うよ、ほんと。






きっかけはテストの点数。
すずかの点数がアリサの点数を追い抜いたのが原因だった・・・のかはよくわからんが。
その時のアリサはなんでも自分が一番じゃないとだめという典型的な・・・・・・なんていうんだこれ、ツンデレの前兆?
まぁいいや、とりあえず話しの続き。

それは昼休み、姉ちゃんが花壇の様子を見たいといったので俺も一緒についていった時だった。
花壇の近くが騒がしかったので見に行くとそこにいたのはアリサとすずかだった。
それはアリサがすずかのカチューシャを奪おうとしていた原作のシーンそのものだった。

一言でいえば、“ツンデレってめんどくさいZE☆”って光景だったな。

それを見てしまった姉ちゃんはいつもとは考えられないほどの勢いで駆け出そうとしていった。
普段からだせよそれ。
俺はそこである考えが浮かんだので姉ちゃんを呼び止めた。
少し声は大きかったが争っている2人には聞こえていないようだった。

「きずな止めないで! あの子を助けなきゃ!?」

「落ち着く落ち着く、俺にいい考えがあるから」

「え?」

俺は思いついた作戦を話した。
姉ちゃんは最初不安そうだったが、うまくいったら今日の晩御飯に嫌いなものと俺のオカズと交換するといったら元気いっぱいに「任せて!」と言ってきた。
現金だなおい。
まぁいい、これより作戦を開始する。

俺は2人に気付かれないように近づきアリサの耳にそっと息を吹きかけた。

「ふぅ~~~」

「ひゃん!?」

突然耳に息を吹きかられて驚いたアリサは奪ったカチューシャを放り投げてしまった。
放物線を描いて飛んでいくカチューシャを姉ちゃんが見事に受け止めた。
普段はボンヤリとして頼りないけどこういう時だけ反応がいいんだよな。
そんなにオカズが欲しかったのか?

「取った! 取ったよきずな!」

「よぉ~~~~~~し、よしよしよしよしよしよしよし! 姉ちゃんはたいしたヤツだよ」

作戦がうまくいったので俺は姉ちゃんの頭をこれでもかと撫でくり回した。
姉ちゃんもまんざらでもないのか緩みきった表情になった。
その顔見たとき犬っぽいなと思ったのは秘密である。

「いきなりなにすんのよ!!」

アリサが怒った顔で詰め寄ってくる。
そりゃいきなり耳に息を吹きかけられたら驚ろくし、無視もされれば怒りもするか。
まぁ本人はやってはいけないことしたんだから自業自得だと実感してもらうしかない。

「無礼を承知で逆に聞く、君はなんでこんなことをしたんだ?」

「決まってるじゃない、気に入らないからよ!」

う、うわぁ~凄い子供ぽい理由・・・・・・って子供か。
そういえば俺も子供の頃こんな感じだったなぁ。て今も子供だったな。
浦島太郎はこんな心境だったに違いない。

「そんな理由で人を傷つけちゃだめだよ!」

そこへ姉ちゃんが割って入り、今度はアリサと姉ちゃんのケンカが始まってしまった。
ケンカを止めにきたのにケンカしたら本末転倒にもほどがあるだろ・・・これ。

「あ、あの!」

そこへさらに何かを言いたげなすずかが駆けつけてくる。
見るとカチューシャを頭につけていた。
姉ちゃんが渡した後心配になってきたのだろう。
このままいけばすずかの仲裁でケンカは止まるだろうが、すっきりしすぎるのも考え物だ。
アリサのことだからこのまま不完全燃焼に終わるのも気に入らないはずだし。

となれば・・・・・・キュピーーーン。

「待てぇいッ!!」

俺が柄にもなく大声を張り上げた。
不意に大声を上げたためアリサやすずかは止まってしまい、普段声を上げないことを知っている姉ちゃんにいたってはハトが豆鉄砲を食らったように目をパチクリさせていた。
その隙を逃さず俺はアリサの前まで歩み寄り思いついたことを口に述べる。

「俺と勝負しよう」

「「「え?」」」

突然の発言に3人はさらに目を見開いた。
とりあえず俺はそれを無視して話を続ける。

「だから勝負。『次のテストで俺と戦っていい点数を取れたほうが勝ち。負けた方は相手側の言うことを聞かなければならない』という条件で、どう?」

いきなりの発言で不安は残る。
だがアリサの人となりを考えれば結果は見えてるんだけどね。

「乗ったわ!!」

よしよし、頭に血が上ってるせいか簡単に食いついてきたな。すずかと姉ちゃんからうまい具合に離れてくれた。

「それじゃあ明日のテストで勝負ということでよろぴく」

「ふん! 返り討ちにしてやるわ!!」

そう言うとアリサは早足で教室に帰っていった。
残った俺達は落ち着いたところで話をすることにした。

「えと、助けてくれてありがとう。あと・・・その、ごめんなさい。私のせいで巻き込んじゃって」

最初に切り出したのはすずかだった。自分のせいで周りを巻き込んだことを悔やんでいるのだろう。
申し訳なさそうな声で尋ねてきた。

「まぁ心配せんで、これから毎日楽しい会話をしようぜ?」

「きずな! 初対面の人にそんな馴れ馴れしくしちゃ駄目だよ!?」

「いや同じクラスだし、顔なら合わせてるし」

「え、あれそうだっけ?」

「同じクラスなのに忘れてる姉ちゃんが駄目じゃないか・・・・・・このなのは! 駄目な子!」

「き、きずな! お姉ちゃんに向かってなんていうこというの!?」

「なら姉らしいことをしろよ(ボソ)」

姉ちゃんは怒ってポカポカと殴ってきた。
まぁ大して痛くないんだがな、つーか微笑ましい上にくすぐったい。
ついでに『このなのは』というのは馬鹿にするときに使うんだ。みんな勉強になっただろう?
いかん話が脱線した、修正せぬば。

「ぷ、ふふふ」

決心してると笑い声が聞こえたので見てみると、すずかが微笑んでいた。
漫才見てるようなもんだからな。
それにしても・・・・・・あれだ。

「笑ったらかわいいではないか」

「え、あ、ご、ごめんなさい」

「何故そこで謝るし」

「きずなが変なこというからだよ!」

「事実をいったのにかね?」

む、いかんいかんまた話が脱線した。どうもこの和やかな雰囲気だと無駄話をしてしまうな。

「話しを戻すけど」

「あ、うん」

「はっきり言うと謝る必要はないぞ、なぁ姉ちゃん」

「そうだよ、ケンカを止めたのは当然だよ」

とりあえず姉ちゃんもそうだが、目の前で困っている人を見捨てるほど俺は薄情じゃない。
まぁ姉ちゃんの友達になる2人がケンカしている姿を見たくなかったというのもあるがね。

「そういえばきずな」

「ん~?」

「明日のテストってなんだっけ?」

「え~っと確か・・・・・・国語?」

『国語』

その一言を聞いた瞬間姉ちゃんがフリーズを起こした・・・・・・様な気がした。
というか額からあぶら汗がでてきてるし。

「き、きずな!!?」

「今度はなに姉ちゃん? おやつはまだだぞ?」

まったく要領をえないというかなんというか。
ボケて様子をみたが駄目だ、テンパってる。

(あの、どうかしたんですか?)

(ん~、姉ちゃんたまにバグ起こすからなぁ)

「どどどどどどどうししょう!!?」

お、おもろい。なんかシンバル持ったチンパンジーみたいだ。

「落ち着け姉ちゃん、それフッヒッフー」

「そんなことよりきずな!?」

そ、そんなこと・・・・・・orz。
たまに姉ちゃんはその場の空気を粉々にすることがある。
その言葉で何度、俺の渾身のギャグを粉砕したことか。

「き、きずな国語の点数ダメダメでしょ!?」

「え、ええーーーーーーッ!?」

・・・・・・・・・・・・あぁ理解した。
まぁ姉ちゃんが心配するのも無理はない。
日頃、テストの平均点が60~70台、しかも国語は50いくかいかないか。そりゃあ心配もされるか。

「はぁ~、何かと思えばそれかね?」

「なんでそんなに落ち着いてられるの!?」

「そ、そうですよッ! 今からでもいいから勉強しないと!」

「それともきずな。何か作戦でもあるの!?」

作戦か。
とりあえず常日頃から考えていた108式ある作戦の一つを姉ちゃんとすずかに話すことにする。

「ある」

「「ど、どんなッ?」」

「それは・・・・・・」

「「それは?」」

姉ちゃん達はその作戦を聞き逃すまいと顔を近づける。
辺りが静寂に包まれるのを見計らい俺は口を開き、そして















「成り行きに任せればいいんじゃね?作戦ッ!!」

2人揃って盛大にズッコケた。
すごい・・・きれいです。




次の日



そこには今日返ってきた97点と書かれたテスト用紙を半泣きで握り締めプルプルふるえるアリサ・バニングスと。
輝かしい100点のテスト用紙を 『コロンビアッ!』 のポーズで掲げた俺、高町きずながそこにいた。
その光景を客観的に考えるととてもシュールだが気にしてはいけない。

「・・・勝っちゃった」

「勝っちゃったね・・・」

その勝負を見守っていた2人は、まるで信じられないものを見ているような顔でこっちを見ている。
小学生に負けるほど俺は知能指数は低くはない。まったくもって失礼な。
特に姉ちゃんはなんかありえないものを見るような目で俺を見ている。
あげくとんでもないことをのたまった。

「きずなが変な呪いでもかけたんじゃ・・・・・・」

「姉ちゃん、後で一人死のルーレットの刑な?」

その言葉に姉ちゃんはビクリと身を振るわせた。
ここで説明しよう。死のルーレットとは、シュークリームの中身をクリームではなくとんでもないものにしてタライ回しにする罰ゲームである。
喫茶店翠屋という性質上、色々危険な食材をぶち込むことができる。
中でも一番の目玉は姉貴のバイオケミカル兵器、もとい手料理である。
あれはいつだったか、家族全員で食べた時は病院騒ぎにまでなったからなぁ。
初めてだよ、食い物で殺されかけるなんて。
また話がそれた。どげんかせんといかんな、これ。

「~~~~~~ッッッ!!」

みるとアリサが悔しそうに地団駄を踏んでいた。
確かに悔しいのもわかる。僅かな差で負けたのだ、しかも負ければ相手の言うことを聞かなければならない。
だがしかし勝負は勝負。けじめをつけなきゃいけない。
俺はゆっくりアリサの前に立った。

「なによ、言いたいことがあるんなら言いなさいよッ!」

「じゃあ遠慮なく、それじゃあ俺と姉ちゃんとすずかの一人ずつの言うことを聞くってことにするから」

「な、なんでよッ!? あんたが勝負したんだからあんただけのはずじゃない!!?」

「別に、俺は最初に言ったよな? 『勝った相手側のいうことを聞く』って。俺は君と一対一の勝負を挑んだが、勝った後の人数・・・つまり『相手側の数』までは言っていないわけだが」

その言葉にアリサは絶句していた。
当然といえば当然か。小学生相手にこんな詐欺まがいのことをして大人気ないと思う。
だがこの場合、勝敗条件を確認しなかったアリサにも否はある。
まぁ大人の世界いったらもっとたちの悪いのがあるし、いい経験になっただろう。

「まず俺から」

その一言でアリサはうつむいたまま黙ってしまう。
往生際がいいというのだろうか、こういった勝ち負けにキッチリしてるのはこの子のいいところだと思う。

しばらくの沈黙。
姉ちゃんとすずかも俺の次の言葉に注目している。
そして俺は昨日から考えていた言葉を口にした。

「すずかに謝ってくれ」

「「「え?」」」

アリサはおろか、姉ちゃんやすずかも驚いていた。
当然といえば当然か、他人からみれば俺の願いって変だと思うだろう。
だが俺は最初からこれを望んでいる。
謝ったからといって何かが変わるわけじゃない。だがそれで謝らないでいいわけでもない。
大人になると簡単に謝れなくなるからな。

「だからすずかに謝る。それが俺からのお願い、それ以外はないから」

「・・・わかったわ」

そういうとアリサはすずかの前まで歩いていった。
たぶん家族以外に初めて謝るはずだから心臓がバクバクなってそうだな。

「「・・・・・・」」

すずかもアリサもお互いの顔を見て押し黙っている。
俺はその様子を姉ちゃんと一緒に端から見守ることにした。
正直はよ言えといいたいが我慢だ我慢。

「あの・・・昨日はひどいことしてごめんなさい!」

強く

はっきりとした声で頭を下げた。

「顔を上げてください」

アリサの謝罪に対してすずかは優しいく話しかけた。
アリサは顔を上げると、緊張に拍車がかかったようで表情を強張らせた。
姉ちゃんはすずかの願いが気になるようでじっと様子を覗っている。

「私からのお願いはあなたとお友達になりたい、です」

「だめ・・・ですか?」

「いいの? 私なんかで」

「はい!」

まぁ、原作とは違うけどこういう終わり方もありなんじゃないだろうか。
これ以上やることもないし高町きずなはクールに去るゼット。
ホントのこと言うと下の我慢が限界なんだけどな。





「ちょっとあんた」

トイレから帰ってきていきなり呼び止められた。
声の方に振り返ってみるとアリサが顔を赤らめて、かつ恥ずかしそうにこちらをちらちら見ている。
まぁアリサの性格を考えると・・・アレだなアレ。
他のオリ主は『俺に惚れたな!(キリッ)』とか思いそうだな。いや言うかな?

「あんただけ仲間外れになっちゃうでしょ。だからその・・・しかたないからあんたも友達にしてあげるわよ」

「テェ~レッテレェ~♪ おめでとう、高町きずなは女友達が増えました」

ふざけていたらグーで殴ってきた。最近の若者ってすぐ暴力で解決するよね。




おまけ




「ねぇねぇきずな♪」

「どうせアリサとすずかと友達になったんだろ?」

「え、そうだけどなんでわかったの。もしかしてエスパーッ!?」

最近行動が単純なせいか姉ちゃんの動きが先読みしやすくなった。



[17960] 急展開な2年生
Name: ヴォル@ウガ◆13120d11 E-MAIL ID:639b1c44
Date: 2010/05/21 18:36
代わり映えのない日常が飽きたとか。

なんかすっげぇ~こと起こんないかなぁとか。

そんなことを思っていた時期が、俺にもありました。







時は夏休み。

自由研究について話があるとアリサから電話があった。
「自由研究は班で一緒にやりましょう。詳しくは私の家で話すわ」と。
自由研究の題材は毛糸の編み物についてでもやろうと思っていたんだがな。
なぜかというと初心者なら今の時期からやるとちょうど冬に間に合うと思うからだ。
これを見た担任(今年で三十路&独身)が彼氏にプレゼントを贈り、色々はしょって結婚できればいいなと思ったのもあるが。見てて辛いし。
だがまぁ転生前でもなかった、尚且つ面白そうだイベントだからいいかな?と思い承諾した。
え?姉ちゃんはどうするのかって?言ったら絶対行くと思うから問題なし。

そして今にいたる。
呼び出された庭の真ん中で、紅茶をすすりながら我らがツンデレツッコミお嬢様、アリサ・バニングスはこういった。

「他の班が絶対に思いつかないような課題を提出したいッ!!」と。

最初俺は、なに言ってんだこいつ?と白い目で見た。ウメボシくらった。

「何か言いたいことある?」

「暴力☆反対」

そういったら腋をこれでもかとくすぐられた。
仕返しに耳たぶに息を吹きかけたら身悶えた。
お返しとばかりに頬っぺたをつねられた。
ならばと人差指で二の腕から腋の下までなぞってやったら転げまわった。
むきになり最初にやってたウメボシを仕掛けてきた。
なんとなくアリサの頭を撫でたら顔を真っ赤にして変な踊りをした。
結局姉ちゃんとすずかが止めてくれるまでずっとこの調子だった。
誰か早く止めろよ!アリサが開発されるだろうが!!



しばらくたって



とりあえず落ち着いたところで4人集まって庭の真ん中で話し合いを始めた。
とはいっても、アリサのことだから大体の予想は付く。

「でもアリサちゃん。なんであんなこと言ったの?」

「決まってるじゃない。他の班と同じだったらつまらないじゃない」

すずかの質問にアリサははっきりと胸を張って公言した。
まさに予想どうり。
そうなると気になることは一つある。

「で、具体的には?」

「それを今から考えるんでしょ」

ごもっとも。
というか、いきあったりばったりなのは気のせいだろうか。

「だったら海鳴の歴史なんてどうかな」

「でもそれは他の班がもうやってると思うよ」

「じゃあ帝王学について」

「それは難解すぎるよ」

「それじゃあ機械工学ッ!」

「先生に渡したらドン引きされること間違いないな」

意見こそ頻繁にでるがどれもこれも難しすぎる。今更になって思うがこれ本当に小学生の自由研究か?
つーかすずか、スッゲェ~テンションだなおい。

「あんたはどうなのよ? きずな」

「ん~、そうさねぇ」

しばらく意見を出し合ってるなか、俺の意見がないことに気付いたアリサが唐突に質問してきた。
俺はひとしきり思索する。
そして思いついたままに言ってみた。

「姉ちゃん観察日記?」

その言葉にアリサとすずかは姉ちゃんの方を見て「あぁ~」と妙に納得した雰囲気で頷く。

「な、なんでッ!?」

「「面白いから」」

思わず俺とアリサの声がはもった。
姉ちゃんは頬をハムスターのように膨らませてムームーないている。
きづけ、それがそもそもの原因だ。

「冗談はさておき」

「え、やめちゃうの観察?」

・・・すずか、やめなさい。まじで冗談じゃなくなるから。

「ちょっと俺にいい案があるんだけど」

「「「いい案?」」」










そして場所を移動して図書館にて。

「なるほど、文字の歴史ね」

「イェーーース」

今俺達は文字の歴史。
正確には、漢字の歴史を自由研究の課題にしようと図書館にきている。
やはりこういう時こそ身近なものを振り返ってみるものだ。
これなら他の班でも早々思いつきはしないだろう。

「あわよくばここで姉ちゃんの国語力をアップしたいという魂胆なのだよ」

「・・・・・・それであんたの隣で真っ白になってるわけね」

アリサの言った方向をチラっとみたら、そこには真っ白になってうなだれている姉ちゃんの姿が・・・というか魂ぬけてね?

「プヘッ」

だめだこいつ、なんかへんな鳴き声したし。

「そりゃあいきなり猩猩(しょうじょう)とか普通小学2年で習わんしね」

「あんたもこの子の弟なんだからもう少し優しい文字をだしなさいよ」

「辛くなくては覚えませぬ」

「あんたは・・・」とアリサに白い目で見られてさすがにまずいなっと思った。
だが思う。このまま姉ちゃんが漢字離れしていって書類を提出するときに漢字書けないとかなったら目も当てられん。
ここは涙を呑んで鬼となろう。

「悪そうな顔してなに企んでるのよ」

「育成計画」

とまぁ漫才はともかくとして、すずかはどこへ行ったのだろうか?さっきから姿が見えない。

「どこ行ったんかねぇ、すずかは?」

「そうね、遅いからちょっと探しにいきましょ?」

「姉ちゃんは・・・いいか。しばらく逝ったままだろうし」

「なに言ってんの? あんたがおぶってきなさいよ」

なん・・・だと・・・?
まぁ姉ちゃん一人を担げないほど貧弱ではないからいいが。
周りの視線が・・・てもともと気にしてなかったな、俺。






図書館というのは狭いようで広い。
おまけに同じような本棚が規則正しく並んでいるので軽い迷路を彷彿させる。
この本棚全部倒したくなってきたな。ドミノ式で。

「あ、いたわ」

「どれど・・・・・・れ?」

すずかはいた。確かにいたよ。
でもな、状況的問題がある。他人には些細な問題なのかもしれない。
だが俺にとっては至極重要な問題なんだ。

今すずかに取り巻く問題がある場所を説明すると。

人と話している→問題なし。

話している内容→聞こえてる限り特に問題なし。

話している場所→モーマンタイ。

探すために労費した時間→見つけたからノープロブレム。

今、考える限りの残った可能性→話している人物=大・問・題!!もう大がDieだよッ!!

いっている意味がわからない方に単刀直入に言おう。
今すずかと話している人物。車椅子に京都弁よりの関西弁と言えばわかるよな?
そう、八神はやてに他ならない。楽しそうだな、人の気も知らないで。

「だれだろうあの子?」

いつのまにか姉ちゃんが起きて当然の疑問を投げかけてくる。
正直俺が知りたいな。

「なのは、いつから起きてたの?」

「にゃはは、実はさっきから」

「なら何故降りないし」

「らくちんだから」

はたこうかな、これ?

「気がついたなら降りなさい。人間の足は立って歩くためにあるんだから」

アリサにいわれて姉ちゃんは泣く泣く俺の背中から降りた。
まだ名残惜しそうにこちらを見ていたが無視した。
また漢字地獄に落としてやるべきか?と考えているとアリサが「ほら、早くいくわよ」といってきた。
まぁ、確かにこんな所で立っているままというわけにもいくまい。
若干胸騒ぎがするが・・・・・・ま、いっか。



「始めまして。わたしは八神はやてっていいます。すずかちゃんとは少し前にあってそれ以来友達です。みんなははやてって呼んでます」

「アリサ・バニングスよ。アリサでいいわ」

「「高町なのはです」」

悪ふざけではもらせたら姉ちゃんに怒られた。だって同じ声だからしょうがないじゃん。
だが場を和ませることはできたようだ。
その証拠にはやてがくすくすと笑っていた。

「ほら、きずなのせいではやてちゃんに笑われちゃったじゃない!」

「図書館ではお静かに」

「あう」

「姉ちゃんがしっかりする可能性はなかったか。所詮、高町なのはだな」

「ぐぬぬ・・・」

「あはは、すずかちゃんの言うとおりおもろい人達やな」

「えへへ、そうでしょう?」

「面白いというよりたちが悪いのよ。特に弟の方が」

「えッ!? もう一人男の子やったん?」

はやてが信じられないという目で俺を見ている。
知らなかったら俺もそういうリアクションをとるだろう。
でも大丈夫。男の勲章はしっかりあるから。尚且つでかい。

「ごめんな。女の子だと思うてたんよ」

「慣れてるし気にするない。ちなみに男に告白されたときもあるでよ」

「え? きずな君そんなことがあったんだ」

「初耳ね」

さすが女子、こういう色恋話には本当に食いつきがいいな。
だが一つだけ理解できないことがあるので口にしてみた。

「男の俺が告白されているのに、姉ちゃんには告白のこの字もないんだよね。そこだけがよくわからん」

「あぁ~、それは仕方ないわよ」

「その心は?」

「あんた色々と器用にこなすでしょ? 勉強とスポーツ、それに人付き合い。おまけにその顔で家庭科もこなせるんだから」

つまり俺のせいで姉ちゃんの影が薄いと?
勉強と人付き合いについては前世の特典。スポーツと顔はこの体が高町家だからだが。
家庭科、主に裁縫と料理については姉ちゃんと姉貴のおかげなんだがな。
姉ちゃんはよく転んで服が破けるから直して、姉貴の料理の手伝い(修正)をしているうちにうまくなったんだからな。

「なのはちゃんはどうなん?」

「『なのは』て感じだな」

「なんであんたは実の姉をそこまでいじめるのよ・・・・・・しっくりくるけど」

俺、アリサ、すずか、はやてが話をはずませている中、姉ちゃんは一人隅っこでへのへのもへ字を書きながらいじけている。
そろそろご機嫌とっとかないと後で面倒だ。アリサにアイコンタクトをしてと。

「ふーーーんだ、いいもんいいもん。どうせ私なんて「帰りに駅前にできたクレープ食いにいかね?」「いいわね、なのはは?」・・・行くッ!」

はい、完了。餌付けは実にお手軽である。
あと姉ちゃん、騒ぐな。





「時間あまっちゃったわね」

新しくできた店というだけあって珍しいクレープがあった。ちなみに俺が頼んだのはチョコチップ抹茶&ストロベリーだ。
味はかなりカオスで面白い。うまいかどうかは別だが。
それを頬張りながら歩いていると微妙に時間が空いてしまった。
自由研究をしに戻るにしろどうも気分がのらない。
尚且つ姉ちゃんが体をはって阻止しそうだな。腕にしがみついてイヤイヤしながら。

「どうしたもんかねぇ?」

「「「んーーーーーー・・・・・・」」」

「じゃあ家にこうへん? ゲームもいっぱいあるで」

唐突にはやてからの自宅へのお誘いが発生した。
名案ではある。このまま解散するのはどうにも物足りない。
だがさっきから俺の第六感という名の警報がけたたましくサイレンを鳴らしている。故障か?

「え、いいの? いきなりお邪魔しても」

「ええんよ、たくさんの友達を家に招待するの夢やったし」

すずかの問いにはやては満面の笑みで答えた。
屈託のない笑顔が実にまぶしい。そんなに嬉しいか?
最後の一口を飲み込んで俺達ははやての家に向かうことにした。











交代で車椅子を押してはやての家へとついた。
原作で見ていたが生で見るとかなり立派な家だ。
こんな広いところで一人だとそりゃ寂しいわな。
のちのちヴォルケン達が来るのを踏まえてもちょっと不憫だ。
まぁ、こうして会ったのもなにかの縁だ。暇さえあれば4人で遊びに来ますか。

「ただいまー」

はやてが玄関を開けるとき『ただいま』と言った。一人しか住んでないのに結構律儀だなぁ~と思った矢先ある違和感に気づいた。
靴多くね?それも規則的に大中小。
はやての親戚でも遊びに来ているのだろうか?
いやちょっと待て、はやては親戚がいなかったと言ってたような。
ということはつまり・・・・・・。





「はやて! おかえり」

ジャーーーンッ!ジャーーーンッ!!ジャーーーンッ!!!
ゲェッ!?ヴィータ!?

うっお―――っ!! くっあ―――っ!! ざけんな―――っ!
も、もちつけ・・・こういう時こそ素数を数えるんだ。
2、3、5、7、11、17、41、103、229、ええいもちやいけッ!
素数は自分の数値でしか割れない孤独な数字、俺に勇気を与えてくれる・・・よし、Ok。
そうだ、夜天の書がなんかくしゃみした拍子にたまたまヴィータだけでてきたんだ。そうに違いない。

「主、おかえりなさいませ」

ゲェッ!?シグナム!?

れれれれれれ冷静になれ。
そ、そうだ。夜天の書がうっかりしてシグナムも出してきたんだ。今度こそ間違いない。
うん、これ以上でない。これ以上はまずありえない。
原作からして、すでにはやてに会ってるのがすでに異常。
これ以上絶対でない!祈るんだッ!!願うんだッ!!

「あ、はやてちゃんおかえりなさい。」

運命の女神様。
あなた様がいることを前提で言わせてください。
くたばれビッチ!
シャマルまで飛び出てるよ?なぁにこれぇ?
夜天の書を雑巾絞りしたら出てきたとでもいうのか?

「紹介するな。外国の親戚の人たちで一緒にすんでるんよ」

「いっぱいいるわね」

「ん? きずな、どうしたの?固まっちゃって」

「お菓子買ってくればよかったかなぁ~っと今思った」

「あはは、ありがとうなきずな君。でも別に無理せんでもええんよ?」

「あんたが謙虚になるなんて珍しいわね」

少し固まっていたが1秒で立ち直った俺を不思議に思い姉ちゃん達が声をかけた。
表面上はなんとか落ち着いてたのが幸いだ。

途中、でかくて青い犬が見えたけど今更感があってね。
驚きすぎて冷静になり、ここはこういう世界なんだと悟ったよ。
そして俺達は『お邪魔します』という掛け声とともに八神家へと入っていった。
お次はなんだ?リインフォースか?予想ぶっ飛んで防衛プログラム略してボエ子か?それとも俺をここに呼んだ大宇宙の意思ちゃんか?
いいぜ、かかってこいよ。俺は覚悟を決めたぜ。








「えへへ、なでなで」

「だぁーーーもうッ! 頭撫でんなよにゃのは!」

シグナムとシャマルは買い物に出かけ、ヴィータは俺達と一緒に遊びたいということで一緒にいるわけだが。
もう原作なみに仲良くなりやがってますよこいつら。
仲良きことは美しいかなと言うが原作の流れからして不安も残る。
それともあれかビッチ(運命の女神様)よ?そういう細かい所は俺でなんとかしろと?
もしそうならあなたのお宅にクレイトスさんをけしかけたいんだが。
ヴォルケンリッターについてははやての話を聞く限り、1年ほど前に夜天の書が起動したとみて間違いない。
しばらく様子を見たがヴォルケンズ以外問題は見当たらなかったわけだし。
正直ほっとしているような、残念なような複雑な気持ちだ。
もしかしたらリインフォースやボエ子が普通にみんなと暮らしているという淡い幻想があったんだがね・・・・・・それはそれで混沌が融合してるな。
話終わったら姉ちゃん達とはやて、ヴィータはキューブ版のスマブラをやっている。
転生したときこの世界にもあるんだなと妙に嬉しかったな。
それにしてもゲームが得意と言うだけあってはやてなかなかうまいな。
でもまぁ、あれだな。

「きずな君はやらんの?」

「ん、いや。やりたいにはやりたいんだが」

「なら「きずな、やりなさい」・・・アリサちゃん?」

アリサが久しぶりに目から炎を飛び出しかねない勢いで俺を睨みつけている。
こやつ、はやてがいればなんとかなるとでも思っていたのか?

「ん~でもなぁ・・・待てよ。1対3ならいいぞ」

「今日こそあんたのピンクマッチョを場外に叩き込んであげるわ!!」

「この前そんなセリフいって何もできな「うっさいッ!!」・・・最後まで言わせてくれ」

「どういうことやの?」

「・・・・・・やってみればわかるよ」

「ぴ、ピンクの悪魔(ブルブル)」

「え?」

さてさて、もう一度教えるために始めますか。
所詮烏合の衆であるということを。








5分後。








「こっちにこないで変態!」

「失礼なこと言った子は落としちゃおうねぇ~~~」

「ああ!?」

「「アリサちゃん!?」」

「次は誰にしようか、フッフ~」

「大丈夫だよはやてちゃん。わたしがまだいるから」

「す、すずかちゃん」

「小さな希望を与える子は打ち上げようねぇ~~~」

「あ!?」

「ちょ、まっ「命乞いする子はホームランしちゃおうねぇ~~~」ッ!?」

予想より早くに決着がついた。
当然といえば当然・・・いや、ここはよくやったと言うべきか、50%も減らされてしまったからな。
はやてのフォローも中々侮れない。

「なんやのそれ!?」

「変態の貴公子。C.ファルコン(ピンク)」

え?なんでそんなカラーで使ってるかって?
インパクト狙い以外ない。

「はやての仇は私が取る!」

はやての隣で見ていたヴィータがここぞとばかりに勝負を仕掛けてきた。
はて?ヴィータはそんなにうまかったっけ?

「1対1の勝負だ、高町きずなッ!」





ファルコォ、パァーンチ!ゲェーセェッ!





「・・・・・・」

「命は投げ捨てるもの(キリッ」

というか3対1でもピンピンしてるのに一騎打ちはないと思う。せめてはやてより腕が良くないと。
ベルカの騎士は誇りがどうたらこうたら言うつもりだろうか?
犬死だけど。
ちなみになぜ俺がこれだけうまいかというと転生前の友人の中でやたら強いやつらがいたんだ。
当時はそいつらと闘って何回も負けてな。あまりにも悔しかったから猛特訓したんだ。
おかげでたいがいのことじゃ負けない強さにはなった。
なに?結果はだと?ルールがストックだったら3機まで削ることができたがそれだけだ。
あいつらが何故あそこまでうまいのか俺にはわからん。

「も、もう一回勝負だッ!次こそはあたしが勝つ」

「お断り申す」

「なんでだよ、勝ち逃げはずりぃぞ!」

「順番は守ろうな」

「次はあたし達の番よッ!」

「次こそは負けないんだからッ!」

やけに自信満々だ。俺の弱点でも見つけたのだろうか?
というかヴィータと勝負中の横で準備運動はやめてくれ、気が散る。
あと姉ちゃん、なにをやろうとしてるかはわからんがコロコロ転がるな鬱陶しい。

「あの、ヴィータちゃん。わたしと交代する?」

「い、いいのか?」

「うん。私まだ疲れてるから」

「ありがとなすずか。よぉ~し、今度は絶対勝つ!」

そしてまさかの裏切り者、すずかが現れた。




「あ、やべ」

汗で手が滑った。
はっ!まさかアリサはこれが狙いだったのか。

「「いっけぇーーーーーーッ!!」」

これが好機といわんばかりにアリサとヴィータが止めをさした。これは間に合わない。
2人のキャラの攻撃がヒットして変態はきたねぇ星になった。いやぁ~さすが140%。よく飛ぶなぁ~。
ちなみに姉ちゃんは早々にリタイアですよ。
残念な結果になってしまった。まさに後悔先に立たずだな。

「やったね! アリサちゃん、ヴィータちゃん!」

「当然よ」

「あたし達が本気をだせばこのく「ご苦労だった・・・と言いたいところだが、君等には消えてもらう」・・・へ?」

ああよくやった、よくやったとも。
だが5機のうちの1機を落とした程度だからな。試合には勝たせてもらう。

「貴様等は知らんだろうが我がスマブラの闘争はここで勝利と言う終焉を迎える。

 これから貴様等はなんの手助けも受けず、ただひたすら、かっ飛ぶだけだ。

 どこまで もがき苦しむか見せてもらおう」





「飛ぶがよい」











シグナムとシャマルが帰宅する頃、そこには真っ白な灰になっていたアリサ、姉ちゃん、ヴィータの姿があった。
その光景を見たはやてはだた一言だけこう言った。

「こ れ は ひ ど い」

「テヘッ♪」

あとがき

いるよね。友達のうち何人かが変態じみた動きする人。



[17960] 番外編1 高町きずなの道
Name: ヴォル@ウガ◆13120d11 E-MAIL ID:639b1c44
Date: 2010/05/21 18:37
海鳴市、休日の早朝。人もあまり活動しないこの時間帯。
そんな時間に、木刀と”何か”の打ち合う音が高町家近くの道場で響いていた。

その道場の中には4人の人影が確認できた。
見守るが影が2人。そして打ち合う影も2人。

打ち合っているのは父、高町士郎と息子の高町きずな。
士郎が二振りの木刀を。対するきずなは何も持っていない素手で、それぞれ対峙していた。
第三者から見れば木刀をもった士郎が圧倒すると予測するだろう。
だが、今行われてる光景はその予測を見事に裏切っていた。

きずなは空中右回し蹴りを繰り出している。
蹴りを繰り出すことによって生まれた隙を士郎は逃さず追撃を仕掛ける。
それに対してきずなは空中で右突き足を放つことで追撃を撃ち落した。
言葉としては違和感があるだろうが、これが正しい。




きずなは今、浮いていた。

否、蹴り続けることによって空中に浮遊していると言っていいだろう。





それは異常ともいえる光景だった。
あるときは振り下ろされた木刀を足の指で掴み、体ごと移動させ。
あるときは蹴りの反動を殺さずにまた違う蹴りを放ち、それを避けて反撃に移る。
きずなが空中を飛び続けて10分、いや15分か、はたまた20分か。
その作業を球のような汗をかきながら行っていた。

その光景を見守る恭也と美由希の心境は異なっていた。
恭也は、稀代の人物をみるような驚き。
美由紀はそれとは別に、自分達の弟が無理をしているのではないかという気がかり。
そんな2人の心境をお構いなしに戦いは膠着状態に陥っていた。





だがここで拮抗していた戦いに動きがあった。
今まで蹴り続けていたきずなが突如、地面に足をつき距離をとった。
一旦仕切り直すためだろう。

しかしそこで勝負は決した。
士郎の虎切が放たれ、きずなは受身が間に合わず高々と吹き飛ばしそのままの勢いで頭から壁に突き刺さった。

御神流奥義之壱『虎切(こせつ)』

それは超距離からの抜刀術型の奥義。
鞘走りを使用し、高速で放つその技は御神流で一、ニの速度と射程距離を持つ技。
士郎が最も得意とする技で、士郎の虎切は一族の中でも最強と言われている。
それによってきずなは士郎に虎切を使用される距離まで下がってしまっていた。

「しまったッ!」

「「きずな!?」」

きずなは壁に突き刺さってピクリとも動かない。
助けようと美由紀が駆け寄ったがその心配は無用だった。

「「「ッ!?」」」

突然ジタバタジタバタと足を動かし始めた。
あれだけ頭から強く打ったのに意識がまだあるようだった。
しばらく見ていると足でジェスチャーらしき行動をしている。

「ぬ、抜けないのきずな?」



美由紀の問い掛けにきずはは足で丸を描いて応答した。











「すまないきずな、加減を誤った」

「・・・・・・痛い」

「ほら、動かないの」

あの後助け出されたきずなは、目立った傷はたんこぶと小さい木片が突き刺さっただけだった。
とはいえ心配だからということで美由紀に消毒をしてもらっている。
それをきずな本人は休むついでといった気持ちで受けていた。

「それにしても、ミスったな~」

「え? 十分闘えてたと思うけど」

「いや、カウンター合わせようと思ったらつい手でやっちゃってさ。足なら浅かっただろうけど届いてたと思うのよ」

「それでも父さんにはとどかなかっただろうな」

「ん~、そう言われるとそんな気もしなくもない」

恭也の意見にきずななりに素直にうなずいた。
実際、五分五分で渡り合っていたように見えるが決め手が足りなかった。
あのまま距離をくっつこうが離れようが士郎には負けていたと思っているからであった。
それは自分には切り返しの技と必殺といえる技をもっていないからであった。

(まぁ、あるにはあるんだけど実戦ではまだ使える段階ではないからなぁ~っと)

「ん? なにか言ったきずな?」

「反省点を少々」

しばらくの反省会をしていたなかふと恭也がある疑問をきずなに投げかけた。

「そういえばきずな。おまえはどれくらいの格闘技を覚えたんだ?」

「そうさねぇ」

そういうときずなは指折りで数え、今覚えている限りの格闘技を言い始めた。

「とりあえず空手に柔術、ボクシング、古いので合気道と骨法、後はムエタイ、テコンドー、カポエラ、コマンドサンボと・・・中国拳法全般はまだ全部覚え切れてないからそれぐらいかな、今のところ」

「ず、ずいぶん覚えたね」

「次はプロレス系を覚えようかと」

「まだ覚える気か・・・」

「ははは、いいじゃないか。血気盛んで」

士郎は笑いながら、恭也は呆れながらも感心していた。
思えばきずなは、小学一年の頃から自分には御神流の才能がないと言いだした。
それ以来様々な武術を取り入れ、短時間で自分の物にしていった。

当時家族は心配していた。
きずなは自分達の知らない所で戦っている。そう思えてならなかった。
聞いても「強いってなんだろうなぁ~?」としか答えなかった。
無論それも理由に入るのだろう。
だが、それ以外の理由もあるのではないかと恭也と美由紀は心配だった。
そしてある日士郎は2人にこう言った。
「もう少し待ってみよう」と。
そう言った父の言葉を信じて今に至る。
思えば自分達の弟は、なんだかんだといいながら他人に優しくできる性根の良い子だ。
そのうち自分から話してくれるのを待つのも家族の信頼なのだろうと2人はそう思った。











そろそろ朝食の時間だったため、きりの良いところで稽古を終わらせた。
道場の外は雲一つない晴天だった。
それでいて暑すぎず、吹き抜ける風は火照った体を心地よく冷ましてくれる。

「いつかは父さんを越えるつもりかい?」

唐突に士郎はきずなにそんな疑問を投げかけた。
その顔は笑顔で、自分を超えてみせろという挑戦にも受け取れたし。頑張れと激励を送っているようにも見えた。
2人の間を小さく風が吹き抜ける。

「まぁ、いつかは越えるよ。2人ともだけど」

しばらくの沈黙の後きずなは、自分達より先を歩く恭也と美由紀の方をチラリと見ながら言った。
どうやら2人の内の1人は恭也のようだった。

「欲張りだな」

「欲あってこそ強くなれると思ってるから」

「違いない」

「先に行ってるよ」といった士郎の背中を見ながら越えるべき壁を改めて再認識した。
誰にも聞こえない声できずなは、晴天の空を見上げながら呟いた。

「・・・強いって難しいにゃ~」





おまけ

「・・・士郎さん。きずなに怪我をさせたんですって?」

「あ、いや、その・・・・・・これには深いわけが」

朝食に入る少し前、微笑みを浮かべながら迫る桃子に四苦八苦する士郎の姿がそこにあった。
当事者であるきずなは姉のなのはを起こしに行ってるので知るよしもない。
もちろん気にした様子はまったくなかった。





あとがき

外伝なので少し短めです。
次回から本編の更新に戻ります。



[17960] 第1話前編 原作ってなんだろう
Name: ヴォル@ウガ◆13120d11 E-MAIL ID:639b1c44
Date: 2010/05/29 00:06
楽しく騒がしい日々が過ぎ去るのは早く、あっという間に三年生になってしまった。
早いよ・・・早すぎるよ!?もうちょっと準備期間くれよ!!と最近嘆く今日この頃。
他の人はどんな生活を送っているだろうか。俺はすこぶる良好だ。
八神家との関係もかなり良好。はやてとの仲はもとより姉ちゃんとヴィータとの仲もうなぎのぼりである。

家主であるはやてとは会話だけで1日をすごせるくらい仲がいい。
やれ、この日のスーパーのあの商品が安いだの。やれ、掃除するときの簡単便利な裏技など。
教えろといわれればなんだって教えてやるぜ。でも翠屋のケーキの作り方だけは勘弁な。
会話しているかぎりもろに主婦だと思う今日この頃。この年の俺はもっとアッパッパーだったぞ?
最近は姉ちゃんと一緒になって新しい料理の開発に余念がない。
なんでも姉ちゃんがどこかのだれかの鼻をへし折りたいとか。お袋のことだろうか?

ゲボ子ことヴィータには1分間でアイスができる方法を教えて以来かなり仲良くなった。
「これで毎日アイスが食えるッ!」とか言って命の恩人見たいに見られた。腹とか痛くならないんだろうか?
そして姉ちゃんと一緒にやったことで相乗効果によってより仲良くなった。
2人が手を取り合い、助け合うシーンなんかはハンカチなくては見られない状態であった。
予測どうりだったがな。

ニート侍のシグナムは将棋を教えたりその相手をしてたら自然と仲良くなった。
相手をしてわかったがヴィータよりは力押しではなかった。
だがわざと隙を見せると高確率で突っ込んでくるので俺が勝ち越している。やはり騎士は突撃馬鹿ばかりなのだろうか?
あとたまにでいいから掃除でも手伝えとツッコミたかった。

シャマルにいたっては料理の特訓に付き合ってあげてとはやてに頼まれた。
いざやってみると材料を切るところや調味料を入れるタイミングまではいいのだが問題はうっかりの方だった。
砂糖と塩を間違えるのならまぁいい、だがどこをどう間違えたらベーキングパウダーと間違えるんだ。
作ったものはシャマルが全てまずくいただきました。
そのおかげかは知らないが今はマシにはなったよ?マシにはな。

ザフィーラについてはよくわからん。尻尾を振ってるだけだし。
ある日、モフモフしていたらある違和感に気付いた。少し調べてみたらかなり筋肉が張っていた。
ストレスだろうかでも運動はしっかりやっているからシャマルの実験台にでもされているのだろうか?
そこで前世で見た本の『愛玩動物を骨抜きにするマッサージの仕方』というのを実行してみた。
10分すると張りは消えて柔らかくなった。気のせいかとても気持ちよさそうだ。まぁ犬の表情なんぞわからんからな。モフモフできるからいいんだが。
八神家へ行くたびに近寄ってくるから喜んでいるんだろう、多分。

マッサージといえば八神家からの帰り道にかなりの確立でネコと遭遇するんだよな。
やたら人間くさい猫だったためよく観察するために捕獲したことがあった。
このネコも結構張っていたのでザフィーラと同じくマッサージした。
最初は嫌がっていたがしだいにネコ独特の甘え声になった。やはり犬よりネコの方がかわいい。
そのせいかよく寄り付くようになりマッサージを要求してくるようになった。やはり犬よりネコの方が断然かわいいな、うん。

八神家との仲良しなのはよいことではあるが不安はある。
もしこれでA’s編になったらどうなるんだろうと。あれかな、お互い号泣しながら殴り愛してるんだろうか?
まぁ今から考えてもしょうがないことでもあるがな。











そんなことを考えていた、三年生のある夜。
俺が趣味真っ最中の時だった。



――― 誰か僕の声を聞いて。力を貸して・・・魔法の・・・力を・・・ ―――



おや、この女の子声がユーノか?
さすが、男の娘といわれてるだけはあるな。男だと言われない限り俺でも気づかないだろうな。
ん~ということは今日が原作開始日だったのか。思ってたより遅かったから少しハラハラしてしまった。
しかし俺の趣味中にくるなよな。
わかるだろ?順調に上がっていくテンション、しだいに限界まであがりそして最後の絶頂が訪れる!!って時に邪魔される不快感が。
思わず舌打ちもでるd「チッ」あ、でた。

しかしこれが念話ということは俺にも素質があるってことは確定したわけだ。
いやぁ~よかったよかっ・・・本当によかったんだろうか?むしろ記憶がなく魔力もなかったらなにも知らず平穏かつのんびりできたんじゃないだろうか?
そう考えると今の状況は・・・・・・いやいやそうなると姉ちゃん一人で孤軍奮闘してあーでも・・・よし、考えない。

それはともかくこの念話返せるかねぇ?やり方はわからないが駄目元でやってみるかね。
昔の人も言っていた、当たって木っ端微塵と・・・あれ?
ではさっそく、まず声がしたであろう方角に体を向ける。ちょうど姉ちゃんの部屋の方だな。
そして心を落ち着かせるために肺の隅々まで酸素が行き渡るようゆっくりと呼吸を、そしてイメージは心で語りかけるように・・・よし。



――― おかけになった念話は現在使用されてないか念波の届かないところにいます ―――

――― ええぇぇぇぇぇ!!? ―――



成功したよ・・・しちまったよ。すごいねッ!人体ッ!いやここは高町家というべきか?
しかしユーノってもう少し落ち着いたやつだとおもったんだが、なにこの慌てよう?
俺の記憶ではもっとしっかりしてた筈。さては貴様、偽者か!
じゃないねうん。
まったく一応姉ちゃんとくっつく可能性が高いんだからどっしり構えてもらいたいよまったく。

つーかこれ姉ちゃんも聞いてんのかねぇ?聞いてるんだろうな。聞いちゃってるんだろうな。
だって今隣の部屋でゴンッ!って音したからね。あれは頭打った音だろうか?
まぁいいや。そんなつまらないことを考えるよりやらなきゃならないことがある。

明日のためにとっとと寝る。インディアン ワカル スイミン ダイジ。
おやすみ。



次の日 朝



おはようございました。
さて稽古もすんだし日課の姉ちゃん起こしに行きますか。

「姉ちゃん。朝だぞぉ~」

「ん~もぉちょっとだ「それバサッとな」にゃあ!?」

案の定寝てやがりますからいつもどうり布団を引ん剥く。
手馴れてる理由は、前に揺すって起こしてたら布団にヤモリの如く引っ付いた。
その無駄な抵抗のために時間がかかってしまい遅刻しかけたことがあった。
力技で間に合わせたがな。
この事を家族に話したら全員が『いかなる手段をもってしても起こすことを最優先せよ』と言われた。
・・・数の暴力って恐ろしい。
だからある程度強引にやっても俺に罰は当たらない。

「もぉ、もうちょっと優しく起こしてよきずな」

「この方が早く起きるからね~」

「むぅ~っ!」

おお、頬を膨らませたよ。ハムスターや!人の皮を被ったハムスターがおるで!
HAHAHA、こやつめ。朝から癒し効果満載だZE。

「・・・あのねきずな」

「ん~?」

「昨日変な夢みたの。男の子が怖いお化けと戦ってる夢だったんだけどその子がね。助けてっていったの。その後にきずなの声がしたの」

「ほっほう」

いきなり真剣に話してきたので聞いてると、やはり姉ちゃんにも聞こえてたようだ。
そして俺の留守念もしっかり聞こえてますね。いやはやお恥ずかしい。
だがこれで姉ちゃんにも魔力があるということがわかった。
いやぁ一番重要なのがなかったらどうしようかと。なかったら俺とユーノでリリカルきずなになるところだったぞ。
ぐあ!脳内にスカート姿の自分がキャッキャウフフいいながら事件解決するのが出てきやがった!この話題は早くも終了ですね?

「なぁ姉ちゃん」

「?」

「早く着替えてごはん食べて学校にいかね?」

「あ!そうだった」

「先いってるぞぉ~」

「ま、待ってーーーーーー!!」

まぁ今は誤魔化そ。説明する時間がないし。
しかしよく考えてみると第三者からして見れば小学生がこの星救うんだよな~。
すごいとは思うものの、同時にかなり心配でもある。
俺が姉ちゃんの負担を少なくすれば良い話か・・・楽しくなりそうだな。
廊下でそんなことを考えてると姉ちゃんの部屋から派手な音がした。
どうやら転んだようだ。また地平線にでも躓いたのかな?
ああ、本当に楽しくなりそうだよ。ドチキショー!








モッチャモッチャモッチャ。
ただいま昼休みの屋上にて、いつものように4人揃ってベンチに座り弁当をもしゃもしゃ食っています。

「将来か・・・アリサちゃんとすずかちゃんは、もう結構決まってるんだよね?」

「家はお父さんもお母さんも会社経営だし。いっぱい勉強して後を継がなきゃぐらいだけど」

「私は機械系が好きだから・・・アム・・・工学系で専門職がいいなぁと思ってるけど」

唐突に将来の夢についての話題が飛んできたが存外会話がはずむものだな。
まぁ姉ちゃんの将来は今朝から未来までほぼ確定してるがね。
それにしても。

「2人はすごいな」

「「「え?」」」

「この年でそんな正確な夢を持っていることはそうはない。あっても1年ぐらいで違う夢にすりかわってる奴らがほとんどだ。そんな親友をもてて俺はとても誇らしい」

この年の俺は将来のことなんて考えてすらいなかったらな。
そう思うとこの子達は本当に輝かしい。
このまま元気にまっすぐ育って欲しいと心から願う。

「・・・ありがとう。きずな君」

「は、恥ずかしいこと言わないでよね!」

すずかは素直だったがアリサにはものすごく怒られた。
珍しく褒めているのに。これだからツンデレというヤツは。

「そ、その・・・あんたの激励、ありがたく・・・受け取っとくわ」

「ん?何か言ったかね?」

「う、うるさいうるさいうるさいッ!!」

聞き取りずらかったのでなんて言ったか聞いたら生くぎゅうううううううう!をいただきました。本当にありがとうございました。
なにか姉ちゃんから胡散臭い人を見る視線が感じる。

「なに姉ちゃん?」

「きずな、変なものでも食べたの?」

「「「・・・・・・」」」

全てが綺麗に収まろうとしていたのに全てが塵と化しました。

シュババババッ、ゴクン

「アアアァァァァーーーーーーーーッ!!?」

「おめーのおかずねぇから!」

そんな不届き者の姉ちゃんには天誅でござる。
イチゴとブロッコリーだけは残してやろう。ありがたく思うんだな。

「サンドイッチが・・・タコさんウインナーが・・・」

「おいしゅうございました」

半泣きの姉ちゃんをよそにごちそうさまを忘れない。
俺は大人だからな。ちゃんと食物に感謝を忘れない。

「逆に聞くけどあんた達はどうなのよ?」

「できることが多すぎてなにやっていいかわからん。しいて言えば医者をやりたい」

「あんたが医者やってるの想像できないわ・・・・・・できてもヤブ医者」

「それじゃあなのはちゃんは?喫茶翠屋の2代目じゃないの?」

アリサに言いたい放題言われてる中、すずかが姉ちゃんに話題を振る。
さすがにいつもの光景だけあってぶれないな。

「う、うん、それも将来のヴィジョンの一つではあるけど・・・・・・やりたいことは何かある気はするんだけど、まだそれがハッキリしないんだ。私、特技ととり得とか特にないし」

姉ちゃんのその一言がこの場の雰囲気を完全破壊した。
せっかく助け舟を出した恩人にドロで作ったパイを顔面に叩きつけたようなもんだ。

「このバカチン!」

アリサ、レモン投げんな。食べ物を粗末にするヤツは俺が全ておいしくいただくぞ。
・・・エロくはないよ。

「自分からそういうの言うんじゃないの!」

「そうだよ。なのはちゃんにしかできないこときっとあるよ?」

「だいたいあんた! 理数系の成績は私よりいいじゃないの! それでもとり得がないっていうの!?」

本当によくできた友達だ。
あとアリサの指差しはかっこいいな、迷いがない。

「そういう口はこうしてやるんだから!」

そういうとアリサは姉ちゃんの後ろに回り羽交い絞めにした。
あれ?ここは口を引っ張る場面じゃないのか?

「きずな、残りのオカズもやっちゃいなさい!」

細かい所でも原作改変か。いいぜ乗ってやるよ、とことんまでな。

「了解、これより高町なのはの弁当を殲滅する」

俺はイチゴを姉ちゃんの目の前にちらつかせながら一つずつ、丁寧にいただきました。
姉ちゃんは一瞬にして敵になったアリサに羽交い絞めにされながら「やめてぇーーーーーー!!」と絶叫している。
色んな意味で大変おいしゅうございました。
ただしブロッコリー、てめぇは駄目だ。大人しく姉ちゃんの胃袋に収まるんだな。

「もう・・・ブロッコリーしか残ってない」

「ぶろっこりーでも くうんだな おまえにも くいものがあるだろう・・・」

「うー! うー!」

顔を真っ赤にしながら唸った。あまりのショックでさらに幼児化してしまったようだ。
だれだこいつをここまで放置したのは?あ、俺か。
その後アリサと2人ですずかにメッされてしまった。教育の一環なんだからしょうがない。








「あうー、お腹すいた」

「自業自得よ」

ようやく学校も終わり後は塾へ行けば1日も終了する。
それにしてもアリサよ、途中で吠える犬に英語で静かにって言ってもわからんと思うぞ?
日本に住んでる犬だし。

「あ、こっちこっち! ここを通ると塾を行くのに近道なんだ」

「そうなの?」

「うあー」

「ちょっと道悪いけどね」

「別に問題ないない」

「はうー」

さっきから俺達が会話しているのに横から姉ちゃんが「あうー」だの「うあー」だの「はうー」だのうめき声ばかりだよ。
このままだと塾が終わる前に餓死しかねんな。

「しょうがない、姉ちゃんにこのオレオをやろう」

「え、あるの!?」

「あるある、ほれオレオを一個やろう」

「あうあうあ」

「なに、3個? オレオ3個も欲しいのか? いやしんぼめ! ホォ~レ、たんとお食べ」

渡したらものすごい勢いで平らげた。そしてすぐに次のオレオを目で催促をしてくる。
もはやここまでくると猿に餌やる飼育員の境遇のようだ。

「あんた甘いものあまり好きじゃないのになんでお菓子持ってるのよ?」

「餌付け用。アリサもやってみるかね?」

「え、じゃあちょっとだけ」

「・・・堕ちるなよ」

「?」

説明しよう。姉ちゃんはまず下から目線で相手の心に狙いを定める。
ここで注意しておかなければならないのは遊び半分に与えないことだ。
もしこの注意を破ろうものなら。

「くれるの?」

「え、ええ」

「ありがとう!」

高町なのはの満面の笑顔で会心の一撃が放たれるからだ。
そこらの美少女よりかわいいからその威力はすさまじい。
あまりの破壊力にアリサは顔を真っ赤にさせながら後ずさりをした。

「大丈夫かね?」

「な、なにかは知らないけどやばかったわ」

「それが”萌え萌えキュン”ってやつだ」

「ほぉーら、おいしいよー」

「あう! あう! あ!」

アリサがうろたえている間にすずかは手馴れたように餌付け、もといお菓子をあげている。
すずかは将来怪しいロボットを造る天然の策士になりそうだな。
あと一つ訂正しよう。もはや姉ちゃんは犬畜生だ。



――― 助けて ―――



とそんなことしていたらもう原作、魔法胎動編が始まっちまった。声からしてあっちの方からかな?
まぁここは姉ちゃんに任せようかね。飴玉イチゴ味は姉ちゃんのものだろうし。
そう結論付けて姉ちゃんの方を見ると。

「あうー、まだ足りないよー」

空腹で全然きづいてない!?



――― 助けて! ―――



わかったわかった、俺が見つけれればいいんだろ!
さっきと同じ方から声を感じたから行ってみるか。

「ちょっときずな!」
「きずな君?」

アリサとすずかが呼び止めるが応えている時間がおしい。命に関わるかもしれないしな。
道なき道を進んでいるとそれらしい影が見えてきた。方角はあってたようだな。
それにしても気のせいかな?なんかでかいぞ?人ぐらいのサイズが・・・。

「・・・・・・」

「うぅ・・・」

もう人じゃねぇか!なんで人になってるんだよ!フライングにもほどがあるだろ!
This is a human! This is a human!! This is a human!!!
あれか?ち○ことか猥褻物扱いされるのが嫌だから?
馬鹿者め、いじられるだけいいだろうが。いじられすらされないで影が薄いやつだっているんだぞ。誰とは言わんが。

「どうしたのよきずな。急に走り出しちゃって」

「あ、見て。人が倒れてるみたい!」

あーやばい。原作だとフェレットだったからまだマシだったんだろうけど、倒れてるのが人間だったからもうこれ火サスだよ!
少年少女は見た!森の中で倒れる少年!その裏にうごめく謎の組織!
タイトル決めてる暇なかったね。落ち着こう、まず人命救助が先だ。

「怪我はそこまでひどくはないけど、結構衰弱してるから早く病院に連れて行ったほうがいいな」

「えーとこの近くの病院てどこだったかしら」

「まってて、家に電話してみるね」

あんだけパニックってたのにもう冷静だよ。ほんと頼りになるわこの2人。
略してアリすずパネェ。
つーか姉ちゃんはどうした?ここは率先してうろたえる場所だろ?

「や、焼き芋・・・うーあー・・・やき・・・いも・・・」

だめだこの主人公、空腹で頭がおかしくなってやがる。





「うん、わかった。ありがとうお姉ちゃん・・・ここからなら公園をでてつきあたりを右に出たところが一番近いよ」

適当な応急処置を終えてちょうどよくすずかの電話は終わった。どうやら忍さんに携帯が届いたようだ。
忍さんていうのはリア充氏ね兄貴の恋人でリア充氏ね絶賛ラブラブ中の人だモゲロ。
それにしても姉ちゃん専用医療グッズがこんな所で役立つとはおもわなんだ。姉ちゃんもたまには役に立つな。

「わかった。この怪我人は俺がおぶっていく」

「任せたわよきずな」

「おねがいね、きずな」

とりあえずあのまま放っておいたらやばそうなので、姉ちゃんを正気に戻すため残りのオレオを全部渡しておいた。おかげで口の中真っ黒。
それにしても気になることが一つある。それは応急処置しているときに気付いたことなんだが。
時間がたった傷もあったがまだ新しい傷もあった。いったいどういうことだ?





ガサッ





「ん?」

「グル?」

・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・ワンダフォー?
気のせいかな?俺の前方10メートルの方向に黒くて太くてでっかい得体の知れないものがいるんだが。
白昼夢?いやいや今夕方だし寝ぼけてもいないし。
じゃあ日頃ぶっ飛ばされた反動が今きて脳の障害?それとも俺の目、欠陥品?
まぁこれが俺だけが見ている幻ではないということはわかった。
その証拠に後ろの3人が池の鯉みたいに口をパクパクさせている。
これはつまりどういうことかというと。






「ものほんかー」








後編につづく


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