米海兵隊岩国基地(岩国市)の新滑走路運用が始まった29日。基地そばでは、騒音被害を受けてきた住民や航空ファンが初着陸を見守った。一方、沖合移設に土砂を提供した愛宕山では、米空母艦載機移転に伴う米軍住宅化に反対する住民たちが、複雑な思いで眼下の基地を望んだ。
新滑走路北端のフェンス越し。午後1時45分ごろ、F18ホーネット戦闘攻撃機と海上自衛隊のUP3D訓練支援機が相次いで着陸した。地元の川下地区に住む無職堀川正作さん(72)は「沖に移り、ある程度は安全になるだろう」と期待。米軍に対しては「運用ルールをきちんと守ってほしい」と注文した。
旧滑走路から自宅まで約500メートルの漁業山福薫さん(78)。新滑走路運用による騒音軽減などには「あまり期待していない」と言う。艦載機や空中給油機の岩国移転が計画されている上、「昔とは飛行機の種類も数も違う」と不安をのぞかせた。
この日、交流会を愛宕山地域開発事業跡地そばで開いた「愛宕山を守る会」。岡村寛世話人代表は「新滑走路運用は沖合移設事業の一つのステップにすぎない。今後、艦載機移転を実行させないよう、これからも声を大きくしていく」と話し、約20人で岩国基地を見下ろした。
【写真説明】フェンス越しに、新滑走路を使った米軍機の着陸を見守る市民
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