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誤解なきように念のため。私はこの話題のご家族の支援者でもなく、「追い出しデモ」に反対行動した人でも救援会の人でもありません。
> さて、
> 今回の論点は『カルデロン夫婦の不法入国(他人のパスポートを書き換え入国と不法滞在』に関して、であり、
ご両親は、「法務大臣が在留を許可しなかった」という事実を受けて不満を残しながらも出国することを決め、この両親の件はそれとしては終っているわけで、私の論点(というか、私が言いたかったこと)は、そこにはありません。私の書き方が解りにくかったんですね。
私の論点はそうでなくて、日本に残る少女について、「日本のみんなはあなたを静かに見守り支えるよ」と言ってあげるべきなのであって(それが懐の広い、包容力のある素敵な日本になる道です)、それをわざわざ、「出て行け!」とデモをしたりする人たちがいることについて、あまりにもヒドイなというのが、私の論点でした。
> 「不法入国・不法滞在はきわめて重大な違法行為である」という点は共通の認識は成立したようです。
> ただ、「不法入国・不法滞在」の違法行為にも、それなりの事情がピンからキリまであり、それらをその違法性よりすべて「強制送還」するのは問題であり、
> そこに、「法相も持つ裁量権」があるという法的根拠も理解できます。
■まず、ご両親自身の不法入国が「重大な法律違反」と私もそう思います。ほぼ認識一致です。
しかし、これが「“きわめて”重大な法律違反」とまでは思わないですね。「『重大』ではあるが、『きわめて重大』とまではいえない」というのが私の認識です。微妙っすね。
もしも「日本に爆弾テロをやる目的で、不法入国した」とか「日本に覚せい剤を売る目的で」とかならば、その場合は「きわめて重大」ですけれど。しかし、このご両親は、ただ出稼ぎに来てまじめに働いて地域の中で平穏に生活していたらしい。初めから、そのような平穏な出稼ぎ生活が目的で不法入国したのであれば、その不法入国は「重大な法律違反」とは言えるのですが、「きわめて重大」とまでは言えないと思います。
■次に、ご両親自身が不法滞在だったことについてですが、そういう平穏な日常生活が続いていたという内実での滞在であれば、それでも不法滞在はもちろん法律違反ですけれど(この点も認識一致ですね)、「“きわめて重大な”法律違反」「“重大な”法律違反」とまでは言えないでしょう。「ふつうに法律違反」だったと思います。
■そして、娘さんである少女のこれまで不法滞在だったという違法は、これはきわめて軽い違法です。一般に、本人に責任の無いことで法律違反になってしまうことが無いような法制度を作ることが必要なんであって、それをやってない日本のほうにむしろ問題があるというほどなのだと私は思います。「『法律違反だ』というのも本人に申し訳ないような性質の違法」です。
まあ、ここらへんは、議論しにくいと思う。「『きわめて』って、どの程度のことを言うのか?『重大な』って、どの程度のことを言うのか?」という語感の問題になってしまう。「摂氏何度 ℃」みたいな数値にならない「程度」について、言葉でどう表現のしたら良いんだろうかという、国語の作文の授業みたいな藪に入り込んでしまう。
「ある違法が、重大か?、きわめてか?、どうか?は、その目的やその人の実態も考えて言うのがいいだろう」との主旨が、皆さんに伝われば、もうそれ以上は望みません。わかってもらえますかね?
で、「家族の結合(家族はいっしょに暮らすべきだ)」や「子どもには責任ない」という観点からも考え、でも「違反は良くない」という観点からも考え、「どの程度のどんな違反か」も考え、そういう出稼ぎ労働者にも支えられてきたこれまでの日本経済社会の側に責任が無いのかとか、総合的にあれこれ事情を考慮したら、どうするのが妥当なのか、とふつう人間は考え悩むものじゃないでしょうか。
「オンorオフ」「違反が有るor無い」「違反があるから強制送還」という単純なことではなく、いろんな観点から諸事情を考慮し人間は思い悩むのです。
ところが、「正義の味方のヒーローが悪者の怪獣をやっつける」みたいに人間の社会を単純に考えている人がいる。困るね。「違反イコール犯罪イコール不良外国人イコール追放だー!強制送還だー!」とかいう単純な方が、何も悩まないですむので楽だからなのかな。
オンorオフのスイッチ1つしかない、サーモスタットもなんにも無い、スイッチオンでどこまでも熱くなりますみたいな、大昔の出始めの頃の危ない電化製品みたいな単純な人たちが、大仰に「愛国心」を振り回して、どうしてこの日本が良くなるのかね。右か左かとかいうよりも、もう少し頭使って悩んで欲しい。
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