さいたま市ドン・キホーテ放火事件 「消防の対応が怠慢」と訴えていた原告側の請求棄却
さいたま市の「ドン・キホーテ浦和花月店」の放火事件で、遺族が「3人が逃げ遅れたのは、消防の対応が怠慢だったからだ」と訴えていた裁判で、判決が言い渡された。
原告側が公開した音声テープには、通報者の小石 舞さんと消防職員のやり取りが録音されていた。
(出火から5分後)
小石さん「火事なんですけども」
消防職員「ドン・キホーテで火事? 何が燃えているの? おたくさんの名前は?」
小石さん「はい?」
消防職員「お・た・く・さんのお名前は?」
小石さん「わたし、小石っていいいます」
消防職員「今から行きますからね。1階のどこらへんから煙が出ているの?」
小石さん「ちょっとわからないです。すみません、わたし出ます」
1分49秒続いた電話のやり取り。
2004年12月、さいたま市で発生した「ドン・キホーテ浦和花月店」の放火事件で、通報者を含む3人が、このあと遺体で発見された。
死亡した従業員3人の遺族は、「消防の対応が怠慢だった」として、さいたま市を相手取り、慰謝料などあわせて1億8,900万円の損害賠償を求めていた。
原告側は、通報者が切迫した状態でありながら、消防が1分49秒にわたり質問を繰り返し、通報者に避難指示を怠るなどした結果、3人が死亡したと主張した。
2007年、亡くなった関口舞子さんの父親は、「なぜ3人が犠牲になってしまったか、事件の真相を明らかにしたい」と話していた。
一方、「対応に過失はない」と、被告のさいたま市側は全面的に争う構えを見せた。
28日、さいたま地裁は、「原告らの請求をいずれも棄却する」と判決を出した。
そして、通報時における消防の対応を一般的なものと認めたうえで、「(通報者が)問いかけに対して比較的冷静に受け答えをしている。客観的にも、直ちに避難を要するような危険な状況にあったとまで言えない」と、原告側の請求を棄却した。
28日の判決に、亡くなった小石 舞さんの母親は、「判決文を読ませていただいて、何ひとつわたしたちの願いが裁判所に通じなかったのが、とても残念です」と話した。
(05/28 18:22)